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生活保護を受ける人と、それを受給させる人たち、またその人たちの仕事空間でのやりとりをうまく描いている作品。
落ちていく人たち。それを見ている人たち。さまざまな人の視点を入れて短編小説をうまくつなげて書いてある作品
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福祉事務所のケースワーカーを題材にした短編集。各作品で様々な役職の職員を主人公に、人生の悲哀を描くのだが、そこは篠田節子だけあって、ウェットに絡みつくような憎悪や恐怖を混ぜ込んでくる。
最初の作品の書き出しから、「死体を見るのも慣れっこ」という感じで始まるが、全体にそういうシーンはないので問題なし。
とはいえ、必ず自分の人生に巻き込まれてくる焦燥感と恐怖が、それぞれの作品にコンパクトに収められている。また、出てくる人物のキャラクター付けもしっかりなされているので、人物の混乱もほぼ無い。
難を言えば、「弱い女性」「横暴な男性」「ふらふらしている水商売の女性」みたいな、ステレオタイプの社会観が多いこと。
とはいえ、読みやすい短篇でも有り、篠田節子の入門にもぴったりな、よく出来た本である。
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地方都市の社会福祉事務職員たちの奮闘記。最後の助けとなるべく、日々の問題解決にまい進する職員たち。しかし難問山積、解決の糸口さえ見つからない。無気力感に苛まれながらも職責を果たすために最善を尽くす。そんな彼らの姿に勇気をもらえる。
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市の福祉事務所のケースワーカーの連作短編 8つの話
一応解決するけれど、その後は大丈夫なのか?と思うような終わり方
『花道』はイラッとする人が多かった男に寄生して生きていく綾。ひょんなことから、ケースワーカーの赤倉は自分のダンナを綾に取られてしまう、でも、結局赤倉のダンナの仕事が危うくなると、働き始めた先の経営者に乗り換えられ…という情けないダンナ 現実に綾みたいな強かな女、そんな女に良いように利用されちゃうおパカな男いるよなぁ
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花道と選手交替が印象深い。
なんだかリアルだな。人間は強いと思える内容だった。どちらも弱いんだか強いんだかわからない人間が出てくるから面白かった。
特に綾は流されやすくて断れなくて甘ったれてるけど顔が良くて若いから男性を頼って生きていく感じがすごいリアル。周りにこのタイプの人がいないけどいっぱいいそうだなと思った。
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自立していくだけの職(金)も、支え合える人との縁も無い人間に残された、セーフティネットという最後の救いの糸。
利用して這い上がる者もいれば、漫然と寄りかかるだけの者もいる。誰かがどれだけ口を出そうが、手を差し伸べようが、どう生きるかは本人しだい。誰かの善意に救われたり、あるいは勝手に立ち直ったり、いろいろあるけれど、人間は何だかんだ生きてゆくのだな、と思わされる。その中でも「死神」の編はただ一つ、人の弱さとかやりきれない思いに満ちていて、ハッとさせられる物語だった。
踏ん張るべき時を逃すとは、こういうことか。