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北杜夫のドタバタ短編3篇。なんか前にも読んだ気がするが、2008年以降の記録には入っていなかったので。
敗戦間近の東京で、空襲の中で威勢のいい老人見つけ、ついていったところ、空を飛んで去っていった。老人に問いただすと、クリプトン星から来たスーパーマンに間違いないが、半分以上は日本人になっているという。そこで、老人に日本軍に力を貸してほしいと依頼する…。
スーパーマン(日本vsアメリカ)、シャーロック・ホームズvs銭形平次、パラレルワールドに入り込んだコロンブスという、「もしも」をパロディーとして形にしたタイプのドタバタコメディーで、辻褄などは後回しにして勢いで書かれたタイプの北杜夫である。
こちらとて、パロディーやSFに対して耐性があり、くだらないのはどんと来いの立場なので、ちゃんと読んでしまうわけだけど、躁状態の北杜夫は、時々行き過ぎがひどく、「スーパーマン」の最後は必要だったのだろうか、などと考えてしまう。あと2作は適度なコンパクトさである。
何も考えずに読める作品で、電子書籍の練習に良いと思うのだが、北杜夫のドタバタバカ小説って電子化されていないんだよなあ。