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電子書籍
水上さんの嘆き
2016/10/03 22:59
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
失われ往く江戸を懐古するのが永井荷風ならば、失われ往く物や伝統を惜しむのが水上勉である。取材をされている当時が昭和40年代頃。この時ですでに古き良き伝統は風前の灯。水上氏の愁嘆も行き場がなく、吐息とまじり空に散ってしまう。易きに流れ、量産の時代にだんだんと移ろいゆく現状、見るに見かねて日本伝統工芸の職人を巡る。職人たちはもう諦めの境地。いくら無形文化財に認定されようとも、政府が保護するわけではない。唯一、皇室がその火を絶やさぬよう目を掛けているという。皇室、日本の心。最後の砦は皇室にあるのかもしれない。
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