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本当の戦争の話っていうのは、クソにまみれて死んだり、地雷で吹っ飛んだ仲間の死体を鼻歌交じりに回収したり、徴兵が怖くてカナダ国境付近まで逃げたり、でも体面だけで徴兵に応じたり、数学者になりたかった若者を殺したりすること。それだけ。
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ベトナム戦争中、現地で戦う青年たちの、
違うかたちの、青春の1ページ。
命がけなんだけど、やっぱりまだまだ子供なんだ。
重いけど、軽やか。(R)
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「本当の戦争の話をしょう」「ほんとうのせんそうのはなしをしよう」「本当の、戦争の、話をしよう」読んでる間、この題名をぶつぶつぶつぶつ頭の中で繰り返してた。声に出しても言ってみた。何か不思議な魅力のある題である。月並みな言い方をすれば、本が語りかけてくるというか、そんな感じだ。この「本当の戦争の話をしよう」は邦訳題で、原書版は"The Things They Carried"(邦訳:兵士たちの荷物)になってるのだけど、訳者が指摘するように前者(原書:How to Tell a True War Story)の方が適訳だと、僕も思う。
題だけでなく、声に出して読みたくなるようなシーンがいくつか出てくる。村上春樹の力によるところもあろうが、その素直というか、無邪気というか、ストレートな表現スタイルが貫かれ・・・・なんて言えばいいのか、そう、筆者との距離をあまり感じない。つまりさっきの月並みな言い方がぴったりくる例えだ。ここに語られていることが間違いなく、オブライエンの口から発せられたことなのだという安心感がある。(だからその口に合わせて一緒に語りたくなってしまうのだろうか。)
その語られる戦場の光景。あまりに日常的な戦場の光景。久々引き込まれる本だった。
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これが村上春樹の訳著だったとは知らなかった。
難しい本で、あたしは何度か読まないと分からないかも知れない。
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・地元の古本市にて30円で購入。「心臓を貫かれて」以来の村上春樹訳の本。いや、ライ麦~以来か?まあいいや。
・22編の短編が収められているけど、ただの短編集じゃない。連作集というか、誰かが言っていた「コンセプトアルバム」って表現がピッタリ来るような作品。
・作者のティム・オブライエンが、ヴェトナム戦争でどれだけ打ちのめされたのかを静かにひたすら綴られている。いや、淡々と綴られるエピソードの中から、彼が、アメリカが、この戦争でどれだけ深く打ちのめされたのかがはっきりと見て取れる。作者は戦争から帰っておかしくなったわけじゃない。「ディアハンター」みたいになったわけじゃない。でも確実に。
・「本当の戦争の話というのは全然教訓的ではない。」これは本当の事だと思う。考えさせられる。けど戦争に参加したことのない俺が、戦争の話なんてそりゃ教訓的であるはずが無いだろ、って言うのは違うようにも思う。知っている人だけが言える台詞。
・彼は本当に人を殺したのか。この本の内容は全て創作なのか。実話なのか。この本からはらそんなことがどうでも良くなるくらい、はっきりと真実が伝わってくる。作中に彼の10歳の娘が出てくる。けど彼には娘のキャスリーンなんていない(あっちのwikipedia見てみたけど、言及は無かった)。
・救いがあるとしたら、中隊の仲間達に注がれる暖かで親密な感情にじんわり救われる。
・どうしてこれを村上春樹が訳したのか、良くわかる。「死者の生命」での死者に対する見方ってのは、「ノルウェイの森」でのワタナベのようだ。この2人の小説家は確実に世界観を共有している。と、思う。
・ところで、好きな作家の訳した本を読む、これ以上の幸せがあろうか。第一に好きな作家の訳であることの贅沢。第二にその作家の心の琴線に触れた、セレクトされた本であることの至福。素晴らしい訳だった。
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私の知ることのできない戦争。
戦争を題材にしたさまざまな種類の作品群を読み通すことはほとんど困難でしょうが、
故スタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』もそうでしたが、これもまた戦争の一部であり、
学ばなければならないところが少なくないはずです。
これらを「品性に欠ける」と一蹴することは容易です。
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「話の始まりはこうだ。名前のない死体が一つ」
これはベトナム戦争を舞台にした連作短編小説である。語り手=主人公は著者の名前でもあるティムだが、全てがノンフィクションではない。
「物語(ストーリー)が我々人間を救済する」というのは、この連作の最後に納められた短篇のテーマである。「作者は死者の人生を、誰かが手に取って読み始めるのを待つ本」と言う言葉で語る。
主人公の死んだ恋人は夢の中で主人公に語る。
「自分は誰にも読まれない本の中に収まっている。図書館の上の方の棚にある古い本で、誰かが手にとってくれるのをただ待つしかない。あなたがその本を手にとってくれる時私はこうして生き返っている」。
この物語では、
「お話」=「トランキライザー(精神安定剤)」=「一種の逃避」であり
「お話」=「死者の魂と体をもう一度一緒にするための方便」=「死者への弔い」とう構図ができている。
特に好きなシーンは、彼女の死体と対面するときの描写を「ファーストデート」「良い印象を与えたかった」と表現しているのがなんともニクい。極めつけが死体の彼女を「彼女は死んでいるように見えた」と言っているのが象徴的である。
The thing about a story is that you dream it as you tell it, hoping that others might then dream along with you,
お話の大事なところは、君がそれを語りながら、それを夢見ているというところだ。他人も自分と同じ様に夢を見てほしいと望みながら。
「おまえにはちょっとリアルすぎたかな?」「そうだよ」「かなりリアルすぎる」
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一兵士がありのままに語った、エピソードのように進められて行く話。戦争をありのままに美化もすることなく語られる。読めば漠然と否定していた戦争観も変わるのではないかと思います。
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戦争美化でもなければ、平和賛美でもない。
本当、というものは捕らえどころがない。真実には、必ず「己の」という但し書きが付く。
それでも。
「戦争」という状態の中にしか存在しない普遍的な実感はあるのだろう、ということを思わせる
事実に基づいた強かで切ない短編集。
訳が秀逸。
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村上春樹氏の魅力が、なぜか私には理解し難かった。生への、すべてへの、静かな諦めを感じてしまい、自分の感性とは合わなかったのだと思います。でも、彼は私にとってずっと気になる不思議な存在でした。
今回本書を読み終え、衝撃を受けました。なんて美しい日本語なのでしょうか。真夜中の閃光、肥溜めに沈む人間…残酷な戦争現場を描写しているはずなのに、それでも彼の紡ぐ言葉は美しい。
村上春樹氏の素晴らしさが、少しだけわかった気がします。
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作者と同名の主人公ティムが語る、ヴェトナム戦争の話。
徴兵から逃げたり、兵士を殺したり、とんでもない惨めな思いをしたり、仲間が死んだり、アメリカの彼女を思ったり、生死の境で生きているということを強く感じたり、戦争が終わってもうまく日常に溶け込めなかったり・・・
なんというか、「本当の戦争」っていうのは、映画やニュースでやっているような戦争ではないんですね。結局戦争にいちばん身近にかかわっていたのは兵士だし、その兵士が生きてるひとりの人間として感じたことすべてが、戦争というものになるのではないかと思います。
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ティム・オブライアン自身と呼べる
語り手がベトナム戦争に参加する過程から
帰国して日常に戻るまでを
内側から淡々と描いている。
初めて人を殺してしまった時の
死体を見下ろしながら死人となってしまった
ベトナム人の彼の背景を想像しながら
執拗に克明に死体の様子が語られる。
自分が殺した自分と同じような華奢な青年。
自分たちが焼いた村で死んだ片腕の年寄りに
みんなで握手する外からみると不謹慎な儀式。
(しかし、ジョークにしなければならない程の地獄な毎日)
吹き飛ばされ肉片になってしまった仲間。
その中で嘘とも本当ともつかない話が時にはユーモラスに
語られる。
戦争はいけない。
戦争なんて行かなければいい。
この本を読んで軽々しく口に出来なくなった。
読みやすい文体の割りに読者の甘ったるい感傷を
オブライアンは拒否する。
永遠に私にはわからない痛みを描いた傑作です。
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高校の教科書に一部が載っていた。
戦争が一人の視点から語かれているものに触れた最初の一冊。
どんなニュースより、映画より、鈍い衝撃をもたらしたと思う。
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本当の戦争の話。授業で原文を読んで気になって気になって、けれども英語は苦手なので日本語に訳されたものを読みました。村上春樹の訳。英語らしさが残っています。戦争の善悪のような視点とは別の場所から、戦争を知ることができました。
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戦争についての事実に近い内容をフィクションとして語っている。フィクションだからこそ理解できない理解に近づくことができるんだと読んでから気付かされた。抽象的な言い回ししかできないけど、大切な事実を、フィクションを通して考える機会になったと思う。