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鹿 狸 の死体朽ちていく様子を写真に残したものです。
蛆や骨などそのまま観ることができるので、非常に参考になる。この手の本が好きな方にもオススメ。
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生きているものが死んで土に返っていくまでを撮影した写真集です。おそらく撮っている最中は凄まじい腐臭がしたのでしょうが、それを耐えてカメラを回し続けたであろう作者の姿に感動です。
僕がこの写真集をはじめて読んだのがちょうど高校生のころで、そのショッキングな内容ながら、目が離せずに最後まで読んでしまいました。結構残酷な内容なので、読む人を選ぶ写真集だと思いますが、個人的にはイチ押しです。なんらかの形でその「生」を終えたシカやヤギやタヌキが死臭を放ち、ウジを湧かし、動物に肉をかじられ、骨をしゃぶられして、最後は白骨になって土に還っていく。
その様子が非常に淡々と撮影されていることに、僕は作者に忍耐と根性を感じました。これは書いていいことなのかどうか非常に迷うだけれども、富士の樹海で自ら命を絶った人の写真がインターネットで公開されていて、あえてリンクは張りませんし、そもそもまだ現在でもそのサイトが存在しているのかどうかは定かではありませんので。僕が一時期、まともな精神状態じゃないときによく「彼ら」の写真を見にいっていたことがあるんだけれども、
土に還っていく過程は、生きとし生けるもの全てにとって平等なんだと、そう思わざるを得ませんでした。
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森の中で著者のカメラマンが出会った動物たちの死体。それらが時の経過とともに、どのようにして自然へと返っていくのかを詳細に記録した一冊。
もちろん、人間の遺体が載っている訳ではないが、なぜか自分が死んだ後の事をリアルに考えた。それだけの力がこの写真集にはあります。
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ここには全てを言葉で表しきれない何かがある。感動、崇高さ、神秘…全てを言葉で表しきれないことにこの写真集の素晴らしさがある気がする。
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山の中・森の中で、動物が死んだ、その後。
ご馳走のにおいを嗅ぎ付けて次々に動物が集まってくる。小さな動物も少しずつ肉を削り取るように糧にし、ついには骨まで運び去られていく様子を、固定されたカメラを通しあたかも自分が観察しているかのような感覚で追っていくことができます。
死体が腐敗する、というけれど、この写真集の死体は「うえぇっ」という感覚にはならない。腐敗、という状態に行き着く前に、確かに躍動していた筋肉や骨の動き、視線の動きなどを想像してしまう。
家族と一緒に見た。
生きてるってことについて、饒舌に語られるよりも圧倒的な説得力があった。
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森で出会った動物の屍体を定点観測で追っていった写真集。どうにも屍体に「経過が分かりやすいように」的な編集を感じないでもないけど…この本を人に紹介して真面目に意図を汲める人とだけ仲良くしていきたい。
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森の中で、動物の死体が自然に還っていく様子を定点観測した、かなり変わったテーマの写真集。
この写真集を見ていると、自然が、動物の体を一片の無駄もなく、再利用し尽くす様子がよくわかる。脇には簡単なコメントしか添えられていないのだけれども、写真そのものが、驚くべき自然の働きを雄弁に語っている。
筆者もあとがきで書いていることだけれど、動物の死んだ姿というのは、自然の中ではあまり目にすることがない。死んだ瞬間から発する死臭を嗅ぎつけて、様々な生き物や微生物がよってたかって、徹底的に分解してしまうからだ。
ハエ、ウジ、たぬき、小鳥、テン、などが、腐敗の度合いに応じて獲物に集まってきて、資源の再分配者として、それぞれの役割を果たしていく。
シンプルだけれど、とても考えさせられることの多い、意義のある写真集だと思う。
シカの体毛の大部分が小鳥たちの巣材となり、残りはバクテリアが分解してしまった。ここに死体があった痕跡は、もうどこにも見あたらない。(p.59)
シデムシという昆虫がいる。漢字では、「埋葬虫」「死出虫」と書く。字が示すように、死体にたかる虫である。このシデムシは、ハエと同時に死体にやってくる。それも、腐敗が始まるころからやってくるのだから、驚くべき能力で死臭を嗅ぎわけられるらしい。
ところが、シデムシは死体が非常に新しいうちには現れない。腐って腐敗臭が漂いはじめないと、出現しない。このように腐敗の段階に応じて登場してくる生物がることは、死体処理にとても重要な役目を担っているのだろう。(p.80)
<自然の死>を見つめて気づいたのだが、私たち人間の死は、<物質的に終息する死>が多くなっているように思えてならない。私の家でも、私の祖母は土葬であった。しかし、そのころを最後に私のまわりでも、土葬の習慣はなくなってしまった。すべては火葬なのである。(p.82)
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動物の死体の定点観測をした作品でした。
私は祖父母の家跡地を定点観測しています。参考になればと思い、写真集を手にしました。
体液満たして生きていた動物の死と、有機物と無機物を化合した家とは根本的に成りが異なりますが、主体がなくなっても、世界は早送りせずに進み続けることが共通しているなあと思いました。
秋の死・ニホンカモシカの章でカモシカの死肉を食べる小さなタヌキの体が、3週間後には一回り大きくなっていたところがリアルでした。
命を繋ぐ姿をオブラートに包まずに表現できる手段は、写真しかない。
写真の役割を痛感しました。
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凄まじい写真集。だけど死についての悲惨な気持ち、というより命についての大きな気持ち、に至る本です。むかしむかし、手塚治虫の「火の鳥」を読んだ時のような感じ。この写真集を知ったきっかけがNHK Eテレの日曜美術館の「アニマルアイズ」という回で、写真家 宮崎学の作品、来歴、現在の活動にも魅了されましたが、本人の温かく、ポジティブで、面白がりであり、しかも一本筋の通った語り口にも引き込まれてしまいました。この写真集にもそれを感じ、どんどん動物が身体を失っていく写真をめくりながら、キャプションからは彼の声が聞こえてくるような気がしました。ピラミッド型の食物連鎖ではない、サークル型の腐食物連鎖の凄みを体感しました。誕生と死、という命の根幹がブラックボックス化している現代の生活において、この写真集は幼児教育においてマストかも、とか思いましたが、トラウマになるかな…
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自然の中で動物が死ぬとどうなるかを追っています。
グロではないがあまり鮮明でないので臨場感がわかりませんでした。
死体に蛆がわいた写真でもよくわかりにくかったです。
接写するとグロくなるかと思って遠目で取っていたのだと思いますが。
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巻末の著者の解説まで読んで、この写真集の意味が完結すると思う。
写真は高解像度ではないため、明瞭には状況はっきり見えないが、動物の遺体が腐敗し、虫などの生物に分解されていき、骨となる。
でも、巻末まで読むと、骨がきれいに残るのも、季節などの条件が整わないと起こり得ないことも説明されており、写真集の撮影の大変さも伺える。
死について、ひいては生命について真正面から向き合って、深く考えている著者の思いを感じた。