紙の本
メインの小説の舞台はわかるんですよ、でも今、待つが生きて語っている時代って言うのがわかりません。昭和末期か平成元年頃なんでしょうが、うそ臭い
2005/10/15 16:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白いことに、初出は1996年、徳間書店より、『天切り松 闇がたり』として出たものを、わずか三年後に集英社が文庫本ではなくハードカバーとして再刊したこと。それには第二巻に収められた話が全て集英社の「すばる」に掲載され、それを自社から出すにあたり、第一巻他社のものでは悪かろうということもあるのだろう。
カバーの装幀は菊地信義、装画は岡田嘉夫。最近、色々なところで菊地の仕事を見るようになりました。いや、菊地は装幀の世界の大御所ですから、再びよく見かけるようになって、というのが正しいのでしょう。ただし、以前は白地を基調にした清楚というか、一面、厳しいデザインが多く、白くてセンスのいい本を見れば、菊地と言っておいても間違いはありませんでした。
ところが、最近の仕事は、そういう決まったパターンをもっていません。例えば、この本ですが、確認をしなければ、だれも菊地の仕事とは思わないのではないでしょうか。しかもこの本でコンビを組むのが、岡田嘉夫です。少なくとも、過去の仕事を知る人間には、意外、としかいえないものです。
で、本の外見は意外ですが、話のほうは、となるといかにも浅田次郎です。収められているのは、五つの話、最初が大正六年、父親の借金のかたに売り飛ばされた姉と、スリの親分の仕立て屋銀次の留守を預かる抜け弁天の安吉のもとに里子にだされた松蔵の「闇の花道」、おこん姉さんが狙ったのは山県元帥が明治天皇恩賜の金時計「槍の小輔」。
栄治が狙ったのは加賀前田家に伝わる仁清の雉子香炉「百万石の甍」。弟を学校に行かせたい、その思いで身売りを承知した姉の居所は「白縫華魁」、なんとしてでも姉を苦界から助け出したい、そんな思いが「衣紋坂から」。
私にとって、浅田次郎というのは時代小説作家なんです。明治も、時代小説の対象として描ける、と宣言したのは司馬遼太郎ではなくて山田風太郎でした。そう、歴史小説ではなく、伝奇的なストーリーでも明治時代が描ける、というのは卓見でした。それは風太郎で見事に結実したわけですが、それを昭和あたりにまで拡大させたのが浅田である、そう思います。
話の舞台となるのは、現代であろう年末の雑居房です。そこにやってきたのは、村田松蔵という名の老人でした。ヤクザに絡まれても物怖じしない老人は、夜盗の声音、六尺四方から先には届かないという 闇がたり で自分の過去を語り始めます。獄房の仲間だけではなく看守までが、聞き入るのは、どこかで耳にしたことのあるような話ではあります。
しかし、今まで修羅場を潜り抜けることで精一杯であった聞き手には、新鮮で、聞き始めれば思わず夜が明けるのも気付かない、そういう話ではあるわけです。繰り返しますが、耳新しい物語ではありません。無論、初めて読むものばかりなのですが、どこか古さを感じます。
浅田の人気の秘密は、そこらにあるのでしょう。ただし、私がよほどのことでもない限り、彼の作品を読まないのも、それが原因です。あなたは、どっち?
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浅田次郎さんの傑作のひとつ。先日フテレビで中村勘九郎さん主演でドラマ化されてましたが、これがまた良かった!ちなみに某社の面接でこの本の話で盛り上がりました(w
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「殿下閣下もかまいやしねえ。盗られて困らぬ天下のお宝、一切合財ちょうだいしようじゃねえか」目細の安吉親分の新たな旅立ちを描く「闇の花道」等、帝都の闇を駆ける伝説の怪盗たちの物語5話。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/28186582.html
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文庫本も出ていますが、やはり単行本の表紙デザインを味わいたいです。読後、表紙をじっと眺めたくなります。この作品では、山県有朋が出てきます。
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最高にカッコイイ盗人達の話
盗人だけど悪じゃない!?
生き様に惚れます・*:.。☆..。.(´∀`人)
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このシリーズも大好き♪もう何回読んだかな(^-^;浅田サンのすごいところは、何回読んでもあきない・・ってとこかも。しかも、ホロっとくるし。このシリーズも、登場人物が個性的で。義理、人情・・っていう、なんとなーく現代では薄れがちな気持ちが丁寧に描かれてて。ホント、ツボに入ります(^-^;
短大時代のゼミの担当だった教授も、このシリーズが大のお気に入りらしくって。短大を卒業して10年くらい経つんですけど、この前お会いした時には、この本の話で盛り上がっちゃいました(笑)世代を問わず、性別を問わず、浅田次郎サンの書くものは心にすっと入って来ちゃうトコがありますよね。
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「天きり」って知ってます?屋根を切って夜な夜な気づかれぬうちにこっそり出入りして盗みを働くこと。その天きり松の幼少の頃に盗人に丁稚奉公に出され様々な優秀な盗人たちの話を留置場で話聞かせる。美しいおこんさん、カッコいい栄治さん、そんな大悪党たちの人情ある悪さがとてつもなくヒーローな話に聞こえてくる。大正ロマンな小説。
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盗人稼業といえば「五右衛門」か「ルパン?世」。
任侠といえば「清水次郎長一家」。さらには、「必殺」シリーズの小気味良さ。
そんなものをギュ〜っと詰め込んで、人情でくるむ。
それが、本作「天切り松 闇語り」シリーズだ。
目細の安親分を筆頭に、黄不動の栄治、百面相書生の常、振袖おこん・・・。
読後、あなたは、誰のつもりで町を歩きますか?
浅田次郎様、あなたのテクニックに、賛辞の言葉が見つかりません。
連続テレビドラマにならないのが不思議です。
そういえば、勘九郎が、スペシャルドラマで、闇語りの松役をやってましたね。
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大正時代の盗賊。粋で人情にもろく、盗賊家業なのに、良い人達。貧しさの時代の中でかっこよく、一生懸命生きている。江戸っ子の語り口調が、ほんと痛快です。
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「大正モダン」を感じます。明治大正昭和と日本人が垢抜けていく様を、楽しいプロットで読ませてくれます。
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この人たち、なんでこんなにかっこいいんだろう。なんでこんなに粋なんだろう。
心の底から惚れ憧れます。
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このシリーズは大好き♪
ぷら〜っと本屋さんに入って、このハードカバーの表紙がすっごく気に入って購入したのがきっかけなんですが、内容も本当に素敵なんです。和製ルパンっぽいくて、ぜひ読んでもらいたい作品です!!!!
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天切り松と呼ばれた盗賊が独房で語る闇語り
登場する盗賊は
仁義とか色気とか人情とか粋とか
みんな格好いい
盗賊大正時代のモダン東京が舞台
槍の小輔
のお話がおすすめー
衣紋坂から
は一番かなしくて
一番好きなお話
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江戸っ子の語りが何とも楽しい。「松」自身は、どんな盗みをしてたのかな?と、気になるので、第2巻も読んでみよう。
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知らなかった、このシリーズ。。いやあ 胸がすくたぁこのことだね!いよっ、浅田屋!!!
大江戸は抜弁天の盗賊一味、どの役者も魅力的!いや、役者じゃないけれど、でもまるで名人一座の大舞台を鶉の三で見せていただだいた気分。柝の音とともに、たたらを踏んで花道を駆け出す千両役者たち、それをただただ夢心地で見ている気分にさせてくれました。江戸前の「張り」ってなあ、こういうこったね!てやんでい!
仕立屋銀二、目細の安、そして振袖おこん、黄不動の栄治。坊主頭のの説教寅弥、百面相の書生常。そして天切り松の松蔵。いいねえ、通り名を持つ稀代の盗賊たち。盗むものはただの銭金じゃあござんせん、欲にまみれた余り宝を盗ったそばから右から左に貧しき民に施して、夢と希望を与えてくれるような生き様。とくに第二話が好きだったなあ。おこん、一世一代のゲンノマエ。
「見たか下衆野郎。銭金なんざたちまち消えてなくなるが、山県有朋のキンマンがぽちゃんと大川に落ちたとあっちゃあ。。。。その音ァ、一生この振袖おこんの胸に残らあね!」
観衆を見渡して黒繻子の襟をぽんとひとつ叩いて、粋な所作で大見得を切る。拍手喝采のなかを緞帳が落ちて。。。 そういう、舞台のような興奮を味あわせてくれるテンポなんだよね。闇夜に逆眉の薄三日月を背に百万石の甍に立つ黄不動の立ち姿。ほんに今夜はいい月じゃわいなあ、と見得を切るや、華魁道中の花道を外八文字に高下駄切って歩みゆく白縫。ああ震えがきちゃうよ、こういう光景。まだ寅や常や、なにより松蔵の仕事っぷりがちっとも出てこなかったから、これはきっと続き物だ、と思って調べたら案の定、4冊も出てるらしい!
これはいいシリーズに出会ったなあ。図書館で手に取る偶然が運命だったと思える一冊。
どちらさんも、正真正銘ホンモノの洒落者たあどういうもんか、知らざあ読んでおくんない!!!
ちなみに、続くシリーズはこちら。。ぜったい読むぞ〜o(`・д・´)ノ エイエイオー!!