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紙の本
「忍者秀吉」の暗躍と苦悩が活写されており、リアリティの肉付けも見事
2007/05/30 18:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いえぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本能寺における「秀吉犯人説」を更に発展させ、秀吉は忍者であり、本能寺の変の実行犯だった、という筋立てで展開している作品です。巻頭にいきなり、本能寺の変のシーンを持っていき、読者を引き込む手法を取っていて、理屈抜きに度肝を抜かれました。
本書の特色は、「秀吉がバリバリのプロ忍者で、本能寺の変を、伊賀の指令により実行した」という、奇想天外とも言える設定に、キャラクターが負けていないことを挙げることができます。本能寺の変のシーンから一転、幼年時代からの秀吉の姿が描写されることになるのですが、そこに見られるのは、マシーンのような忍びとしての秀吉の姿ではなく、小説やゲームなどで頻繁に描かれる、陽気で人を惹きつける、「猿」の姿です。ですから、秀吉は、信長を慕い、忠誠を誓い、陰と日向の双方に渡って、忍びの者を重く用いた信長を補佐していくわけです。しかし、二人の親しい関係は、信長の圧倒的な兵力による伊賀攻めによって破綻します。織田家家臣であると同時に、伊賀者でもある本作の秀吉は、背けぬ指令と忠義の板ばさみになって、悩み、苦しみます。秀吉の人間らしい葛藤が活写されていることで、本作の本能寺は、一際異彩を放つものになっていると言っていいかも知れません。
更に、本書の根底にある設定に、歴史的な面からの肉付けがなされているのも否めないところです。秀吉の出生に関する僅かな記述や、信長の忍者に対するスタンスを、資料と同時に提供しているため、実録もののようなリアリティと、推理小説を読むに近い楽しみをも味わえる、何ともオイシイ一冊です。
「リアル」派でも、「ファンタジー」派でも、納得のいく良作ではないでしょうか。ただ、秀吉の生涯を一冊にまとめているので、どうしても早足に感じてしまうかも知れませんが……
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