紙の本
自分の感覚を信じることの大切さ
2001/05/08 11:28
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投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
美術鑑賞はなんとなく敷居が高くて…と思ったことはありませんか。私も本書を読むまでは、具象絵画ならいざ知らず、白いキャンバスに大きく○が書いてあるだけの誰にでも描けそうな絵に『神の不在』などという大仰な題がついている抽象絵画や彫刻って、「これを芸術と理解できない奴は美術鑑賞をする資格がない」と言っているようで、妙に反抗心を覚えていたのでした。
しかし森村泰昌氏は美術の極意として、
1、考えるな!
2、見るな食べろ!
3、美術は見るものではなく着るものである
4、着こなせ!
と美術史的解釈や美学用語を無視した独自の鑑賞法を提唱。抽象絵画をウィンドーショッピングをしているときと同じ視点で観ればよいのだと気づかせてくれたのです。つまり絵を自分の好きなデザインかどうか、そういう柄の服があったら着たいと思うか、という自分の直感で判断すればOKというわけ。
「この絵の意味するものは何か?隠された真相は?」などとしかめつらをして見ていたときはひどく高尚に思えた抽象画も、森村氏の見方をとりいれてからは「あ、このデザインのTシャツがあったら着てみたいな。こっちは時計にするとかっこいいだろうな」と楽しみながら見てまわることができ、むしろ具象画よりも抽象絵画が好きになってしまったほどです。
他にも森村氏自らモナリザになってみたり、「巨匠はみんな下手だった」とゴッホを笑ってみたり、アンディー・ウォーホルの作品から彼の光と闇を浮き彫りにしてみたり…と、ちまたの美術解釈本とはまったく異なるロックで変革的精神にあふれたこの本。今まで美術館なんて行ったことないよ、という人にも読んで欲しい良書です。
紙の本
目からウロコの美術史
2001/01/25 15:16
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投稿者:純子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
目からウロコの美術史、講師は現代美術家の森村泰昌さんです。この森村さんという人は、自ら美術作品になりきったポートレートで有名な作家です。
美術作品になりきるからこそ、見えてくるものもあるそうで、この本では、そんな森村泰昌さんならではの、美術史が読めます。
面白いです!はっきり言って、美術に対する考え方が変わるかもしれません!
紙の本
美術の食べ方講座
2002/04/17 03:35
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投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「美術はわからない」という人が多い。
私もそうだった。しかし、この本と読んで私は気づいたのだ、「もともと美術など、誰にもわかるはずがない」ということに。
もっと正確に言おう。「解かるはずがない」のだ。
私たちは普段の生活で、常識とか合理性とかいったものに従って生きている。また、常識や合理性を通して、世の中のあらゆるものに一応の説明を加え、理解することもできる。
しかし、説明を加えることはできても、その意味を説明するとなると、どれだけのものに対して答えを用意することができるだろうか。
人間の指はなぜ五本なのか。なんでカナブンはピカピカなのか。感情ってものがなぜあるのか。どうして自分は生きているのか。
これらの疑問への答えは多分、理屈だけでは出ない。その存在を存在として受け入れるしかないのだ。「それはそういうものなんだ」と。
そうやって受け入れるしかないもの。「美術品」が、そのいい例。
著者の森村泰昌は美術品に対して「考えるな、着こなせ」とおっしゃる。ロジックではないのだ。たとえばハンバーガーの味を皆が理屈で考えないのと同じように。
好きなように受け入れろ。胸を打たれる、楽しくなる、涙する、笑う、気が沈む、なんとも思わない、とにかくどう感じたっていい。正解などないのだから。主役はあなたなのだから。
著者はそういうことを伝えたかったのだと思う……多分。
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美術の教科書に載ってたあの作品にはこんなにいろんな力が働いていた!!
自ら「絵画」を着こなす森村さんだから言える話が満載。
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自分のような初心者が一見敷居の高い美術鑑賞にどんなスタンスで臨めばいいかを教授。
有名な美術品を例に取り、その美術品の意義の捕らえ方をさまざまな視点から見てくれるため、「どんな人でも美術楽しめる」という安心を与えてくれました。
この作者はそれをふまえ、そのさまざまな視点をもって有名美術をいじるという珍しいことをやってるようで、面白そうでした。
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美術館で絵の前にいる人が何をもって、その絵に見入られているかなんて分からない。もしかしたらその中で全く絵画の何が楽しいのか?と思う人もいるだろう。この本はある意味歪んだ見方を説明することで、絵画等芸術品を見やすくしている本に思えた。
最初は筆者が伝えたいのか分からず、戸惑うかもしれないけど読んでいけば、楽しくなっていくかと。
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[ 内容 ]
美術の極意は「考えるな、食べろ、着こなせ!」そこから発見の旅がはじまる―巨匠は上手か。
ウォーホルはポップか。
似ていることは悪いのか。
常識を解体し「地球美術史」の地平を新たに開く快著。
[ 目次 ]
1 美術の極意―「オンナ・コドモ」美術史
2 「モナ・リザ」になる―空装美術史
3 巨匠はみんな下手だった―ヘタくそ美術史
4 アンディ・ウォーホルはポップではない―アメリカ現代美術史からアメリカ未来美術史へ
5 似ていることはいいことだ―地球美術史
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ブックオフで散策中、一緒にいた友人が買えと言わんばかりに目の前に来て手渡してくれたので買いました。森村さんの入門書としてはこの本が最適らしい。
なるほど薦めるだけあってとても面白い。今まで美術を「着る」という発想が私には皆無だったので、ワンダーの視点であった。人は(少なくともある一定の日本人は)すぐ正解を求めたがって、人と違う受け取り方は間違えみたいなところがあるけれど、そういう発想は死ね。愛がない。森村さんのこと少し追いかけます。
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美術の極意は「考えるな、食べろ、着こなせ!」そこから発見の旅がはじまる──巨匠は上手か。ウォーホルはポップか。似ていることは悪いのか。常識を解体し「地球美術史」の地平を新たに開く快著。
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とても簡単でわかりやすい、しかしそのために最初の方は得るものがないなと感じたけど、ウォーホルの章以降のは独創的視点がとても面白かった みんなちがってみんないい、みんなにていて、みんないい
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私はなぜ、この本をもっと早くに読まなかったのだろうか。かなり面白かった。アートを見ることを、「着こなす」というあたり、すごい観点でした。
もう一回読んでみると思います。そして、この本に出てきたいろんなアートや本や映画なんかを、そのうち見たり読んだりすることになると思う。
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★★★☆☆
「抽象画はテキスタイルだと思え」
このひと言が大きかった。
絵画にしろ音楽にしろ、芸術と呼ばれるもの一般の鑑賞方法を尋ねると「本当に良いものは知識なしでも楽しめる」という人がいるが、そんな姿勢で観て楽しいのはあらゆるジャンルにおいて頂点の一握りだけであって、サッカーでいえば、メッシとC・ロナウドのハイライト集だけ観ていろというのに等しい。
こういった意見は階級社会を肯定し高所から大衆を見下ろして言うことであって、僕はそれが悪いとは思わない派でもあるが、それじゃあ本当の意味で絵を楽しめないことも不幸なことに知ってしまっているのだ。
そこで本書は入口としてまず「テキスタイル(染物、織物)として観よ」という。
勉強しないとわからない絵画においてもとりわけわけがわからない抽象画も、シャツの柄だと思って、この柄は自分で着たら似合うかどうかという基準で見れば入りやすいだろうというわけだ。
これは馬鹿げているようでいて意外と真だ。
なぜなら、どんなに勉強して絵画を理解できるようになっても最終的には絵を商売にでもしていない限り、何を選んで見るかは好みの問題だからだ。
著者は絵画を楽しむには勉強が必要だということを決して上からではなく語った後で、自然に勉強しようという気持ちになるための様々な入口を提示してくれる。
どんな分野にも入門書というのはあるけれど、本当の入門書というのはこういう本のことなんじゃないだろうか。
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目の付け所がこれまでにないアプローチ。創作するという姿勢があるから見る視点も変わって来るのだろう。とにかく面白かった。ゴリゴリの美術史をやって来た人には刺激的だ。食べる、着る美術。太陽の塔の永遠性。似たものの価値。
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セルフポートレイト作品を手がけている著者が、自身の作品や現代美術について比較的自由に論じています。
著者が、「男と女」「大人と子供」という対立図式を超えて、「考える」ことを前提にした「見る」こととは異なる、「見る」ことを追求していった結果、「美術は見るものではなく、着るものである」という発想に達し、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」を「着こなす」セルフポートレイト作品が生まれたことが語られています。
そのほか、ピカソやアンディ・ウォーホル、岡本太郎、さらに著者と同じくセルフポートレイト作品を手がけているシンディ・シャーマンといった芸術家の作品について、著者がどのように感じ、理解したのかが語られます。
ありがちな美術解説ではなく、美術を鑑賞する姿勢をもっと自由なものにしてくれるような本でした。
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森村さんの活躍はなかなかユニークですよね。
横トリのプロデューサー(?)をやられた時も、それ以降の横トリは何か芯がないような気がしておりました。
好き嫌いや批判も多いかもしれませんが、これからもユニークな作品を期待しております。