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紙の本
異質
2016/02/19 20:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:honyomi - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこかで作者が「異質な作品」とか言っていた気がします。
確かに「館シリーズ番外編」とでも言いたくなる内容です。
ただオドロオドロしい雰囲気が個人的にはとても好きです。
紙の本
館シリーズの変化球!
2002/07/30 14:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
館シリーズの4作目。ものすごい変化球作品が来ましたね〜。
綾辻作品のエッセンスが、ぎゅっと詰まった1冊だと思います。
今回の館は「人形館」。芸術家の父が残した館に移り住んできた
母と、病弱な息子、飛竜想一。その館の中には、父が「動かしては
ならない」と遺言した、パーツの欠けたマネキンがあちこちに
置かれている。そうするうちに、想一の周りで起こる怪事件。
それは想一の思い出せない幼少の記憶と関係があるのか?
この作品が、発表されたのは1989年。この後に続く綾辻作品の
原点とも言うべき作品になっていると思います。(う〜ん、詳しく
書くとネタバレになりそうだなあ…)。普通、私は特定作家の
著作を一気読みするときは、デビュー作から発表された時系列に
そって読むようにしているのですが、綾辻さんの作品は珍しく
バラバラに読んでいるんです。後期の作品を先に読んでいると、
あ〜、ここが原点だったのかあ…、と明確に分かる作品って
あるんですね〜。そういう意味で、私にとっては「人形館」は
かなり重要な作品です。(ものすごく独りよがりな文章だな(^^;)
綾辻作品に慣れている人が読むと、「ん?ここは…」という
ポイントがきちんとあるので、騙されずに展開が読め「ふむふむ」と
いう作品。分からなくて、すこーんと騙されるのも気持ちいい作品。
紙の本
驚愕
2002/04/09 16:39
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投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あくまで個人的な意見だけど、本書は綾辻行人の最高作だと思う。本格ミステリを「意外性の演出装置」だと考えているという綾辻が、意外性をとことん追求した作品だから。「人形館」と呼ばれる謎の館、そこで不審な事件が続発する。事件はエスカレートし、やがて殺人事件にまで発展する、とあらすじだけ説明するとよくある話なのだが、それでもこの作品が傑作たる所以は、やはり結末の見事さによるものだと思う。真相でそれまでの世界が一変し、すべてが無に帰すようなラストの衝撃は、綾辻作品のなかでも最大級の驚きを読者に与えてくれる。太田忠司の解説にもあるとおり、そこでは世界すべてが破壊され、あとには何も残らず、読者はただ呆然とするしかない。いかにも「綾辻らしい」作品だ。ただし、いまのミステリを読みなれた読者は、アッサリ真相に気づいてしまうかもしれない。しかし、だからといって、この作品の魅力が損なわれるわけではないと思う。
紙の本
シリーズ異色作で気付く、主人公への気持ち
2010/01/12 15:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『十角館の殺人』、『水車館の殺人』、『迷路館の殺人』に続く館シリーズ第4弾。シリーズでは異色の作品だ。
シリーズ他作を読まずにこれを先に読んだら…わたしもガックリしただろうなぁ。シリーズものもあまり順序に拘らずに読む方だけれど、これだけは先に読まずによかった(mokkoさん、ごめんね)。だってわたしく、ガックリしなかったのだもの。いやむしろ、かなり楽しんでしまった――おっ!そう来たかっ!!――って具合に。
今回の舞台は京都にある「人形館」。マネキン人形が至るところに鎮座しまするお屋敷だ。このお屋敷の住人で画家の飛龍想一は本シリーズの主人公である島田潔の友人。父亡きあと、母と二人で「人形館」に暮らす――のだが、人形館の一部をアパートとして賃貸しているので、想一と母の他に管理人夫妻と二人の賃借人の計四人が同じ建物に住んでいる。そんな想一の周りで起こる嫌がらせ――玄関先への置き石。マネキンにぶちまけられた真っ赤な油絵の具…。そして届いた差出人不明の封筒。その中に入っていた手紙にはこう書かれていた――思い出せ、お前の罪を。思い出せ、お前の醜さを。思い出せ、そして待て。近い内に、楽にしてやる。
ストーリーは想一視点で進むのだけれど、そこに想一に恨みを持つ人物の視点が突然入ってくる。もちろんこの構成もトリックのひとつ。恐らく読者の半分くらいの人がなんとなくラストが読めるのではないかと思うのだけれど、わたしは最後の最後まで楽しめた。オチが多少読めたって、読者を楽しませてやろうという著者の気持ちが嬉しい。
物語が島田視点で進まないのはいつものことなのだけれど、今回は島田の出番が極端に少なくてちょっと淋しかったのだ。あぁ、わたしもすっかり島田潔のファンだ。
トリックに関しては賛否両論あるようだけれど、先にも書いたが、わたしはアリだと思う。ネタばれになるので詳しくはかかないが、プロローグとエピローグは島田の手紙がとってもよく効いていて、ここにも著者の気概が感じられる。
さぁ、次の館に行かなきゃ♪
紙の本
館シリーズ異色作。
2008/08/04 01:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る
綾辻行人の館シリーズ第四作目。
今回の舞台は、今までの人里離れたような場所ではなく、古都、京都。だからと言って綾辻色が抜けたわけではない。綾辻らしいどんでん返しは健在である。
と言いつつも、やはりこの作品は異色の分野に入るのではないだろうか。
作品を一言で言い表すと、「一人称サイコミステリ」(多分)。館トリックと「思しき」ものもあるし、島田も「出てきてる」し、中村青治作と「思しき」館も出てきてはいるのだが…。ご覧になってください、としか言いようがないのだけれど、違った意味で色々驚かされる。一人称が「ふんだんに」使われている時点で気付かなくてはいけないのかな?
物語は、島田の旧友である飛龍想一が京都に帰ってくる場面から始まる。想一は父が遺した館(後に「人形館」と「命名」される)に母と、館に住む下宿人との共同生活を始めるのだが、次々と怪異が起こる。そもそも館のそこかしこに奇妙な形の人形が設置されている時点で気の弱い私なら精神を病んでしまいそうだが、そこに怪異だ。人形が血(実は血じゃないけど)まみれになってたり、家が何者かによって火つけられたり。おまけに近くでは通り魔事件が勃発する。島田はまだ来んのか、とやきもきした。
どんでん返しの後に思ったことは、「ああ、上手く館シリーズという特徴を使ったなあ」ということだ。
『十角館の殺人』から読んでいる人なら間違いなくひっかかってしまうトリック。ただ、あの事実にはびびる。まさか、である。というか、一人称をこういう風に作者によって使われてしまうと、正直なんとも。粗はあるし、そこが抜け目になるのだけれど…。うーん、綾辻さん、楽しいだろうな、という感じである。
舞台が京都らしく、作品そのものは意外とじわじわ怪談調。じっくり、ねっとり来る怖さ。
だけども一方で、なんだか少しすかされたような気もする。綾辻といったら館トリック、と思っている人は不満足になってしまうかも。殺人事件=ミステリ、というカテゴリには入りにくいだろう。
綾辻初めにこれを読むのはおすすめしません。館シリーズを通し読みしてこそ、この作品に隠された本当の驚きに出会えます。
そういう意味では、この作品自体が館シリーズ全体からの隠し要素になっているような気もします。