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[ 内容 ]
ラテンアメリカ文学の名を世界に轟かせたアルゼンチンの高名な詩人=小説家が、幻想的なまでの博識とユーモアにみちた静溢さのうちに、半世紀にわたって追及し続けてきた言語、書物、時間、そして不死性の問題へと肉迫する最晩年の連続構演。
[ 目次 ]
書物
不死性
エマヌエル・スウェデンボルグ
探偵小説
時間
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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9/8 読了。
「人は二度と同じ河におりてゆかない」というヘラクレイトスのことばを引用するボルヘスは、方丈記のことを知っていたのかな。東西の文化がこんなふうに微細なところまで似通っているのを見つけると楽しくなるのはなんなんだろう。「書物」の章が特に素晴らしい。書痴・ボルヘスの哲学が詰まっている。
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書物、不死性、スウェデンボルグ、探偵小説、時間がテーマの公演。若干オカルトチック。て、ボルヘスの作品はみんなそうか。
冷たい記述の創作作品とは違って、晩年期のボルヘスの不死性についての語りは熱がこもっていた。
「わたしの意見、わたしの判断、そんなものはどうでもいいのだ。われわれがたえず世界の未来のため、不死性のため、われわれの不死性のために惜しまず力を尽くしてゆきさえすれば、過去の名前などもはやどうでもいい。その時の不死性は個人的なものではない、偶然現れてくる名前や姓、われわれの記憶などなんの意味もないものである。」
自分の人生の終焉が近くなれば、過去に存在した名も知らぬ無数の人々の総体がずっしりのしかかってくるものなのかな、と思った。そういった地点にいる人にとっては、個性とか自我などは気楽な人たちの戯言なんだろうな。
知的な救済といったスウェデンボルグの独特な教義や、彼を囲んでいた古典たちから不死性を導いている点も興味深かった。
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【メモ】
・「時間」で扱われているカントールの無限論関連の話は「無限論の教室」に詳しい。内容は忘れた。
・時間を思索するためには無限についての知識が必須かもしれない。「時間は存在するか」を読まなきゃ。
・スウェデンボルグの死者が自由意志で天国と地獄を選択するという教義は考えるネタとして面白い。人間は生きているときは物質に縛られ自由意志は持ち得ないが、魂だけの存在になったときにはじめて自由意志を持ちえるのかもしれない。
・公演は僕が生まれた日の前日に終わっているが、時差を考えると同じくらいかもしれない。