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紙の本
「科学者ミニ列伝」で終らずに、とりあげた「画」をもっと掘り下げて欲しかったです。
2005/10/14 11:41
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
肖像画は結構好きで、展覧会などがあると目つきや仕草、肌の様子などつくづくと眺め、その人物が作家ならその作品について対話してみたり、その時のその人物の心情を聞き取ろうとしたり、と長居をしてしまう方です。
この本は歴史に名を残す科学者25人について、その肖像画からその人間像を描き出そうと試みた本ですが、新書という紙数も限られているせいでしょう、「ミニ列伝」(と、まさにカバーの折り返しの説明にも書いてあるのですが)的な説明にほとんど終始しています。
ここにとりあげられている肖像画がその一枚しかないものなのか。あるなら他も示して欲しかったですし、それだけ特別に違うものなのか、どこにどのように使われているのか、などなど。人物によっては言及されているものもありますが、その比重がとても少ないです。極端なところではホーキング博士。1942年生まれの物理学者ですから、写真も当然たくさん知られています。しかし、なぜここで「肖像画」をとりあげたのでしょう。それなのにその画の由来については「(ここに掲げた肖像画はこの年に描かれたものである)」と括弧に括られた注釈としてある一言だけで、その画の中の表情、手の力、背景に書かれた文字についてなど、描かれた背景がわからなくければそれは仕方がないかもしれませんが、もっともっと言及して欲しかったことが沢山あります。
不満ばかり書くのはよしましょう。ラヴォアジエの描いたダヴィッドの絵については、時代やご夫婦の様子も良くわかり、フランス革命で断頭台に消えた科学者が高額を支払って描かせたこの画をみる視点を複雑にしてくれます。
ドロシー・ホジキンの、4本の腕の描かれている肖像は一心不乱な一科学者の姿が写真では表せないものを伝えてきます。病気で捻じれた手から、リューマチで苦しんだ画家ルノワールに思いをつなげてあったり、彫刻家ヘンリー・ムーアが描いた彼女の手だけのスケッチを載せてあったりするのは「画から考える」というこの本が見せてくれた「観点」として心に残ったものです。
アインシュタインの漫画、というかデッサンも面白いですね。でも、これ以外の沢山のエピソードをひっくるめないとなかなか理解できない人物です・・・。
「漱石とあたたかな科学」という著者の本は、夏目漱石の時代の科学という面白い視点から描かれた、漱石や寺田寅彦を再読したくなる文章でした。それで、こちらも期待して読んだのですが、物足りなさが残ってしまいました。着眼点は良いので、もう少し少数の人について丁寧に「画」を掘り下げて欲しかった、と思います。
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