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紙の本
列強の陰謀が渦巻く時代の中で・・
2009/11/30 15:27
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yuki-chi - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀。帝国主義時代。地球は列強の陰謀と戦争の舞台でしかなかった。
20年前に産声をあげたばかりの小さな「明治日本」は、
列強を一挙に真似て、一挙に追いこしてしまえと突っ走っていた。
そうしなければ列強の餌食になる。弱肉強食。植民地という屈辱から逃れるため。
己の過去をかなぐり捨てたようなすさまじいばかりの西洋化には、日本国の存亡が賭けられていた。
「猿まね」と西洋人に笑われた。「己の風俗を捨てた」と清国には軽蔑された。
しかし、この当時の人々の健気なほどの「猿まね」が、
かつてどの国にも支配されたことのない日本の歴史を作り、
現在の確固とした平和な日本の姿の礎となるのである。
海軍大尉となった秋山真之は、それまでの慣習どおりの日本の軍事の既成概念をひっくり返し、己の軍学を築き上げようとしていた。
また、肺結核を患い、余命幾百日もない正岡子規も万葉集の頃から続く和歌を否定し、近代俳句と短歌の確立に命を賭していた。
二人の革新精神のすさまじさ、熱い魂に心を打たれる。
特に正岡子規は病床にありながら、戦場さながらの猛々しい戦闘精神を備え持っていた・・・。
それぞれが自分の持つ能力を最大限に生かして、時代を突き動かしていく。
日清戦争の勝利により、「国家」という概念が人々の心に強く根付いた日本。
しかし、勝利に酔う暇はない。
背後には、牙から血をしたたせる肉食獣のように極東侵略の野望に燃えるロシアがいる。
小さな日本の行く手に待ち受ける運命やいかに・・・。
紙の本
司馬氏の歴史大作第2巻、いよいよ戦争が勃発します!
2016/09/03 11:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬氏の歴史大作の第2巻では、いよいよ戦争が勃発します。席亜を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか二十数年の小国を根底から揺さぶり、日本は朝鮮をめぐって、大国「清」と交戦状態に突入します。陸軍少佐秋山好古は騎兵を率いて、海軍少尉真之も養生に出撃します。一方、正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと旧弊な勢力との対決を決意します。
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2015/11/20 06:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earthbound - この投稿者のレビュー一覧を見る
「正岡は、毒をまきちらしている」
「私が味わったああいう苦しさは、あれを女郎にたとえれば女郎にさえなれず夜鷹をして北海を放浪しているといったものです。あなたは決して味わってはなりませんよ。」
「むしろ一人で二百首も上乗の作を残したというところに芭蕉の一大文学者たるところがある」
「明治日本」というのは、考えてみれば漫画として理解したほうが早い。
「プロシャでは国家が軍隊をもっているのではなく、軍隊が国家をもっている。」
「帝国海軍ノ名誉ヲアゲヨ」
「わざわざご念を押されるとは心外である。ゆらい秘密は官界からもれるといわれる。私よりも閣下こそ口に注意なされよ。」
要するに日清戦争は、老朽しきった秩序(清国)と、申請したばかりの秩序(日本)とのあいだにおこなわれた大規模な実験というような性格をもっていた。