紙の本
耽読者たち
2020/03/31 07:52
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
電子書籍やインターネット通販が主流になる今の時代に、1冊の本を求めてフランスまで足を運んでしまう著者の情熱に胸を打たれます。海外の古書コレクターたちの、並々ならぬ思い入れも伝わってきました。
紙の本
かつて映画狂だった大学教師が次にはまったのはフランスの古書。日本では稀有の19世紀フランス稀講本コレクターである著者の体験談を通して西欧における本の歴史に触れられる格好の書。講談社エッセイ賞受賞作。
2001/03/15 01:23
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投稿者:櫻泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランスの古書店は語学力がなければ、とても立ち入れぬ領域。著者が苦労して得たであろう知識を惜しげもなく簡単明瞭に披露してくれる。かつてヨーロッパで書物は庶民にとって高嶺の花だった訳もわかる。装丁本とは、正しい本の扱い方とは、コレクションの分類法、本の紙質、版画の技法、オークション…ページのそこここに挿入された著者のコレクションの挿絵。さまざまな読み方が出来る本だけに、書店ではどの棚に置こうかと苦慮する本ではなかろうか。五・七・五の書名からもセンスを感じる。
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古本屋でこの背表紙を見た時、古典的表現だけど、稲妻が走ったね。
この題名に首肯しないやつは人間じゃないね。逆だって? 知らんよそなもん。
帯の文句からして、「買うも地獄、買わぬも地獄」だもんな。
さて、内容は古本ヲタクエッセー。
著者は19世紀のフランス挿絵本のコレクターなんだけど、そこに書いてあることは、全古本ヲタクを号泣させるに違いない。
一つのジャンルを征服すると次を探す、とか、購入金額の上限を決めたのは遠い昔の美しい思い出、とか、
都会は荒らされてるから地方の方がいいものが残っているんじゃないか……これらが、涙なくして読めようか!?(いや、読めない)
ちなみに、表題は、フランスの古城巡りをすると家族に偽って、古本屋に行くエッセー(笑)
というわけで、激オススメ!
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フランス挿絵本に魂を売り払った著者が、フランスの古書の魅力に取りつかれ、古書収集の世界に足を踏み入れて、ずっぽりハマっていく喜びの過程を、ちょっぴりの自嘲とたっぷりの自慢を交えて語った本。観光にかこつけて家族を連れ出した旅先で、古本屋を巡って本を買いまくる著者の姿が、外国のワイン屋でリーファコンテナの申込書を書く誰かの姿と重なって、涙を禁じえなかった私だ(笑)
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投資の先生がおすすめしていたので読了。
古本コレクター・大学教授の著者がフランスの挿絵本を異常な執着心で買い集める話。
古本のコレクトという一見有限な趣味も、興味のあるジャンルの本も手繰ると無限の広がりを見せる。
趣味にハマると抜け出せなくなるとは、古本に限らずまさにこのこと。
子供をつれた旅行でも古本屋巡りに没頭するのがすごい、というよりこんな異常な執着を持ちながら仕事も家族も養って社会生活を送れることに感心してしまった。
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買うも地獄、買わぬも地獄。達意の文章で綴る洋古書の魅力とコレクション地獄の恐怖。(帯)
洋書コレクター鹿島さん二冊目。
あとがきにあるように、古書蒐集の話だけでなく、フランス洋書の古今も語られています。
…その点、興味の薄い自分には少し辛かったり。
古書店のランク分類やオークションの実態など、雑学的な楽しさを得られました。
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20180805読了
1996年発行。講談社エッセイ賞。この書名がインパクト大。古書の値打ちが決まるポイント、古書店のランク、オークションの仕組み、日本にいながらFAXで注文し受け取りは現地で、などなど、フランス古書マニアの世界をのぞき見ることができるのはおもしろかった。マニアックな話題になるとついていけなくなるのが正直なところではあるけれども。読後、自分の配偶者がコレクター気質でないことにしみじみと安堵した。土地と家を抵当に入れてまで古書に固執されたらこっちがおかしくなりそうだから。書名と同様の題がつけられたエッセイ(P153)がおもしろい。