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暗い。ちょっと鬱々とした気分になる。でも、出てくる人々の強さが、弱さが、切なくて、哀しくて、いとおしい。
原子力発電の子細についてここまでくわしい描写をするのも高村先生ならでは。
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9月13日読了。「このミステリーがすごい!」1992年度の第8位の作品。かつて日本の原子力発電所の建造に関わりソ連・北に情報を流し続けた混血の諜報員崩れ、島田。父の死をきっかけに地元の同期やかつての師、あるいは自分と同じにおいを感じる「良」らの出会いにより、彼の中の「火」がくすぶり始め・・・。とかく自分の過去・出自にこだわり続ける主人公の心理描写・独白が多く話がなかなか進まないが、個人的な動機で関わっていたつもりが各国の思惑が絡まり「不要となれば、いつでも消される」状態に陥る冷たい恐怖や、核やその周辺テクノロジーの言い知れぬ威圧感などが描かれ圧倒される。この話を重厚ととるか、冗長ととるか。
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【ネタバレあり】
数ヶ月ぶりの高村作品。サイン会に行ったことをきっかけにまた高村熱を帯びたことで、まずは、合田シリーズ以外の作品を読破しておこうと思い、書架に眠っていた本作を手にとりました。
全体のストーリー展開は分かる。しかし、細部に話が及ぶと途端に難しくなるいつものパターン。特に、北やCIA、KGBが絡んだ諜報戦では、一体何がどうなっているのか、何故にそう考えられるのかなど、一読しただけでは全然分かりませんでした(一応、戻って読んでみても分からんかった)。一体、高村女史の頭の中はどうなっているのってな感想です。
本作は、前作「黄金を抱いて翔べ」に良く似てました。襲撃対象が銀行と原発で違うくらいで、主要人物の関係なんかはそっくり。特に、主人公が想いを寄せる?対象となる人物も同じように居てて、しかもそれが男ときた。こういう作品を書いてたら腐女子ファンが増えるのも頷けます。
そして、原発潜入を計画してからが高村女史の本領発揮でしたね。原発周辺の風景描写や原発内部の描写の緻密なこと。いちいち考えながら読んでたら、頭がこんがらがるので、適当に流しながら読みましたよ。
主人公島田にある程度感情移入できるものの、細部のストーリー展開の難しさ、独特の緻密すぎる描写など、作品としては超がつく、難しさですが、本屋での日常と本屋を一歩外に出た時の非日常の対比などはよく描けていたと思います。
いつもながら、読書ペースは遅くなり、読破までにめっちゃ時間かかりました。
高村薫作品: 5作目読破
読書期間: 2009.8.?~9.10
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『ベティさんは何にも悪くないのに、一番かわいそう!』というのが私と友人達の感想です。
高村さんの小説は、とにかくひっぱりこまれてしまって、読み終えたあと「あれ?どっちが現実?」ってポカーンとしてしまう。
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高校生のころに読んだ作品。
そして、振り返ってこのレビューを書いているのは2011/5/29。
震災から2ヶ月超。
この作品を読んだ頃、まさかこんな事態が起こるとは想像もつきませんでした。
原子力と研究者の話である本著に名付けられたタイトル「神の火」。
高村氏は未来を見通していたのかと思い鳥肌が立つ。
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2010年5月8日読了。2010年92冊目。
専門的な事柄の説明は読み飛ばすけど、大変面白い。
駆け引きがなにより面白い。
島田が日常の業務に追われている瞬間、取引を行うための
電話を猛然とかける描写はすごいうまいと思った。
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原子力発電所内なんて未知の世界なのに頭に映像が浮かぶからすごい。綿密すぎるくらいの書き込み。よくこんな作品仕上げる気になるなぁ。
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原発事故後再読。
原発のことをより知った後読むと、更に興味深い。
「世界の原子力プラントは、戦争や破壊活動を想定して作られてはいない。平和が永久に続くという架空の条件無しには、決して作ることのできなかったものだった。」
深すぎるじゃん!
破壊活動…自然災害もね。
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仕事の合間にゆっくりと時間をかけて読んでみました。
この作品の取材にどれだけ時間がかかっているのか興味深いです。
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旧版のハードカバーは既読(それを踏まえてのコメントになります)。ハードカバーの情熱で押し切るという勢いはないが、登場人物が柔らかい印象に変わっているようにおもえた。話の進め方も丁寧にじっくり、大事に大事に書かれていると感じる。旧版よりも科学的な描写も(あくまで高村さんのレベルなのでついていけない部分も多いが)平易に近づいている気がしたがどうだろう。良の存在が意外な和みになっているようにおもえ、島田と日野になんともいえない丸みを与えていたようにおもえた。相変わらずののろのろペースだが下巻もじっくり読みたい。
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最終的に福井の美浜原発でテロを起こして、臨界中の原子炉の蓋を開ける話。
旧ソ連がまだ存在した時代の東西冷戦を背景に、
日本人としての自立を模索した結果スパイになった江口、
江口に気に入られて原子力技術者の顔を持つスパイになった島田、
島田の幼馴染で人生の行きがかり上北朝鮮との柵に囚われた日野が、それぞれの思惑で動き始めてクライマックスに至る。
その3人に絡むのが、ベラルーシ出身らしい、違法難民(スパイ?)でありテロリスト(になろうとしている)高坂良。
3人とは違い、思想や人間関係の強いしがらみが無い状態で
『原発』というものに向きあう良が発する、
日本の原発は戦争やテロが起きないことを前提に運用されていることに対する疑問に誰か答えられる人はいるのだろうか。
とりあえず島田が箱入り娘並にぴゅあで時々困った。
振り回されるベティさんが可哀想すぎる。
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震災関連のニュースで高村薫のインタビューを見て読んだ。著者がどこまで意図したかは不明だが、安全神話がその名の通り神話に過ぎないことが判明した今、原子力発電の必要性を含め、私たちは今後どんな世界を築いていくのか、人類というものが試されているのかも知れない、そんなことを考えた。
作品では原子炉のメルトダウンまでは想定されてないが、チェルノヴィリの実例が過去にあったように、完全な安全などないと警鐘を鳴らしている。
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「神の火」と名づけて操ったと思いきや、地震・津波でもろくも拡散した放射能。
そんな時にどうしても「再読したい」と思い、手に入れなおしました。
ニュースで盛んに聞いた「タービン建屋」などの聞きなれない単語が、この作品ではバンバン出てきました。
主人公よりもロシア人の「良」や日野草介が印象に残ります。
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冷戦時代の終わり、日本を舞台にしたスパイ物です。男前3人の関係が微妙だけど、それはさておき、精密に描写されている話は好きなので、じっくり読めて楽しかったです。暴力と孤独。平穏な日常から狂気へと加速してく物語。結末がとても寂しい。
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高村薫さんの本はディテールが細かい。時にそれが苦痛になって読み飛ばしてしまうときが多い。
しかし、この人の書く大きな流れが好きでお気に入りの作家の一人だ。
この本はなぜか手を出していなかったのだが、
多くの人が書いているように 福島第一原発の事故がおこって 読まなきゃと思った。
『純粋な理論と人間の良心を信じた原発の存在が、現実世界の悪意と暴力の前でどれほど矛盾に満ちているかを、見つめるべきだ』
この本の本質を一行で描くとすればこの文章になるだろう。
911テロ・第一原発事故をみれば、人間が“神の火”を完全に制御できるわけなど無いのだ。仮に津波から完璧に防御できたとしても911のようなテロも前にはなすすべもない。
そうした人間のおごりを今回の地震で万人がかんじたことであろうが、
広瀬隆「東京に原発を! 」ほど理屈っぽくなく
エンターテイメントの枠組みの中で、それを理解させてくれる小説だ。
それにしても、一流の作家の取材力には舌を巻く。