紙の本
藤原冬嗣と真夏
2022/06/24 20:29
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井路子歴史全集第4弾は藤原冬嗣が主人公の王朝序曲。藤原冬嗣の名前は聞いたことがありましたが、兄の真夏は初めて知りとても興味深かったです。
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藤原冬嗣の生涯。
桓武天皇~平城天皇~嵯峨天皇に至るまでの歴史の波の中をたゆたう人々。のちに平安時代と呼ばれるこの時代は平安ではなかった、ということ。
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774年、奈良時代末期。山部王の長子・小殿、藤原百川の長子・緒嗣、藤原内麻呂の長子・真夏が産まれる。夫々の行く末を追う構成。藤原北家の中興の祖・冬嗣視点で桓武帝→平城帝→嵯峨帝の御世を描く。古代・律令国家から中世・王朝国家へ。「平安時代は平安京遷都からではない」と言い切る著者の、説得力に溢れる良書。文中、適度に小系図が差し込まれてて大変助かった。
冒頭、個人的には山部王(後の桓武帝)に賭ける百川の情熱をもっと見たかった。すぐ死んじゃうんだもん。
あと、平城帝の息子、高岳親王と阿保親王も余り描かれてないのが残念。
真夏・冬嗣兄弟の母親(百済永継)に桓武帝のお手がついて、異父弟・安世も同居してるんだけど、臣籍降下するまでこの子が誰だか気づかなかった私…僧正遍照のパパだ…
冬嗣が内舎人時代、苦悩する桓武帝を見ながら後の蔵人所を思いつく所が斬新…と思ったら、回収されてビックリ。あと、安世の元服後の化けっぷりも爽快。
そこ行くと、「薬子の変」前夜の桓武帝vs安殿は、典型的な父子争いだなあ。
幾ら性格が違うとは言え、同母兄弟の平城帝と嵯峨帝は、真夏・冬嗣兄弟に比べると、余りに疎遠。早くに母を亡くしたら、もっと仲良くても良さそうなのになあ…。
桓武帝の苦悩を救わんと生一本な最澄と、嵯峨帝に渡来本を抱えて来る空海が、何気に好対照。
ところで、冬嗣も美都子も中々好人物なのに、なぜに息子達はあんなになったんだろう…?謎だ。