紙の本
沖縄にじっくり浸る
2006/12/04 12:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
壮大な沖縄の物語。
二段組で500ページを越すボリュームに最初は圧倒されました。
かれこれ一ヶ月以上、手元に置いて少しづつ読み進めていましたが、
半分を過ぎた頃から最後までは一気でした。
「だからよー」
読み終わった今も、おばあの言葉が頭上をよぎります。
タイトルの風車祭(カジマヤー)とは、数え97歳のお祝い。
この祭りを来年に控えるフジおばあが実に人情味があり、
よくぞここまで長生きをしたものよと思わせる強烈な人物で、
おばあ旋風を撒き散らす。
フジおばあの家に出入りする島の高校生、武志。
彼も重要人物で、
言わばこの物語はフジおばあの沖縄の日々と
彼のラブストーリーの堂々二本立てといった感じ。
高校生の甘く、青く、切ない気持ちが
沖縄の風景に色濃く溶ける。
フジおばあと武志の周辺では
信じられない事件が続出して、
喜び、怒り、泣き、そして笑い、まさに五感フル活動。
マブイ(魂)を奪われてしまう、
二百年以上も生き続けている女性…。
不思議な体験や不思議な人物との出会いが続出。
次々登場する人物があまりに濃い人物ばかりでこの点でも圧倒されるが、
ギーギーという名前の豚、
武志に片思いをする彼女もまた忘れられない。
沖縄の風習やお祭りなどが社会の教科書なみに
記されていたり、
島の唄がたくさん紹介してあったり、
沖縄にじっくり浸れる一冊だった。
紙の本
沖縄妖怪スラプスティックラブコメディ
2000/09/27 12:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ざぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
純朴で素直な高校生武志と、オージャガンマー以上にパワフルな老婆フジ、案外まともに見えて妖怪であるという自覚に乏しい分ハタ迷惑なピシャーマ、豚でありながら一途で健気で頑張りやさんのギーギーが巻き起こす超ドタバタ活劇。
舞台は『バガージマヌパナス』に引き続き、沖縄。私が知っている「日本」とは明らかに違う風習、伝統が息づいているその土地は、まるで異世界だ。でも、地続きだという感覚が確かにある。異世界のように見えて、異世界ではない、この世界の続きに確かに存在する「沖縄」。私は沖縄には行ったことがないが、そういう感覚が、池上永一や目取真俊の作品の魅力だと思う。
このお話は言ってしまえば武志をめぐる切ないラブストーリーである。武志とピシャーマの報われぬ恋にからんで、豚妖怪ギーギーの武志に対する一方的な片思いの切なさ(ピシャーマよりもこっちの方がハイライトである)、武志の魂が勝手にアプローチしてしまった睦子の悲劇(?)、これら人間×魂の恋愛談は、想像通り思わず笑ってしまうような無茶苦茶なものばかりなのだが、ラストには思わずホロリ。超一流のラブコメディであると言えよう。
そして当然、破天荒おばぁフジを筆頭とする老婆たちの活躍も見逃せない。私的にはトミにももうちょっと活躍してほしかったような気がするが、ツカサやユタ達がそれを補ってあまりあるので、婆萌えな方には必読だ。
536ページ全編に、愉快で明るくさわやかな沖縄の空と大気が溢れた一編。読み応えありまくりのエンターテインメント巨編(ちょっと高橋留美子を思わせる)。お薦めである。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常に濃いものを詠んだという満腹感を満足感を味わうことが出来ました。笑いあり涙あり、暴走老人や魂やら何が何だかと困惑している間にあっという間に最終章へ。分厚さを感じさせない、疾走感があります。
紙の本
とにかく長生きしろ!!
2003/05/03 11:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:渦巻 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は大好きだ。
一度図書館で借りて読んだけど、改めて購入してしまった。
とにかく老人が元気だ。
本土の老人を創造してはいけない。
すでにオバァという、独立した生き物のようにパワフルだ。
うねる熱気…主人公である少年を飲み込んでしまう。
長生きに命を懸けるオバァと、魂だけの存在で長生きしてしまっている少女、その少女に恋をしてしまった少年、またその少年に恋をしてしまった豚のすったもんだの話。
読めば元気になり、悩んでいたこともどうでもよくなってしまう。
くよくよしてても仕方ない、とにかく生きなくちゃ!
元気になりたいなら必読!!!
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二度目の正直で中身を開きました。
この人の文章は読みやすいので、本の厚さの割りに読み始めるとあっという間でした。
前に読んだ「夏化粧」はオンラインか何かの連載だったそうで、そのときそのときでこっちに飛び、あっちに飛び、という感じが非常に不安定で読みにくい感じがしたのですが。カジマヤーは一本調子で貫かれていて、非常に読みやすい話だった。
私は物語というのは一本の大きな川で、作者はその川で川くだりをする船の船頭さん、読者というのは船頭の操る船に乗る人々、だと思っています。
船頭は川を下る楽しさの全てを乗っている人に伝えなくてはならない。
静けさも急流も、間間にある奇岩、景勝地、全てのポイントを下流に着くまでに回らなくてはならない。船はスピードがなくっちゃつまらない。けれどもスピードが速すぎると景勝地を全て回るために船を操るのが難しくなってしまう。
そのバランスをとりつつ、面白い景勝地を上手く回っているのが「風車祭」だと思う。
「夏化粧」はね、操ろうとしてはスピードが落ちすぎて、スピードを上げてしまうと景勝地が全然回れなくって、みたいなところがあったかな、と。
この話は、読んでみて「白き魔女/Falcom/PCゲーム」だな、と思った。
物語の持つ基本構造、いいたいテーマなんかが同じなのだと思う。
「白き魔女」の持つ基本構造がやはり、RPGの元祖「指輪物語」からきているのだとすれば、物語の種類、というのは実のところとても数が限られたものなのかもしれない、とも思う。
でも。
じゃあ、「カジマヤー」と「白き魔女」が似ているのかというとほとんど似ていない。
「カジマヤー」に流れる極彩色の奔流は「白き魔女」にはないし、逆に「白き魔女」がもつ月の光のような繊細な物悲しさは「カジマヤー」にはない。
同じ物語の軸を使っていたとしても、まったく同じ物語というのはありえないんだなあ……としみじみと思いました。
最後の方は感動を一気に感じたくて夜更かしして読んじゃったけど、つらつらとこの色彩の川流れる世界に身を浸してみると、世界が色鮮やかに見えてくるような気がします。
モノクロームの世界に飽きてしまったら一読をお薦めします。
(20040426)
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沖縄の八重山の島が舞台のファンタジー。
嫁入り行列の最中に神の力でマブイ(魂)だけの存在になって226年も島をさまよって存在する娘ピシャーマ。
高校生の武史は偶然ピシャーマと出会い、恋に落ちる。しかしマブイとの恋は成就するのか?
島一番の大嘘つきで命根性の汚い中村梁フジオバア(96歳)の陰謀や、妖怪豚のギーギー、武史のことが好きな同級生の睦子などがおこす騒動によって話はどんどんややこしくなっていく・・・
笑いあり笑いあり、という感じでこの長さでも最後まで勢いが衰えない。
そんな中、島の伝統的な祭礼や御嶽の由来、魂とマブイの概念など、「沖縄ごころ」みたいなのがたっぷりと語られていて読んでる間中心はもう島人である。
もちろん本当は、島人は島人でも試される北の大地なのだが。
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長生きに異常な執念を燃やす島のオバァ、フジは、九十七歳の生年祝い
「風車祭」を無事に迎えようと、家族や島人を混乱の渦に巻き込む。一方、
神事を怠り危機に瀕した島の運命は?島の祭や呪術を背景に、オバァや巫女、
六本足の妖怪豚が大活躍する、生命力とユーモア溢れる壮大な物語。
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071030読了。長かった!!!石垣島を舞台にし、八重山諸島の伝承を交えた不思議なお話。でも、池上さんの書き口なので、とても読みやすく、おもしろい。マンガ化されているようなので、それも読みたい。
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石垣島を舞台にしたあの世とこの世とそして歴史を土台にした壮大なファンタジー。登場する場所場所は実際に石垣島にあるので、旅行の際には是非!探索を!!でも、十八番街(びっちんやまに行こうとした)だけは、市場のおばあに怒られてしまいました。。。(笑)
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図書館でふとタイトルが目に入って、借りたという偶然の出逢い。
沖縄好きなのでアンテナがキャッチしたんでしょう、きっと。
石垣島を舞台にした笑えるファンタジー?小説。
八重山の言葉も響きが面白くて読んでいて楽しい。
とにかく老人力がすごいんです(笑)
生きるためなら何だってするオバァ、読んでいるうちにすっかり虜になって
しまいました。
島が浸水した後に、子ども用のビニールプールを船にして、スーパーまで
強盗に行くようなオバァですよ!(結局沈没するんですけど)
もっと色々面白い話があるんだけど、ネタばらしちゃいけないからこの辺で。
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「〜。男なら、たとえみえなくても、声が聞こえなくても、好きでいつづけろ」
あぁーー、凄く良かった!!!
読んでいる時はもうこの長さと意味不明さに、ついていけなくなりそうなことがあったのだけれど、読み終わって、その後漫画まで読んじゃったりしたら、もうするめのように、噛めば噛むほど味が出てくる感じなのだ。
泣けるシーンは、何度読んでも泣けてくるし、再読破したくないけどどこかまた読みたい、、、なんて思わせてくれる1冊。
沖縄行きたくなったさー。
【2/14読了・初読・市立図書館】
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和製ファンタジー。
まずすごいのはフジオバァですな。
彼女はまるで妖怪です(笑)
生きる妖怪。
ふとしたきっかけで
マブイを落としてしまった武志。
しかしそれがきっかけでさまざまな
見えぬものとの出会いが…
途中生々しい表現がありますが
軽く読み飛ばせばよいでしょう。
沖縄の言葉が所々出てきて
どこかほのぼのとしている作品でした。
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沖縄ってやはり別の国だよね〜。習慣や祭りが独特だもの。そこがすごく魅力的。昔ながらの行事などは無くならずこれからも残って欲しい。
しかし、オバアが何人も一緒に暮らしているというのは大変な環境だろうな。ブジは長寿に関しては一歩も譲れないみたいだし。あれほど長寿に執着していれば長生きできるハズよ。何事にも動じずデーンと構えているふてぶてしさが魅力だね。自分の祖母だと面倒だけど(笑)。
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昨年の年末から1ヶ月半近く?かけての読破!! ホントに長かった。。。物語は、石垣島の1年を、マブイ(魂)を落とした少年とマブイを無くした花嫁、風車祭(カジマヤー)と呼ばれる数え97歳の祝いを迎えることだけに執念をかける96歳にして子供みたいなフジおばぁ、神に愛された浮浪者兄弟チーチーマーチュと、ターチーマーチュなど個性豊かな島人らが、ある神のお裁きに遭遇していく物語を、年柄年中執り行われている種々の島の祭に合わせて語られている、、、と言ったらスゴイお話のようであるが、10分の9ぐらいは、しょーもないおばぁの戯言と、淡い恋を妖怪ブタにジャマされる苦難の少年のしょーもない話であるw しょーもない話が長すぎて、何度もリタイヤしそうになったが、最後まで読んで良かったです。最後はウルルとしました。いつか、石垣島に行って祭に参加してみたいな。
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沖縄のことがもっと好きになる一冊。それにこれ程色々なお祭りがあるなんて吃驚する。本当に不思議な文化は面白さ満載だ。
池上さんの話しはオバアがすごく魅力的で面白い。フジオバアみたいな生き方って変に真っ直ぐで呆れて笑っちゃうのに、どこか憎めなくて優しいとこが良い。武志の成長を描いている部分もあるのかな?
途中はどうなるんだ!?と思うくらいバタバタと進んでいくけれど、思った以上に(?)純愛を含んだストーリーに仕上がっている。ギーギーが介入した部分があるので、ちょっと純愛から外れるような気もしないでもないけど…(笑)いやあ、結構長いです。でも全てで一つの話に落ち着いてるところが本当にすごい。