紙の本
西洋戦史の基礎文献
2019/05/03 17:46
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投稿者:瀬戸内在住の猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元・自衛隊陸将補による、紀元前のマケドニアから冷戦終結までの西洋戦史の基礎を簡潔に解説した本。
軍事における戦史は、実を言うと一部を除いて「西洋」中心ですので、西洋の戦史を知ると大体戦争の歴史の流れが分かります。
ちなみに、その例外と言える「一部」が、ジンギス・カーン率いるモンゴル軍や中世のイスラム軍で、本書にも収録されています。
ですので、軍事や戦争の基礎を知りたい人は、まずこれを読むと良いでしょう。
なお、本書続巻として、第二次大戦から冷戦終結頃までの時代に内容を絞った「新・戦争学」と言う本もあります。
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<戦の実際を知らずに戦について語る人が多すぎるという警告の書か?>
2003/05/20 18:52
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投稿者:まんでりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、元・作戦幕僚である。
欧米には、戦争研究の学部や講座を設けた大学があるという。
日本には、たぶん防衛大学校くらいしかない。
著者は、
「存して亡を忘れず、治にいて乱を忘れず」
戦争を避けるためにこそ、戦争を知らねばならないと言う。
病気を治癒するのに病気を知らねばならないのと同じである。
この本は主に戦史を紹介している。
そして優れた戦争指導者は平時においては、全く手におえないはみ出し者であると結論する。
名将に師はいない。
名将は、自分の判断に自信があり、実行力がある。
反面、人の言うことを聞かずになんでも得て勝手にやってしまう。
平時においては、NUTSである。
こういう人材は育成することも飼っておくことも出来ない。
長年実務にあった人の言葉だけになるほどと頷ける。
そして、私には名将の資質の後半だけはあると確信した。
紙の本
戦闘教義の変遷を概観、歴史の教訓を学べ
2003/02/20 21:54
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争について学んでも、現在の日本の一般人には何の役にも立たないであろうが、歴史の教訓としてみれば、いろいろ役に立つこともあると思われる。本書では、戦場における戦い方の術である戦術を理解するために、古代ギリシャ、ローマから湾岸戦争まで、戦闘教義の変遷を概観している。 戦闘教義とは、格闘技において、基本技の中から選ばれた得意技のようなものであり、勝ち方の特定の型である。この型が兵器の進歩と共に、循環を繰り返しながら発展してきたことが、示されている。戦争だけではなくあらゆる面で、将来に備えるためには、過去の歴史から教訓を学び取る必要があろう。
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集団戦闘について基礎的な知識が得られる
2001/08/23 03:24
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投稿者:coma - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はタイトルからもっと大局的な内容を扱ったものを想像していたのだが、案に相違して、徹底的に戦闘現場の論理について解説したものだった。
紀元前のアレクサンダー大王から第二次大戦のロンメル将軍まで、戦史上の主な陸戦と海戦を簡単に解説しながら、時代時代の戦闘教義(バトル・ドクトリン)の変遷を概説している。解説された戦例の中では、カンネーの戦い(ハンニバルVSローマ軍)の解説が特に詳しく、力が入っていた。個人的に今までいまいちよくわからなかった当時の戦闘が、はじめて、実際にはどのように行われていたのかイメージ出来たのと、何故この戦いでハンニバルが圧倒的な勝利をおさめたのかも理解出来たのでこれはなかなか良かった。
戦闘教義という言葉は、この本を読むまで聞いたこともなかったのだが、通して読んでみると、戦争の歴史とは、まさにこの戦闘教義の歴史であると言って良いほどのものなのだということがわかる。詳しい解説は本書を読めばわかるのでしないが、これを読んで目から鱗が二三枚落ちた。
軍事・戦争関係に興味があるが、何から読めばよいかわからない人に最適の入門書と思う。
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戦史ってものはその性質ゆえに人間の深層が表出していて、あらゆる智慧や感情がにじみ出ている。その中からは戦争以外に役立つものをいくらでも見いだすことが出来る。現代日本ではこの手の議論は封殺されがちであるが、見たくないものを見る勇気もときには必要ではないか。「人間は精神も肉体も弱いくせに、強欲である」ことを忘れずに。
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紀元前600年ごろから冷戦直後までの戦略・戦術・兵器などの進化・変遷を戦闘教義に重点を置いて述べる。
軍事学は後験科学であることを強調。
有事に役に立つ将に共通する素質として一つめに自分の判断に自信があること、二つ目に実行力があることを挙げている。それからそういった有事の名将は組織の破壊者であり使い捨てされがちなのだとか。
この本を初めて手にしたのは小五だっただろうか、当時日教組の影響下にしかいなかった自分にとって軍事を専門に扱う書物は初めてで、ドキドキしながらページをめくったものだ。
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戦争とは、を知るには分かりやすい本だった。
世界史と合わせると、戦争面だけでなく政治面も分かって楽しかったかもしれない…(日本史専攻だったので、世界史にはちょっと疎いのでしたorz)
しかし読めば読むほど「政治家ってなんだろう?」と分からなくなってきました。
アメリカの大統領が政治目的だけを与えて作戦には口出ししない、というのがすべてかなぁと。戦争だけで言えば、ですが。
最後に。
今の平和な日本はもうすぐ終わるのではないかというぼんやりとした想像をしたのでした…。
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よく 戦争とビジネスは 似ているといわれる。
目的達成のための仮説・戦略をたて 状況や競合を意識して戦術を練る。
最適な人材を最適な箇所に配置し、最大限の効果を目指す。
元陸上自衛隊で作戦立案にあたった著者が、アレキサンダー大王から現在の戦争までの戦術論を『戦闘教義』という概念で整理する。
戦略は、戦場における勝利のためのリスクを最小限にするように事前に準備し、また戦場における勝利の果実を最大限に活用する策略。
戦術は、戦場において最大のリスクに挑戦し、最大の勝利を獲得するための術。
人間は非合理的に行動する。だから戦場は常に不確実性の霧に包まれている。
それが「人間は何を刷るか判らない」と考えて戦史から戦いの傾向を導き出している軍事理論が、経済学より経営に役立つといわれる所以である。
「狼に指揮された羊の大群は、羊に指揮された狼の大群に優る」
ローマに滅亡の危機は何度も訪れたが、最大のものはハンニバルによってカンネの戦闘を失ったときであった。
これを救ったものは、
①自由と独立を守ろうとする市民の決意である、最後の勝利を目指して立ち直ろうとする不屈の闘志。
②カルタゴ本国の戦争目的とハンニバルの戦争目的が不一致であったこと。
英国の戦略家リデル・ハートの戦略論の真髄は二つ
①敵の最小予期線を攻撃せよ
→ 味方が採用する仕事の筋道は、敵が対策を最小にするような案を選択せよ
②常に代替目標を持つ作戦線を選べ
→ 目標を立てて、それを達成する仕事の筋道を選ぶ場合は、
目標達成が困難になったときに選んだ目標と同じくらい価値のある代わりの目標にすぐに切り替えられるような案を選べ
J・F・フラー少将の「機甲戦-作戦原則第三部の解説」→ 世界の陸軍の教科書。
①目標の原則
戦いにおいては、明確な目標を確立し、徹頭徹尾、追及せよ。
②主導の原則
主導は機先を制することによって得られる。握った主導権は絶対に離すな。
ものごとに惑わない不動心は主導の基礎である。攻撃は主導権を獲得する最良の方法である。
③機動の原則
敵の作成計画を破壊するように機動せよ。 機動の目的は、敵の精神の均衡を破壊することである。
④奇襲の原則
敵は我の現状について知らないことはないだろうし、我の取り得る行動について予想してないことはない。
奇襲の鍵は我が実行を予期させないことと、対応の暇を与えないことである。
⑤警戒の原則
油断大敵である。いかに有利な状況であっても警戒しなければ逆転される。 警戒は察知することと、対応することの二つの要素から成り立つ。
⑥集中の原則
緊要な時期と場所に相手を凌ぐ戦闘力を集中し、 決勝点において相対的に戦闘力の優越を獲得して最後まで優勢を持続せよ。
⑦節約の原則
戦いに余分な兵力は一兵もない。恐怖と欲張りは無駄を造る。
⑧統一の原則
戦いにおいては一人の指揮官に指揮を委ねよ。
⑨簡明の原則
目的・目標が明快であること。確固たる戦闘教義を使うこと。戦術のコンセプトが明快、奇抜、大胆、新鮮であること。
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[ 内容 ]
冷戦は終わったものの、朝鮮半島の情勢を見ても分かるように、戦争の危機はすぐそこにある。
在日米軍との共同作戦計画にも携わった自衛隊・元作戦幕僚の著者が、古代から核戦力の時代までの戦史をたどり、ジンギス・カーンやナポレオンなどの戦い方を始め様々な戦闘を検証して、戦争のメカニズムを明快に説いた、類書のない画期的な戦略戦術教本。
経営戦略に、或いは人生の知嚢としても役立ちます。
[ 目次 ]
第1章 戦争学の基礎知識
第2章 巨人の時代
第3章 騎兵の時代
第4章 変革の時代
第5章 創造と昏睡の時代
第6章 戦時国家(Nation at War)の戦争
第7章 核戦力の時代
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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名著だろう。戦略、戦術について著された本はいくつもあるが、ドクトリンの変遷についてローマ軍から冷戦後まで主要な戦闘に触れながら紹介した本は少ないはずである。
全般的には良いし、星も5をつけたが幾つか他の書籍と違う部分はある。
しかし、やはりドクトリンの変遷という元幕僚という著者ならではの題材と言うことで素晴らしい本である。
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本の名前は極めて物騒な題名であるが極めて真面目な本である。著者が古代から核戦力の時代までの戦史をたどり、ジンギス・カーンやナポレオンなどの戦い方を始め様々な戦闘を検証して、戦争のメカニズムを説いている。中でも戦略・戦術面から説明された諸海戦の話は大変興味深いものである。
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戦略と戦術、戦術の変遷など参考になる。自分達のやり方が陳腐化しているのかどうかを見極め、素早く戦術戦略を対応させていかなければ、勝負に負けることがよくわかった。
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最近、戦史の勉強を始めたのだが、とっかかりとしてはうってつけの本。
ギリシャ、ローマ時代からの戦史を振り返り、兵器と戦闘教義の変遷を書いている。
個々の戦闘が、以後の戦闘教義や兵器の発展に、どのような影響を与えたのかが(初学者にとっては)詳細に書かれており、非常に参考になった。
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戦争学というよりも、戦争の方法がいかに進化してきたかを、戦争の歴史的な側面「戦史」で読んでいく本。内容は、基礎知識から、歩兵から現代の核までの戦争を通史としてまとめている。
第1章 戦争学の基礎知識
第2章 巨人の時代(歩兵)
第3章 騎兵の時代(騎兵の行き詰まり)
第4章 変革の時代(海洋覇権の時代)
第5章 創造と昏睡の時代(近代戦と総力戦)
第6章 戦時国家(Nation at War)の戦争(第二次世界大戦まで)
第7章 核戦力の時代
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単純な間違いや疑問を持つところもあるが、戦術の発展の歴史として、わかりやすくまとまっている。ところで、ここでいう「戦闘教義」とはいわゆる「ドクトリン」のことでいいのだろうか。