紙の本
たつみやワールドが心に構築される
2017/07/21 19:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミネルバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
開発と自然保護をテーマにした作品で、私がたつみや 章の作品で最初に出会ったもの。読後に「たつみやワールド」が心にできあがっていました。まして、キツネ、神社が出てくる和風ファンタジー。最高です。
文化的人間世界は開発によってできあがっていきますが、古くからの文化が残っていたり、自然環境をぜひ保護したいと思う場所もあります。しかし、一部の人間の利益優先でこれらの状況を完全無視される場合も現実にあります。
ひと言で開発と言っても色々な状況があり、一概に開発は喜ばしい事とは言えない。この物語には関係ないですが、事実として北海道の某ダムは一部の者の利権のために膨大な税金を使い自然環境を破壊し、そして、使わないダムとは・・・。
この作品は、子ども時代の感性と大人になっているからこその視点で現実のこれからを考える機会が与えられる作品です。
紙の本
イマドキの子も、たまにはこんな本を読んで欲しい
2004/03/15 10:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミケ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先祖代々、裏山の稲荷神社の巫女をつとめるマモルの家に、
不思議な下宿人・守山さんがやってきた。
守山さんはM大学の院生で、専攻は考古学、専門は古墳だ。
中学校で地歴部に入っているマモルは、次第に守山さんの魅力にひかれていく。
そんな時、裏山にレジャーランド開発の計画があることを知る。
海や山や森を太古の昔から見守ってきた“存在”との出会いにより
“信じる”ということがどのようなものであるかを知るマモル。
そして、自然破壊から裏山を守ろうとする守山さんと行動を共にする。
守山さんの正体とは…?
そしてレジャーランド開発の行方は…?
この物語を読み始めてすぐ「あれ? こんな話、前にも読んだことある。」と思った。
佐藤さとるが書いた幼年童話『ふしぎな あの子』とそっくりだ。
『ふしぎな あの子』は小学校低学年向けの本だが、その内容をもっと
深く詳しく描いたのがこの『ぼくの・稲荷山戦記』という感じ。
主人公のマモルが中学生なので、この本の対象読者はたぶん
小学校5,6年生〜中学生なのだろう。内容的にはやはりこのくらいの
年齢の子どもが読んだ方がいいと思うが、描写があまりにも素朴なので
小学校中学年向けの読み物のような印象を受ける。
約20年前に出版された本なので、当時の中学生だったら読んだのかも
しれないが、果たしてイマドキの中学生がこの本を手にするだろうか?
ハリーポッターのようなスピード感溢れる物語は、ほうっておいても
子どもたち自ら本を手に取るだろうが、この「稲荷山戦記」は
ほうっておいたら、本当にほうっておかれそう。
とてもいい本なだけに、残念だ。
ぜひ、小学校の図書館の「今月のおすすめ本」などのコーナーで
紹介して欲しい本である。
投稿元:
レビューを見る
自然と人間の共存を1人の男の子と1匹の狐の友情と、開発工事をする人々との戦いの物語。平成狸合戦ぽんぽこ風のようで違う泣ける作品。
投稿元:
レビューを見る
ファンタジー3部作の一冊。
子ども達にはぜひ読んで欲しいなと思う作品です。
もちろん大人でも楽しめるし、実際、私が読んだのも
数年前なんですけどね(笑)。
ファンタジーが好きな方は、ぜひどうぞ。というか、おすすめです。
自然を守るという、とても大切なことが書かれた作品でもあります。
第32回講談社児童文学新人賞も受賞した作品です。
投稿元:
レビューを見る
中学生のマモルの家は先祖代々に裏山の稲荷山神社の巫女をつとめる家。ある日そのマモルの家に奇妙な下宿人がやってくる。腰まで届く長髪に和服の着流し…アブラゲが大好きな美青年・守山さんがよいキャラクターです。読み終わったときに【自然】について考えますね。環境問題って言葉のイメージと違って決して堅苦しいかしこまったものじゃない。身近どころか自分が生きていること・生きている場所も含めて環境なんだ、と。この本も月神の民シリーズも、たつみやさんの書く言祝ぎの言葉で日本語が美しいんだなぁと実感させてくれます。
投稿元:
レビューを見る
たつみや章さんの神様シリーズ三部作のひとつめ。一緒になって悔し涙が出そうでした。
お狐さんの出てくる話はとにかく好きなんですが、このお話は特に大好きです。
たつみやさんのサイン入りで持ってます!
投稿元:
レビューを見る
たつみや章さんの「神様三部作」の第一作目。是非子供に読ませたい一冊。かなりシビアな現実に無垢な子供の視点で切り込んでいることにまず驚く。登場人物がすべて愛すべきキャラクターで共感できるのもたつみや作品の魅力だ。初めて読んだ時は高校生だったのだが、当時「守山さんかっこいい!」と友人と騒いでいた(今でも好きです … )。だから主人公のマモルになったつもりで、わかりたい、わかってほしいと思い、なくしたくない、守りたいと思える。自然も人と一緒だ。まず理解して、優しくしてあげたくなる、そんな気持ちが一番大事なのかなと思う。自然はいずれ時間をかけて再生できる。本当に自然がなくなって苦しむのは人間達なのだ。第32回講談社児童文学新人賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
ところどころで胸がいっぱいになって目がうるうるしてました。
自然とどう向き合っていくのかを考えさせられます。
今という時代に特にオススメしたい本です。
投稿元:
レビューを見る
たつみや章さんの作品たちの中で初めて読んだ本。
人と自然と神様のお話。
どこか民俗チックでどこか神話っぽくて、おまけに考古学っぽいはなしも絡んできておもしろかった。
すごく印象的だったのが、古墳を開いた瞬間の一連の出来事。
投稿元:
レビューを見る
ボロ泣きです。悔しくって、悔しくって。
みんなで守らないといけないもの。大事なもの。大きくなっても忘れたはいけない気持ち。この気持ちを忘れない限り私は大丈夫。
投稿元:
レビューを見る
小学校の時に読んで1番印象に残っている本です。
狐がとてもいいキャラしてます。
話自体面白く、とても読みやすいです。
投稿元:
レビューを見る
同じ図書ボランティアさんに進められて読んでみましたが、とっても良い本でした。何度も何度も涙ぐみながら、早く続きが読みたくて、2日ほどで一気に読んでしまいました。たつみやさんの他の本も読みたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
2016_015【読了メモ】(160204 0:12)たつみや章、絵 林静一『ぼくの・稲荷山戦記』/講談社/ 1992 Jul 23th/高校以来の再読
投稿元:
レビューを見る
http://tukiyogarasu.blog80.fc2.com/blog-entry-215.html
投稿元:
レビューを見る
レジャー施設の開発の危機が迫った稲荷山の神とその使いの狐から、その自然を守るための協力を求められて立ち上がる少年のお話。
日本人は自己肯定感が子どもの頃から低い、といわれて久しいですが、ひょっとしたら神を信じない、日本独特の無宗教的な風土とその教育が原因なのかもしれない、と最近思っています。
どうあっても自分を認めてくれる存在がいる、という確信が無ければ、自分に対する肯定感というのは自分自身が保障しなければならない。しかし、それは結構大変。絶対的な、でなくとも人の力を超えた何かがいて、それが自分のことを守ってくれている、という感覚が、今までの人類を内面から支えてきたのかもしれない。
そうすると、科学的な、悪い言い方をすれば頭でっかちな価値観、思想が子どもから大人たちまでどっぷり使っていて、なおかつ特定の宗教というのを持たない日本人はその支えを全く持たないで、自然の中を生きているのではないでしょうか。
この作品中、主人公が神に会ってその存在に畏怖を抱くシーンがありますが、こういった経験は現代はほとんどありえない。人智を超えたなにかに対する畏怖、そこから生まれる確信があるからこそ、人は勇敢に振舞うことができる、というのもこの作品のテーマではないでしょうか。
・・・考えすぎでしょうかね?たまたま、最近考えているテーマと合致する部分が多かったので、いろいろ思いました。