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主人公が犯罪に手を染めていく気持ちが分からないでもない。ストーリーはすごくいいし、共感できるけど、司法試験に関する部分が甘すぎると思う。
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主人公の「浅はかさ」「幼さ」「自分勝手さ」。でも、誰にでもあり得ることだからこそ怖くなりました。
青春時代に読んでおくべき。
最後に「え?」って、なります!!
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この本を読んで、石川達三にはまりました。ストーリーの展開が面白く、そして、考えさせられました。それから、何冊かこの著者の本を読んだのですが、この本が一番私には強烈でしたね。
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江藤という完璧に見える人間がどんどんと崩れて行く様が凄い
法律のことは特別詳しいのに、その他のことにはまったく世間知らずで
それにつけ入れられて
上手く行きそうだった人生に暗雲が立ち込める
自分の人生だけを円滑に進めるために
彼は殺人を行うが
やってみて分かったことは犯さなくても良かった殺人だったということ
女と男の愛情に対する違いが良く分かる
自分が手玉に取っていると思っていた女に
実は自分が手玉に取られていたということにビックリした
愛に生きる一途な女だと思っていた登美子が
本当は計算高いズルイ女だと分かったのが一番衝撃だった
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人間臭さ、というものがにじみ出ている気がする。
読み進むにつれ重苦しく息苦しくなってくる。
単純なようでいて複雑であり、ひとつのテーマをぶれることなくここまで書ききるのはすごいと思う。
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心ではなく、頭で生きている学生が愛人を殺めてしまう、そんな話。
昭和46年発行。
あの終わり方から、打算的に生きていても、
罪を犯さない限り処罰されない社会性の限界を感じた。
誰も歪んだ社会を直しちゃくれない。
正直江藤みたいな人はうじゃうじゃいるし、
増えている一方なんじゃないかと思う。
大きな変化は起こせないが、これを読んだ人が
自分はそうなるまいと思えればいいんじゃないかと思った一冊。
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全然関係ないメモ
1.この本を買った時、オビが付いていたけど家で外したら思いのほか怖い装丁にびびりました。安部工房の『人間そっくり』みたい…というか、これ内容そのままだろうという絵ですね。
2.この本買おうとしたのは、数年前のA新聞土曜日にこの本が掲載されていたから。ええもうばっちりネタばれしていましたよ、最後の最後まで。
まぁ、その新聞の連載読んでいたせいで『ノルウェイの森』のオチも事前に知っていたんだけどね…。
ちなみにこの本の帯(私が買ったのにはついていた)と本の裏表紙のあらすじも十分にネタばれだと思う。というかあらすじは最後の方まで書くなよという感じ。
で、読んだ感想は
・主人公が三島由紀夫の『天人五衰』のあの少年みたいだと感じた。
・昭和の『イニシエーション・ラブ』だなこりゃ(これもネタばれ?)
でした。でも、主人口の法律オタクっぷりがすごくよく書けているなぁと思います。
どちらかというと、この作者の他の小説が読みたくなる小説。
今度は表紙がまともなのをね…。
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世の中には合理的に割り切れないものが無数に存在する。それを無理やりに合理的に判断しようとすると本書の主人公江藤のような事態に結局は陥ってしまうのだろう。現代的な論理は美しいが、美しいものは一瞬で整合性が崩れ去ってしまう可能性を常に秘めているということを忘れてはならない。合理的などというのは所詮、自己の都合なのだ。すべてを得ることはできない。選択するということは他の可能性を捨てていくということに他ならない。
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大学生のころ、初めて読んで、強い衝撃を受けました。
人間のエゴを見事に描いた作品です。
ラストがなんとも・・・・。
「容疑者Xの献身」なみの大どんでんがえしです。
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090819購入。読了。自分の人生にとって何が大事であるを論理的に突き詰める男の話。高慢だが裕福な女か、貧層だが愛のある女か。
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人間革命は誰がやるんだ?それは教育だ、教育だけしかない。
生きることは闘争だ。平和なんてどこにもありゃしないと。平和を叫ぶ奴の大部分は敗北者だ。勝利者たちは人を押しのけ、打倒し、奪い、自分の場所をつくり、場所を広げ、それから安全な砦と築き、その安全な場所にいて、平和論者の悲痛ウな叫びを微笑をうかべながら静かに聞いている。
理想を掲げて現在を批判することは良い。しかし批判だけで生活は豊かにならないのだ。新しい時代は来なければならぬ。けれどもそのことと、今日をいかに生きるかとは別だ。
責任とは人間が作った観念にすぎない。責任という言葉によって利害関係を調節しようとするのだ。
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本屋で平積みされていて手にとった本
大学生 江藤は貧しいが野心があり、現実主義者だ。
非常に優秀で司法試験に合格、資産家の伯父の娘(康子)との縁談と社会的地位、ブルジョワへの階段を上っていくかに見えた彼の目の前に現われたのは妊娠した教え子(登美子)だった。
彼女に対して彼は死んでくれればいいと思う。
人生設計が崩れることを恐れた彼は彼女を殺してしまう。
無能で受け継ぐべきものがないが、江藤を愛し心底尽くす姿勢の登美子
プライドは高く、愛情を感じないが、受け継ぐべき資産のある康子
警察の取り調べの中で、彼は何もないが登美子となら幸せになれたのではないかと感じる。最後に待ち受ける衝撃の事実とは… (このあたりの江藤の心情は個人的にもわかる気がする。)
現代が生み出した江藤というエゴイズムの塊は特別な存在ではない。ごくありふれた人間の一人だ。世間を法という視点から見る偏狂さ、しかし、それ以外のことになるとまるで何も知らない学生。 現代(これは作品ができた当時だけでなく今も含めて)を鋭く見ている筆者の眼のつけどころに驚いた。
男女のエゴが丸出しの本作からは現代の資本主義社会の闇の一面も見える。資本主義の規律の中で生きるとはどういうことなのかを説いているようにも思えた。
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蹉跌とは、つまずきやしくじりを意味する言葉である。つまり、青春時代に味わう挫折、といったところか。
主人公・江藤賢一郎は法律を学ぶ学生で、成績抜群。司法試験に合格し、末は教授か弁護士かという有望な青年である。ただ、彼が法律を学ぶのは、世のため人のためといった崇高な使命によるものではない。彼自身の家庭は貧しく、学資も資産家の伯父から出して貰っているが、将来の出世栄達により、いわば逆・玉の輿に乗り、自分の人生の一発逆転を狙っているだけなのである。そのため、彼の性格は極めて打算的でエゴイスト。自分以外の他人は皆、敵であり、機会を見てはうまく利用してやればいいなどと考えている、とんでもないヤローなのである。
司法試験に合格し、資産家の伯父の娘との結婚話も持ち上がってきて、いよいよ道が拓けようとしていた江藤に、しかし、大きな落とし穴が待っていた。それは、自分の愛欲を満たすためだけの女性の友人・登美子の妊娠であった。登美子の家は、会社を経営する父親が破産し、貧窮の底にある。登美子は江藤に対し、結婚をしてくれ、子供を産ませてくれとせがむ。江藤は進退きわまり、登美子を殺害するに及んでしまう。
そこから先は、察しが付くかと思われる。法の番人になろうとしていた江藤が、逆に法に裁かれる立場へと転落していく、まさに青春の蹉跌。江藤は確かに頭がいいのだが、それは専攻の法律の世界においてというだけで、世の中のこと社会のことにおいては、あまりに無知でありすぎた。とにかく勝ち馬に乗りさえすればいいという、狭い視野でしか物事を捉えられない青年の悲劇がそこにあったのである。
儂もすっかり勉強オタクになっているが、江藤のような男にはなるまいと反面教師のつもりで読んだ次第。
ちなみに著者の石川達三氏は『蒼氓』で、第1回の芥川賞を受賞した人物である。いい小説をたくさん残した方なので、是非、1冊は読んでおきたいものである。
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昭和43年に毎日新聞に連載された作品です。司法試験を志しながらも利己的で打算的な考え方をする主人公の悲劇的な結末を描いています。私が初めてこの本を読んだのは、昭和の終わり頃で当時20代の独身でした。作品のストーリーや主題はわかりやすく、このような青春を過ごすのは不幸だと感じるとともに若い男女の幸福とは何かを考えさせられました。
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(30年ぶりの再読)
正に自分が見てきた風景、自分が過ごした時代。
「法律を味方につけ、法律を楯にとって、他人の愛情も善意も踏みにじって、自分の欲望を合理化し合法化しながら、世の中を押しわたって行こう」とした主人公の青春の蹉跌が描かれています。
重く積もった雪を掻き分け掻き分け進むような重さを感じながら読みました。