- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
中小企業これからの成長戦略 日本は飛躍する英国から何を学ぶべきか みんなのレビュー
- 百瀬 恵夫 (著), D.H.ウイッタカー (著), 森下 正 (著)
- 税込価格:1,870円(17pt)
- 出版社:東洋経済新報社
- 発行年月:1999.1
- 発送可能日:購入できません
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本
堅実を旨とする英国の起業家のベンチャー・マネジメントを学ぶ。
2002/01/24 10:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平野雅史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
起業家やベンチャー企業といえば、とかく米国のベンチャー企業やIT不況前までのIT系企業を思い起こしがちである。しかし、本書で取り扱われる、英国の起業家像は赴きがかなり異なる。
英国は、サッチャー政権以降経済成長を果たしてきた。2001年の失業率は5.4%と現在の日本より良好である。しかし、サッチャー政権下の構造改革のもとで多くの失業者が生まれた。この失業者達は自らの生活を支える収入源を確保するため、起業の道を選んだものが多かったようである。
本書によれば、こうして止むに止まれず起業した起業家達のマネジメントには、象徴的なヴェンチャー・マネジメントと比べ以下の点で特徴的な差異がある。
第1に、資金調達は営業キャッシュフローを重視し、裏付けのない借入はしない。
第2に、ベンチャーキャピタルは利用しない。即ち、資金調達では借入も株式も重視しない。
第3に、以上のように資本が限られている結果、事業運営や成長戦略は慎重なものとなる。
第4に、株主、顧客、従業員、地域コミュニティなどのステークホルダーとの良好な関係を重視する。
一時のベンチャー企業経営者と言えばとかくIPOを声高に叫んでいたが、その多くは創業者利潤のみが目的だったように思う。ファーストリテイリングの柳井社長が「株式公開とは会社を社会化すること」と言っていた記事を読んだ記憶があるが、上記第4点に通じるものを感じる。
また、数年前の日本では、政府系金融機関融資や信用保証協会保証によって多くの中小企業が借入資金を調達したが、その多くは事業キャッシュフローの裏付けがなく、現在では多くの中小企業を更に苦しめる原因となっている。金融人にとっての格言であった『貸すも親切、貸さぬも親切』も今は昔の感があるが、堅実な企業成長をサポートする金融人のミッションと整合的な言葉であり、上記の第1から第3点に通じるものである。
堅実を旨とするばかりが良いとは言わないが、一方で自己満足や向こう見ずが起業家の身上でもないであろう。本書を通じて、守る起業マネジメントについても再考して欲しいと思う。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |