紙の本
言葉のセンスと小さな不条理
2008/08/19 12:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の書くものについて、何かを語るのはとてもむずかしいような気がします。
新刊を心待ちにしている読者も、それをこきおろそうと舌舐めずりしている人たちもたくさんいて、
一方では、引きも切らず研究本が出版される現象。
実際、彼の小説は読み返すたびに抱く感想も違うし、
時間をおいて再読すると、まったく想像もしていなかった意外なことに気がつかされたりもします。
小説に何かを読み解く必要があるかどうかは別にして、私個人はいろんな楽しみかたをしてきました。
ただ、誰かと村上作品について語るときには、
物語のひとつひとつについて、好きか嫌いかしか言えない体たらくです。
おそらく作者の意図するところの奥深くまで入り込むこともできず、
いつまでも、入口付近で出たり入ったりを繰り返すような読者なのでしょう。
で、『夜のくもざる』です。
好きなんです、これ。
小難しいことは置いといて(私には語れないというのもあります)、
ほんのちょっとした非日常性、日常の中の不条理が、
やけに穏やかな物語の中にひそんでいるのです。
彼の短編小説に出てくるような、思わず考え込んでしまう不条理ではありません。
さらっと流せて、ほんの少しの余韻を残すような、そんな物語の集まりです。
なかでも『インド屋さん』がお気に入りです。
不条理がなんの違和感もなく溶け込んだような、日常の一場面を描いています。
そもそも、なんですか‘インド屋さん’って。
好きが高じて、プリントアウトしたものをトイレの壁に貼っていたことを思い出します。
インド屋さんのものすごい言い分と、ごく普通にやりとりをしている女性との会話にニヤニヤし、
たった1枚のA4の紙を、ボロボロになるまで飽きずに眺めていたのでした。
紙の本
最高な装画は安西水丸さん
2023/06/29 16:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
やっぱり村上春樹&安西水丸は名コンビです。彼らによる作品のひとつがこの超短編小説集です。最後に「If I had a hammer」のメロディで歌える「朝からラーメンの歌」のオマケ付きです。
投稿元:
レビューを見る
すごい。読まず嫌いで読書しない人にはとりあえずこの本がお薦め。学校の教科書くらいしか小説というものに触れてこなかった人にはこの本は衝撃的なはず。短いから忍耐力もいらないし。本が嫌いな人にお薦め。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹のギャグ満載。
本当にユニークな文体で、ユニークな登場人物だと思う。
僕も、普段の会話で使おうかと思う…
あなたの周りにはドーナツ化してしまった人はいますか?もしも海がめの集団が襲ってきたら、どうやって戦いますか?
投稿元:
レビューを見る
大体この短編を読ませたら物凄くウケて呉れる人と笑いどころが分からないと言ってくれる人とに分かれます。
私は大体ずっと芥子のように笑い転げてた人です。
「インド屋さん」「ことわざ」「アンチテーゼ」「トランプ」
「ドーナツ化」が特に好き。
あ、あとワタナベ氏も♪
投稿元:
レビューを見る
実は春樹さんの長編は読んだことのない私・・・・
短編なら読んでみようかな♪
うんっっ♪読みやすくて、おもしろい☆
春樹さんの物語に触れたい人、
この本からなら簡単にはいれるかも♡
投稿元:
レビューを見る
短編集、というか、村上春樹と安西水丸の、良い具合に力の抜けた作品同士がかみ合って、そして少しスパイスも効いていて、何だか楽しい気分になれる。
例えるなら、世界に少しだけ切り目を入れて、誰も気付かない程度に横にシフトさせたような感じ。
「えっと、そのことは知ってはいるんだけれど、変だな?なんか変だな。」
そんな気分になれる。
投稿元:
レビューを見る
どれもこれも4〜5ページで完結してしまう、超短編集なので
ちょっとした時間に読みやすい。
そのなかの「虫窪老人の襲撃」の中で、主人公が夕食の支度をしている。
「んーと、茄子とニンニクのスパゲティーと、いんげんのサラダですね」
これだー、と思って買い物メモに「なす」「いんげん」を追加する。
コロッケを作ってくれる女の子がお歳暮で送られてくるといいのにな。
そんなわけで
「コロッケ」「海亀シリーズ(勝手に命名)」「インド屋さん」「もしょもしょ」
などがお気に入りです。
こういう文と安西水丸さんのイラストが雑誌に広告として掲載されてたら
やっぱりJ・プレスのジャケットを買いにデパートに行っちゃったり
パーカー万年筆を手に取ったりしちゃうのかな。
私は・・・うん、しちゃうんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
読む Reading
ごぞんじ村上春樹の超短編集。安西水丸のイラスト入りで、ナンセンスでお遊びのような短い話がたくさん読めます。村上春樹を日本語で読みたいあなたに最初の1冊としておすすめします。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹ワールドの、短編集。
安西水丸のイラストと相まって独特の世界が繰り広げられる。クールなような、くすっと笑うような・・もうなんとも表現しようがない、独自ワールド。
話に出てくるものは普通のありふれたことだったりするのに、そこから作り出される話は村上春樹ならでは。だって、鉛筆削りから、こんな話が紡げるだろうか・・?
全体に漂うcoolでsophisticatedな空気・・あとがきに、この短編は広告に使われていたと書いてあって、納得。
投稿元:
レビューを見る
女の子にプレゼントできる文庫本と思います。オススメ。村上さんには珍しく関西弁の文章「ことわざ」が掲載されてます。
投稿元:
レビューを見る
割と最近読んだのがこれ。
超短篇集です。ユーモアだらけでむちゃくちゃ面白いです。笑わせてもらいました。笑
1話につき5,6ページくらいでしかも文字大きめでかなり短いです。
「天使のハンマー」の替え歌の「朝からラーメン」なんかもあって。原曲知らないんで機会があったらぜひ聞いてみたいです。
安西さんの絵も村上さんと同じような空気が流れてる気がして、見事にハマッていたのですごいなぁと思いました。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
海亀の執拗な攻撃から僕らの身を守ってくれた秘密兵器とは?ヒトは死んだらどこにいくのだろう?―読者が参加する小説「ストッキング」から、オール関西弁で書かれた「ことわざ」まで、謎とユーモアに満ちた「超短篇」小説が36本!(さらに替え歌「朝からラーメン」のおまけ付き!)絶好調の村上春樹=安西水丸“nice&easy”コンビが贈る「村上朝日堂」小説特集号。
投稿元:
レビューを見る
や。面白かった。
でもそれだけじゃしょうがないので(笑)、
「どこをどう面白かったのか!?」と考えてみた。
安西さんと組んで作られた本は、村上の文章と安西さんの絵との関係が面白いのが魅力なんだけど、今回は、まぁ驚くぐらい、たくさんの、村上の「創作短編」がポイントだと思う(エッセイにあらず。というのがすごいと思った)。
そしてこれがまた荒唐無稽なわけですよ(笑)。
だってタイトルからして「夜のくもざる」って何?って思うでしょう?
少なくともワタシは「くもざる」っていう名称の物体が何なのかはわからなかった。
「くも」と「さる」から連想するものはあったけどね。
でもそれが「くもざる」となると「なんじゃそりゃ」だったし、それが「夜の」だって‥(笑)。
そんなの想像出来ないじゃないですか。
でも、本の中では、ちゃんと息づいているんだよね。
そして安西さんのイラストが絶妙な隠し味を与えていて楽しいの一言。
見ても読んでも楽しかった一冊でした。
で、読んでみて、前述の「くもざる」をはじめとする謎の物体は、「これは何か?」と追求するものではないみたい。
「くもざる」は単なる名称というか記号というか、「しるし」でしかない。
その「くもざる」が本当にいるのかどうかとか、その生態はどんなものなのかとか、そういう事を論じる(または考える)必要はないわけで。
だから毎晩自分たちを襲っては、香取線香で撃退されたり、フリオ・イグレシアスの「ビギン・ザ・ビギン」に撃退されたりするのが「海亀」であっても、地下鉄銀座線で「大猿」が跳梁しても、「アンチテーゼ狩り」をしにボルチアに行ってしまっても、「何訳の分からないことを!」と怒らずに、この記号ともいえる「しるし」が起こす、飛躍とアンバランスさを楽しめばいいのだと思う。
村上って結構こういう作品を扱うのも上手いよなぁ〜。
最近、江國香織もこういう作品を書いているけれども(『とっておき作品集』など)、まだ江國自身そこに自分なりの理由とか法則づけが出来てないみたいで、読んでいてもあまり面白いとは思えなかった。もう少しこなれたら面白いのかもしれないけどねぇ…。
投稿元:
レビューを見る
2008.07.29. あれ?再読ではないかしら。なんだか記憶にある小咄ばかり。それにしても、よくこんなどーでもいーおもしろい話を思いつくもんだなぁ。「インド屋」最高です。夏バテ気味な私は「インド」が足りてないのかも。