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紙の本
17年ほどお待ちしておりました。
2001/01/29 21:16
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投稿者:元パンク少女。今は堅気。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の紹介で、必ず「元パンクロッカー」って書かれてるでしょ。でも町田町蔵として、INUというバンドで歌っている姿を見ていた人はそれほどおおくないよね。
20年近く前だもん。私は本当に大好きでした。LPジャケットの町蔵君の顔写真を毎日見て、その歌をヘッドフォンで大音量で聴いていれば、不思議とご飯なんて2日に1回でも全然平気なくらい。あの歌声の切なさ、破壊力がそのままこの文体になった。
「夫婦茶碗」のほうも文章の隅々まで破滅的に笑えるおもしろさ。しかし、元パンク少女のおばちゃんとしては、この本の後半の「人間の屑」に打たれました。
すごいよなあ。昔、恋いこがれていたパンクロッカーと、私も出会って、騙されて子ども産んでアナルインパクトと名付けられたクラブに通いたい。
町蔵君も町田康さんも、よれよれで、無茶で、お気楽で、最高にかっこいい!!大好き。
紙の本
崩壊する「リアル」
2002/04/19 20:56
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投稿者:植尾亜衣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「夫婦茶碗」の主人公<わたし>は何をやっても上手くいかない。一日中、家で空想とも妄想ともつかない思考遊びに耽り、目下冷蔵庫の卵並べに執心している。ようやくありついた仕事もさっさと辞めてしまった。そんなある時、<わたし>は想像力を生かしてメルヘン小説で一山当てることを目論む—。
しかし、愛する妻のため、守るべき家庭のために、なんとか金を稼ごうとする<わたし>の努力はどれも空回りに終わってしまう。独特の口語リズムで綴られる主人公の日常はどこかズレていて、微妙に間違った方向へと加速度的に突っ走って行く。それでいて、あくまで真摯な彼の生き様には、奇妙な可笑しみがつきまとう—。
おそらく<わたし>が望んでいるのは「普通」の家庭だ。しかし、彼は自分の求める「普通」に確固たる形を与えることが出来ずに足掻いている。砂に呑まれるように崩壊していく「リアル」を繋ぎ止めるために、彼が起こした行動とは、日常の輪郭を描き出すことだった。ラストシーンの主人公の姿を、滑稽だと切り捨てられる者は、最早いないであろう。
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たった1行
2002/01/13 14:37
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投稿者:やすこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
悪態も、これだけ積もり積もればたいしたもんです。あの漱石の「吾輩は猫である」だって、要するに猫の悪態小説です。でもそれだけではなく、作品のイメージそのものをがらりと変えて決定づけさえするような、たった1行の言葉の魅力。町田康はやめられないです。
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平易な狂気
2001/10/27 13:33
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投稿者:H.N - この投稿者のレビュー一覧を見る
狂気を描こうとする際最も簡単なのは異常な言葉を並べる事だろう。だがこの筆者は一つ一つは平易な言葉を用いながら全体を見ると明らかに狂気を含んだ文章に仕上がっている。この狂気が夫婦茶碗の面白さになっているのでしょう。
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あんまり本は読まないのですが
2001/09/09 19:10
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投稿者:nama5M - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったです。自分の文体や言語や世界観っつーのは、おしつけがましく往々にして角が立って、おうおうとなるわけですが、おうおう、読む前に書き手のキャラクターが受け入れられてるというか、つまり おもしろかったんですよ。
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小熊に苦悩する男
2001/08/23 00:20
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投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽に金儲けしたい。そして遊んで暮らしたい。著者の普遍のテーマだが、今回は金儲けのためにベストセラー童話作家をめざす男の悲劇だ。恥ずかしながら自分もなってみたいと思ったことがある。だが所詮、欲に駆られた人間にファンシー思考は無縁なのだ。
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ダメっぷりもここまでくると爽快か
2001/05/30 04:58
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投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
町田康の文体は簡単に書けそうでいて、その実難しい。あのキレ味を作品中持続させられるのはやはり天才わざと言うしかない。この表題作も圧倒的な強度で、仕事が続かず夫婦仲も気まずくなっている男のどうしようもない顛末を語るのだが、妻と夫が下らない冗談でコミュニケーションをはかろうとする下りは、憐憫に満ちた愛を感じさせもする。
「人間の屑」の方はちょっと破綻の仕方がパターンに忠実すぎて、あまり楽しめなかった。まあ人間の屑だからそれでいいのか。