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星を継ぐもの みんなのレビュー

文庫 第12回星雲賞 海外長編部門 受賞作品

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みんなのレビュー939件

みんなの評価4.3

評価内訳

939 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

感想

2020/03/20 07:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る

実際のところ、難しかった。
でも、途中途中の、謎が解明されていく(新たな謎にぶち当たるけど)ところはドキドキが止まらなかった。

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紙の本

読了

2019/11/23 20:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

SFは親近感がわかないというか、とっつきにくい印象があった。本作はミステリーの要素も含まれているため、ドキドキする気持ちのまま読み進んだ。地球や月ほかの惑星、壮大なスケールで話が進み、人類の起源が明かされていく様子に気分が高ぶった。SF初心者でも楽しむことができ、20年以上前に書かれたとは思えない作品だった。

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紙の本

編集部コメント

2003/02/22 21:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東京創元社編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る

小野不由美さんが推薦!
「SFにして本格ミステリ。謎は大きいほど面白いに決まっている」

月面で発見された、赤い宇宙服をまとった人間の死体。調査の結果、この死体は死語5万年前の人間のものと判明するが……いったいなぜ? オールタイム・ベスト級の名作にして、ホーガンがこのデビュー作一作をもってハードSFの巨匠となった空前の傑作。『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』『内なる宇宙』とつづくシリーズも御味読ください。日本SF大会参加者の人気投票で選ばれる星雲賞を受賞。(東京創元社編集部)

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紙の本

ハードSFの代表作・古典といわれる作品だけに「古くささがない」ということは

2005/06/08 14:25

12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された。関連は? この一作をもって現代ハードSFの巨星となったホーガンの傑作長編。と紹介されている。
本格SFを手に取るのは久しぶりです。まだ空想科学小説と呼ばれていた頃から大好きだったから、ヴェルヌやウェルズやドイルに夢中になった少年時代に始まり、E・E・スミス、アイザック・アシモフを読んでいた頃から、小松左京、光瀬龍あたりまでだったでしょう。その時々でSFの楽しく感じたところは違っていたのかもしれません。それをSFと呼んでいいならこれまでの傑作の一番は小松左京の「日本沈没」であったなぁと思うのです。その程度ですから「ハードSF]とはどんなものかしらと興味を持っていました。
この死体はなにものかと地球規模のプロジェクトが組織される。遺留品は数少ない。あらゆる先端学問が動員され分析が始まる。放射性炭素年代測定法、原始生物学、宇宙創生論、地球物理学、進化論、記号解読学などなど。数々の仮説を検証し、彼が地球にたどりつく経緯を明らかにしていく。ストーリーは単純でその分析プロセスを丹念に描くだけの小説だった。ここまで科学理論を徹底したSFにはお目にかかったことがない。ミステリーで言えば非現実で、ためにする状況をしつらえ、そこでおこる事件を論理一筋で解明するパズル型の謎解き作法に近い。この場合「論理一筋」による読ませる説得性が作品の評価を左右する。
ハードSFの代表作といわれる作品だ。ここで取り上げられている「現代科学理論の粋」は私のようなシロウトにはチンプンカンプンで本物なのかどうかは判断しようがないのだが、読んでいるといかにもそれらしく引き込まれてしまった。
地球人が木星の衛星にたどり着く頃の未来を想定しているから、これも現実的未来であって、登場する宇宙船、装備、機器類、科学技術にも今の水準と途方もなくかけ離れた感じがしないのも「本物らしさ」を高めている。
書かれたのが1977年だから「古くささを全く感じさせない」との評価はまったくそのとおりだった。
宇宙戦争のバトルシーンも巧みに織り込まれ、宇宙規模の大どんでん返しもあって、懐かしい空想科学小説のなごりと気の利いたラストは楽しく読めるところでもある。
ただ、そのアイデアと技巧など名人の手際のよさには感心するものの、結局こしらえものにすぎないと、今更このジャンルにのめり込める歳ではなくなった自分の老化がすこしさみしい。
古臭さを感じさせないとのことに関連することだが、
この小説の世界では核兵器の寡占によって地球規模の平和と繁栄が謳歌されている。「恐怖の均衡」、今でも立派に通用するところがあります。
又終章では生物学者が高らかに宣言する。
「われわれ人類は今、押しも押されぬ太陽系の支配者として、5万年前のルナリアンと同じように恒星間空間のとばくちに立っている。というわけで、諸君、恒星宇宙はわれわれが祖先から受け継ぐべき遺産なのだ。ならば行ってわれわれの正当な遺産を要求しようではないか。われわれの伝統には、敗北の概念はない。今日は恒星を、明日は銀河系外星雲を。宇宙のいかなる力も、われわれを止めることができないのだ」
1977年、ベトナム戦争後の米国人にあった幻滅を消し去ろうとした新大統領カーターの胸の内を見るようであった。がこれもブッシュにも当てはまるというものだ。

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星を継ぐもの(創元SF文庫)

2012/11/13 12:32

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あんじゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る

発想がすばらしい。時の流れの悠久さを感じさせる。日本訳はいまひとつ。

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宇宙の壮大なロマン♪

2010/09/09 17:53

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

始まりは、月面で発見した宇宙服を身に着けた死体だった・・・。
明らかに人間のはずなのに、どの月面基地にも所属していなかった。
それどころか、彼は現代人ではなかった。何と!5万年前の人間
だったのだ!彼はどこから来たのか?現代に生きる人類との関連は?

SF、いや壮大な宇宙のロマンか。この作品を読んでいると、果て
しない宇宙の広がりや、気の遠くなるような時間の長さを感じる。
月面で発見された5万年前の人間の死体。しかも、彼が生きていた
時代には高度な文明があった。このことをどう説明できるというのか?
あらゆる知識人たちが集まってその謎を解明しようとする。死体は、
チャーリーと名づけられた。ほんのわずかな手がかりから、チャーリーの
生きていた時代を探る作業が続く。そして、謎が解き明かされるときが
来る・・・。何という大胆な発想だろう。読んでいて思わず声を上げたく
なるほどだった。地球と月を舞台にこれほどのものが書けるなんて!
謎解きの面白さだけではなく、作者は読み手に宇宙へのあこがれを
抱かせる。
夜、星を見て思うことがある。「この星の中に、生物がいる星はあるの
だろうか?」それは、いてほしいという私の切なる願いでもある。宇宙は
謎だらけだ。この作品のようなことが実際に起こるかもしれない。そう
考えるとワクワクしてくる。
ミステリー、ファンタジー、そしてロマン。あらゆる感覚を味わうことの
できる作品だと思う。ラストも、強い余韻が残る。ぜひ一度読んでみては♪

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紙の本

SFとしか呼びようが無い作品

2003/04/26 10:48

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

ちまたでガニメアンシリーズといわれる最初の一冊です。
この作品は分類が難しいですね。サイエンス・フィクションとしか
呼びようがない(笑
ホーガン氏はこの作品で36歳でデビューしています。
イギリス出身でアメリカ在住。
ここは覚えておくように…

この作品の世界では、
エネルギー革命、大規模な軍縮により地域間格差が減少した時代。
人類の目標は宇宙開発にむけられていた。
そんな時代に今までの歴史観に当てはまらない死体が出てきたんですよ。
科学者達がひっくり返ってしまったんですね…
ヒーローなんかは出てきません。
科学者達が死体の謎をよってたかって解いていく話です。

中心になる人物はイギリス人のハント博士。
才能に溢れ柔軟な発想の持ち主で多方面の分野で実績を残しています。
彼がアメリカにある国連宇宙軍の研究チームの中心になるんです。
対抗馬がダンチェッカー教授。
なかなか面白いキャラクターで描かれています。
古い専門家(職人?)タイプの科学者なんですね。
この二人の活躍で5万年前の宇宙服を着た人間の死体の謎が
明らかになって行きます。

気がついた方もいますね?
どうも、私はハント博士は作者と重なる所があるように思えます。
けっこう、りっぱな人物に描かれているんですよね…

作品自体は科学や論理がたくさん出てくるハードSFです。
しかし、落ちついて読めば苦手な方も大丈夫です。
途中でハント博士が結論を分かりやすくレポートに
まとめてくれていますから(笑
ちょっとプロローグがくどかったり、エピローグが唐突だったりもしますが、
全体はバランス良くまとまっています。

とんでもない設定をストーリーが破綻もせず論理を淡々と積み上げて
作品にしています。
しかし、場面転換もクライマックスもちゃんとあります(笑
善人ばかりが出てくることが少し気になりますが、
SF初心者にも上級者にもお奨めです。

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SFで遊ぶ大人たち

2001/05/29 05:44

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 地球人とまったく同じ姿形をしたチャーリー(発見された死体)。彼は何のためにどこから来て死んだのか、そして何者なのか。
 「未知という謎」を探るべく集った超一流の科学者たちがそこに覚えた感情、僕は間違いなく「哀れみ」だったのだろうと想像する。違う言語を使い、得体の知れない科学を用い、しかも自らは語ることのできないチャーリーの想いを知ることは、好奇心ももちろんあったのだろうけども、それ以上に「隣人の言葉」を聞いてあげたいという意識もあったのではないか。
 この広大すぎる宇宙にちっぽけな船でこぎ出した我々の、やっと見つけた最初の隣人こそが、チャーリーだったのだから。

 まぁ何とも楽しい。僕はその道の専門家、特に「天才」と呼ばれる人たちが活躍する話が大好きらしいのだけど、この物語はそれのみで創られていると言っても過言ではない。
 くり返される議論、積み重ねられては崩される思索。「知の饗宴」とも呼びたい天才たちの挑戦には、たしかに本格ミステリと同種のおもしろさを感じた。

 SFの印象として「作品内に限られた理論で終始する」というのがあったのだけど、どうやらそう簡単に言い切れるものではなく、率直に言えばバカげた偏見だったようだ。
 そういった側面は多少あるかもしれないが、僕はもっと「閉じた、窮屈な世界」と想像していたのである。考えてみれば、僕のようなものでさえ嫌だと感じる理由が本当にあるのだとしたら、あらゆるジャンルで最も熱狂的な愛読者がいる(と僕は感じている)SFなんてものは、とっくの昔に滅びているはず。お見それしました。

 でも、主人公たちが開発した「トライマグニスコープ」は、もっと物語にからんでくるのかと思った。謎の死体問題に関わりを持たせるためだけに、都合のいい道具をひょいと出してくるのはどうだろう。ストーリーが冗長になるのを防ぐべく作ったのはわかるのだけど、SF初心者としては期待してしまうじゃないか。

 冗長になるのを防ぐといえば、いわゆる「説明」にすぎない文章がほぼ半分を占めている。登場人物を軸に話を進めていこうとしたら、おそらくとんでもない長さになるだろうと、作者は考えたのだろう。
 その部分は小説を読んでいる気がしなくて、科学本か歴史本か、とにかく味気ない感じを受けたのだけど、当然のことながら重要な箇所というわけでもないので、意味のある省略として捉えることにした。この人は説明のほうが上手いというのもあるが。

 何はともあれ、SFにはまりそうである。

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これがデビュー作

2022/11/08 08:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

デビュー作が代表作という例はしばしばあるが、この作品もそのような例の一つである。発想 着目点の新規性といい、ハードSFとしての科学的基礎知識 知見といい、欠点を見つけにくいほどの傑作である。ただし、しっかりした理論に支えられているだけに、ストーリー展開のスピード感や跳躍力にややかけるところはある。

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知の果てへの冒険

2020/07/12 12:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

5万年前に亡くなった現代人の謎を、壮大なスケールで解き明かしていきます。人類が惑星への有人探査に乗り出す、そう遠くない未来の出来事のようでリアリティーがありました。

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イマジネーションを刺激する壮大なストーリー

2019/09/23 05:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

月面で5万年前の死体発見!言わずと知れた大ベストセラー。この作者の作品は学生時代に読んだ『終局のエニグマ』以来。同作品が難しい印象で個人的にはとっつきにくかったため、この作品も敬遠していましたが、結果は読んで正解でした!よくこんな作品が想像力だけで書けたなぁと感心することしきり。作者の描いたこの作品を読んでいると、壮大なテーマの下で、宇宙の広大な風景が目に見えるようで、こちらのイマジネーションも膨らみます。人類の謎、宇宙の謎、堪能できました!

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人類の起源の驚きの真実

2016/03/14 18:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る

月の死体 惑星間戦争 人類の起源 異星人。なぜ月に死体があったのか解き明かされ、さらに月と地球の関係の意外な事実。人類にまつわる壮大なドラマ。

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電子書籍

謎解き推理小説

2016/01/12 18:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:プラ~さん - この投稿者のレビュー一覧を見る

有名なSF小説でもあるなので,始めてジェイムズ・P・ホーガンの本を読みました。手に汗握るスターウォーズのようなSF活劇ではなくて,それはまるで謎解き小説であって,じっくり推理する内容となっています。2001年宇宙の旅を思わせる出だしが,個人的には嬉しかったです。読み終えてすぐに続編に進みました。勉強にはなりませんが,暇潰しにはとても有意義な本です。

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紙の本

「幽霊なんて信じない!」そんな人こそ楽しめるSF大作

2005/10/02 03:11

27人中、26人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いくら - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書がそんなに有名な作品だということは全く知らなかった私が、手に取るに至ったきっかけは、信頼できる友人のオススメ作品と小耳に挟んだからです。
そもそも翻訳物はどうにも苦手で、ハードSFなんて未知の世界だし、正直言って、読み始めて未来の科学技術に関する細かい説明が始まった時には「挫折するかも・・・」と思いました。でもここで諦めなくて本当に良かった!と心から思います。

人間には2通りのタイプがあると思う。不思議なことが起こるとそれを受け入れてしまう人と、納得できる解答を探そうとする人。平たく言うと幽霊を信じるか信じないか、の違いです。
勝手なイメージなのですが、SFは前者のタイプの人間が好んで読むジャンルかと思っていました。その認識は間違いかもしれません。
本書はとにかく「謎」がてんこもり。
そしてその謎を論理的かつ科学的に解明しようとする学者達の物語です。
一つ手掛かりを見つけたと思えば、新たな謎が見つかる。提示される謎が魅力的なのは当然ながら、学者達がさまざまな視点からアプローチし、それぞれにデータを積み上げていく過程が生き生きと書かれており、自分も一員になった気分で議論の行方を見守っていました。
そして、データがただのデータでは何の役に立たない所が現実的で面白かったです。
各専門機関から集められたデータを読み取り、それぞれに役に立つであろう情報を提供し、新たな方向性を見出す役割をになうハントの功績には、組織が効率よく最大の力を発揮する為のヒントが隠されているように思え、SFでありながらビジネス書を読んでいるようなお得な気分になりました。
ハントという心臓があることで、全身の血管に血が行き渡るかのごとく、情報が生きるのですね。

最後には真相が明らかになり、人間という存在の根源にまで言及しています。
生物でありながら、他の動物と明らかに一線を隔する私たち人間。
何故ここまで差が生まれたのか、不思議に思いはしても誰にも解けないであろう謎ですが、本書には一つの「答え」が書かれているように思います。
この物語は、どこまでが現実なのか・・・もしかしたら?!と思わせる筆力に感動です。
28年経った今でも、間違いなく最高傑作と呼べる一冊に出会えたことに感謝!

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紙の本

超弩級のカタルシス!

2011/03/03 23:59

18人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐吉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ハードSFの傑作としてつとに有名なこの作品は、本国イギリスでの発表が1977年、邦訳は1980年に刊行され、さまざまなメディアの優れたSF作品に贈られる星雲賞を受賞している。昨年惜しまれつつ世を去ったSF界の巨匠ジェイムズ・P・ホーガンの、デビュー作にして代表作である。

人類が有人惑星探査を始めた近未来、月面に穿たれた洞窟で、宇宙服に身を包んだ一体の死体が発見された。綿密な調査の結果、その死体は現生人類、つまり我々とまったく同じ特徴を有していながら、死後5万年を経過したものであることが判明した。これはいったい何なのか。我々と同じ人類なのか、それとも他の惑星から来た未知の生命体か。あらゆる分野のトップクラスの科学者が謎の究明にあたり、議論百出、百家争鳴、世界中が騒然とする。そんな中、今度は木星の衛星ガニメデで、明らかに地球のものではない巨大宇宙船と、地球上の生物とはまったく系統の異なる生物の死骸が発見された……。

月面で死体が発見される場面は、映画『2001年 宇宙の旅』に登場するモノリスを連想させる。本作の解説によれば、こうした仕掛け自体はSF作品においてさほど珍しいものではないらしい。しかしその謎解きの過程には、SFとして見ても、またミステリと捉えても、思わず興奮せずにはいられない超弩級の読みごたえがある。何がすごいと云って、科学者たちがその「事件」を調査していくプロセスの描写が本格的だ。たとえばこうだ。

「現在わたしどもの進めている化学分析で、チャーリー(月面で発見された死体につけられた愛称:引用者注)の細胞代謝の周期および酵素の作用の量的モデルを作る見通しが立って来ています。遠からず、血液、ならびに体組織中の老廃物および毒素の蓄積の速度が計算できるようになると思いますが、その結果から、自然な状態におけるチャーリーの睡眠時間と起きている時間を割り出せるでしょう。もし、その方法によって一日の長さがわかれば、他の数字もたちどころに量的に理解できるはずです」
「それがわかれば、惑星の公転周期も出るわけですね」誰かが言った。「しかし、惑星の質量はどうかな?」
「それはわかるんじゃないかな。チャーリーの骨格と筋肉の構造を調べてさ、体重と力の比率を出せばいいんだ」別の誰かがすかさず言った。
(中略)
「惑星の質量はチャーリーが携帯していた装置や器具のガラスとか、結晶性の素材からだって求められますよ。結晶構造を見れば、それが冷却した時の重力場の強さがわかるじゃあないですか」

こうした記述をたどるうちに、これは実際にあり得る話なんじゃないかとさえ思えてくる。もちろん厳密に科学的な立場から見れば、そこには虚も実もあるだろう。しかし、小説におけるリアリティというのは、それがどれだけ現実に即しているかではなく、読者の脳裏にどれだけリアルなイメージを喚起するかにある。奇想天外な筋立てでありながら、目の前で展開しているようなリアリティを持った作品もあれば、実際にあってもおかしくない話なのに、見るからに作り物臭い作品もある。この作品は、現実と虚構の狭間の虚実皮膜の面白さを見事に形にしている。「とにかくこういうものとして理解してください」などという安易な姿勢は微塵も感じられず、その徹底した主観的リアリズムが、この作品の迫力をいやがうえにも増幅する。

科学者たちによっていくつもの推論が提示され、そのたびにそれに対する反証が見つかる。さまざまな矛盾は一向に解消されず、謎はさらに深まっていく。ところが、複雑に絡み合ったすべての疑問が、最後にあっと驚く結論に収斂する。もちろんそれは、都合のいい辻褄合わせなどではなく、見事なまでに論理的で説得力のある帰結である。読者は、そこに至ってはじめて、それまでにさまざまなヒントが散りばめられていたことに気づく。正直なところ、エンターテインメント小説としての造りには多少の粗がないでもないのだが、とにかくこの、すべてが腑に落ちる瞬間のカタルシスといったら……ない。

科学的な記述は一見難しそうに見えるかもしれないが、定評のある池の訳文は淀みなくなめらかで、理科系の話は苦手という方でも、読むのに苦痛を感じることはないだろう。もちろんそうした話が好きな向きにはこたえられない作品に違いない。SF好き、ミステリ好きな方はもちろん、小説好きなすべての方におすすめしたい。

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