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紙の本

戦争は終わっても、「復帰への戦い」が待っている。

2010/08/15 11:11

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ユダヤ人収容所からの数少ない生還者として、貴重な書「アウシュヴィッツは終わらない」を著した著者。本作はその後の、収容所から母国に戻るまでの状況を綴ったものである。
 ロシアが収容所の人びとを開放したものの、著者が真っ直ぐにイタリアに帰れた訳ではない。その間、ロシア人をはじめさまざまなタイプの人たちに出会い、それぞれがそれぞれに「今後」に立ち向かっていく姿をみながら、著者自身も同様に「今後」にどう対処するのか、を考え続けていく。

 さまざまな人びとを描くので、少々散漫な印象を残す部分もある。それでも、収容所の中で、生き残るためとはいえ「上手く立ち回った」人びとが素直に「生き延びた!」と喜んではいられない姿などは「終わっても終わっていない」戦争の痕を強く感じさせる。
 帰国途中、破壊されつくしたミュンヘンを見、ドイツではなんらかのドイツ人の反応を期待し、自分自身の気持ちにも決着がつくのではと思っていた著者。しかし、一般ドイツ人はただ「触れられたくない」と目をそらすばかりだった。著者自身、盗みもした。感情が麻痺してしまったことで生き延びられたのかもしれないが、それが今後の生活に戻れるのかどうかの不安の原因にもなっている。「イタリアに戻って家族に再会したら、また新たな戦いが始まる」。本書のタイトルはその新たな戦いまでの準備期間、ひと時の休戦、と言う意味なのだろう。

 気持ちの整理がつかないままイタリアに戻り、化学者としての仕事に就いた著者が晩年に著した「周期律」も同様なのだが、明確な「結論」があるわけではない。やはり戦争は「終わってはいない」体験のままだったようである。
 「表向き」の戦争は終わっても、終わらない「心の整理」。「触れたくない」「触れて欲しくない」苦しい記憶もあるだろう。まじめに向き合えば向き合うほど、整理がつかないまま時だけが過ぎていくのかもしれない。
 いまでも世界のどこかで戦いは起こっている。戦争体験が身近なものでなくなっている我々も、「疑似体験」として読んでおいて良い本だと思う。

*絶版になったか、と思ったら、近日岩波文庫より出版されるらしい。ありがたいことである。

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2017/04/15 22:38

投稿元:ブクログ

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