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紙の本

「読みにくさ」の訳

2007/10/30 21:16

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る

法哲学大系講義シリーズの一冊。漢字ばかりの書名・シリーズ名で厳めしいイメージだが、思ったよりは読みやすい。しかし、読みにくさも同居している本でもある。そこから見ていく。

まず、「読みやすさ」について。これは、ただでさえ堅苦しくなりがちな理論書の文体をどう処理するかに関わる。
本書は、「わたしたち」「いちおう」「うえで」など、意識的にひらがなを使うことで、みた目の負荷を軽減している。できるだけ平易な言い回しを心がけている。ところどころ、著者の心情をさしはさむことで、柔らかい印象を与えようとしている・・・などである。
著者は、学部用のテキストとしてだけではなく、「お一人用」としても読んでもらいたいと願っている。それゆえの配慮なのだろう。

次は、「読みにくさ」について。せっかくの配慮にだいぶ水を差していて、なんとももったいないのである。
最初にあげたいのが、一文における文字数の多さだ。私は、『論文の書き方』のレヴューで、時折は長めの文章も混ぜていいのではないかと述べた。その場合でも、できるだけ120字以内に抑えてほしいと思っている。それ以上にするのは最低限の機会にしてほしい。本書は、120字以上の文章が頻出するのだ。例えば、6ページの下から2行目からは、187字、142字、240字、140字、185字と続く。文章の組み立て方によっては、「読みにくさ」を抑えることも可能なのだが、それも巧くない
もう一つは「議論の散漫化」だ。多少の脱線はあってもいいが、度をこすと論述の焦点が定まらなくなる。私は、括弧でくくった注釈文はきらいではないが、本書は多すぎる。その中身も親切心が徒になっていて、言わずもがなのものが多い。さらには、本文の合間に字体を小さくした補足説明を挿入するのだが、これも多くて長い。
なにか、しょっちゅう脇道に引っ張られているような、腰折れ感の強い議論展開になってしまっている。

内容そっちのけで文章術的なことに注目したのは、このままでは、せっかくの高説が頭に残らないからだ。議論を公にするからには、受け手の内部になんらかの痕跡を残したくてやっているはずだ。その意欲はうかがえるだけに、繰り返すがもったいないと思うのだ。

本書の内容は、法哲学的な視点からみた「正義」、およびアリストテレス、ロールズ、ノージックそれぞれの「正義論」の解説と論評が中心になっている。解説の水準は、読みにくさを棚に上げるなら、「入門レベル」としてのポイントは押さえている。
著者のオリジナリティは、最後の「想像力の正義論」の章で発揮されている。と言いたいところだが、これが要領をえない。そして、よくあるパターンだが、これからというところで打ち切ってしまう。
また、末尾近くではこんなことを言いだす。

《このように、わたしたちの自由、想像力そして倫理といったものは、その基底を言葉においている。つまり、わたしたちの構想するイマジネーションを基盤としており、そのイマジネーションが言葉によって支えられているとすれば、言語能力の卓越性あるいは豊かさこそが、他者への「思いやり」としての想像力を基盤とする「人倫」[Sittlichkeit]を創りあげる力となる。それゆえに、話し言葉や文字を個人が自由に使いこなせるようになる能力、これを陶冶する機会が奪われているような場合、つまり映像や画像、あるいは漫画といったもので「しか」自分の「教養形成すなわち陶冶」[Bildung]をはたせなかった場合、おそらくは人倫性もまた人倫感覚も貧困とならざるをえないであろう。---現今の若い人たちの教養形成における貧困をみていると、国家権力が一貫して自分で考える力を奪っていく教育政策を推進してきたこと、これの成果が立派に花開いたと感嘆せざるをえない。》

反論は控えるが、このせいで読後感が悪くなってしまった。

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