紙の本
第五巻。
2009/02/21 22:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
第五巻。
日露戦争のなかの、特筆すべき戦いのなかの一つである203高地をめぐる旅順攻略戦。
大将である乃木希典は、正面からの攻撃に固執し、すさまじい犠牲を出してしまいます。
指揮官の能力で、組織の成果が決まるというのは、今も現代でも同じです。
現代は本当の戦争というよりも、ビジネス上の戦いが激しいですが、ビジネスにおいても指揮官つまりトップの資質で勝つか負けるは決まってしまいます。
乃木の場合、人間的な側面から言うととても優れた人物であることが本書を読んでいても伝わってきます。しかし、成果を上げるためのトップの条件には欠けると言わざるを得ません。
トップにはなにが必要か?
いろいろな資質が必要なことは言うまでもありませんが、戦いという場面を想定すると、「決断力」と「情勢判断力」だと思います。
部下から上がってきた情報と、自ら得た情報を組み合わせて考え、状況を判断し、その分析された状況をもとに選択を迫られたときに決断するのがトップの役割です。
ともあれ日露戦争では、なんとか203高地を確保に成功するものの、その犠牲の多さは戦争継続をも危うくする状況でした。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
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四巻同様、日露戦争の戦術を中心に描かれていた。
五巻は感慨深い内容が多かった。特に日本人のいざと
いう時の腹の括り方とロシア人の弱腰が個人的には
インパクト大だった。
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二〇三高地という拠点が日露戦争における旅順戦のポイントだったんだけど、ようやくそこを乃木軍が攻略。ポイントってことを乃木軍が理解するまでに時間かかりすぎて、歴史の教科書に書かれるような「大量の犠牲」がはらわれた。やっとこさ旅順戦は日本が優勢になりつつあった。一方、旅順艦隊を破った東郷艦隊は、大西洋から東洋に向けて発航したロシア艦隊(バルチック艦隊)を待ち受ける。4巻の伊地知ほどではないけど、日本海に至るまでのバルチック艦隊も結構酷に描かれている。けれど一つ一つの人生、それぞれの国家が本当に呼吸をさせ、輝かせている。がんばれ日本。がんばれロシア。
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ついに旅順占領。二○三高地を押えたとき、児玉源太郎の発した「そこから旅順港は見えるか。」って言葉、かっこよすぎ。
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もうこれは秋山好古ジャンルでいいのか!?というくらい兄の出番は少ないですが、いいんです。放っておいてください。誰がなんと言おうが、私の中で「坂の上の雲」の主人公は兄なんです!(本当は秋山兄弟と正岡子規が主人公です)
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言うまでも無い歴史小説です。
読み返す本ってそんなに無いものなのですが、この本はまた読むことになるでしょう。
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内容と評価:秋山好古、秋山真之の兄弟と、正岡子規の3人を主人公に、松山出身の彼らが明治という近代日本の勃興期をいかに生きたかを描く青春群像小説を意図したようで、前半は、師範学校を経て陸軍士官学校に学びフランス留学を経て日本騎兵を一からつくりあげてゆく好古や、共に上京して共立学校、大学予備門に学び、そこから一方は帝国大学文学部へ、一方は海軍兵学校へと異なった道へ進む子規、真之の姿が中心となって描かれている。この時点での重要なモチーフの一つは、羸弱な基盤しか持たない近代国家としての日本を支えるために、青年たちが自己と国家を同一視し、自ら国家の一分野を担う気概を持って各々の学問や専門的事象に取り組む明治期特有の人間像であり、好古における騎兵、真之における海軍戦術の研究、子規における短詩型文学と近代日本語による散文の改革運動などが、それぞれこうした状況の代表的事例として丁寧に描かれている。
後半、特に子規の没後は、秋山兄弟が深く関わった日露戦争の描写が中心となり、あたかも「小説日露戦争」であるかのような雰囲気になる。作者が日露戦争そのものを巨視的かつ全体的に捉えることを意図したために、後半部分では本来の主人公である秋山兄弟の他に、児玉源太郎、東郷平八郎、乃木希典などの将官や各戦闘で中心的な役割を果たした師団についての記述に紙幅が割かれている。
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乃木軍司令部の無能に頭を悩ませていた児玉源太郎がついに現場へ向かって指揮をとる事に。攻撃開始からわずか1時間20分で完全に二○三高地を占領してしまうというあっけなさ…(児玉が天才なのか、乃木軍司令部がとんでもなく能無しだったのか…)旅順港を見下ろしポンポン砲を撃って軍艦をあっさり沈めてしまう。児玉は旅順攻略の手柄を乃木希典に譲って退場。そして有名な『水師営の会見』ですね。旅順開城約なりて〜敵の将軍ステッセル〜乃木大将と会見の〜所は何処、水師営〜♪
ロジェストウェンスキー艦隊はアフリカ大陸周りであたふたハプニング続出(笑ってしまう)黒溝台では秋山(兄)の騎兵隊がピンチ…?!がんばって兄さん!
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ついに旅順が陥落しました。児玉の活躍で203高地がおちたのです。
一方、バルティック艦隊はまだマダガスカルにいます。
なぜか四巻をアップするのを忘れていました。
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明治37年10月5日ニ○三高地占領と旅順降伏、バルチック艦隊大航海、沙河戦線38年1月20日まで。第三軍乃木、参謀伊地知を無能、卑怯、臆病、頑固、鈍感、無策と罵倒し、総参謀長児玉源太郎は自らニ○三高地の攻略の指揮をとり、砲兵陣地を大転換させ、歩兵六千二百余の日本兵を殺した高地西南角を一時間ニ十分で占領し、東北角を三十分で成功させ、旅順港内のロシア艦隊を二十八サンチ榴弾砲で壊滅させる。天才児玉なくしてニ○三高地は陥落せず、日本海海戦、日露戦争の結末は大いに異なっていた。乃木とステッセル会談が後世取り上げられるが、旅順攻撃の指揮官としての名誉は乃木ではなく児玉である。日英同盟によって英はバルチック艦隊の休息と石炭補給を苦悩させる。艦隊は旅順陥落をマダカスカルで知り、暑さと疲労による艦隊は士気を落とす。著者は滑稽なまでにその航海を語る。戦場には幸運と不運の偶然が、星の数ほどちらばっており、作戦にも偶然の暗合が黒溝台で展開す。
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2007/07/26 tue
旅順が漸く落ち、バルチック艦隊が動き出す。
が、ロシアの一人相撲は相変わらずで、
バルチック艦隊の話も時折鼻で笑ってしまった。
P301が印象に残った。
旅順でロシアが降伏を申し入れた際、
開城(まだ正式には開城になっていなかった時点だが)に、
両軍兵士が抱き合って喜び、共に酒盛りまでした話。
そして、
「このまだ交戦中であるはずの段階において、
両軍の兵士がこのように戯れながら、
しかも一件の事故もおこらなかったというのは、
人間というものが本来、
国家もしくはその類似機関から義務づけられることなしに
武器をとって殺し合うということに適いていないことを
証拠立てるものであろう。」
という行がある。
戦争を経験し、
「何故、あの大戦をしたのか?」と追求してきた
司馬遼太郎の言葉が胸に残った。
それにしても、いろいろ遊んでいたとはいえ、
読むのに一週間かかってしまった^^;
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あまりにも有名な二○三高地の決戦。司馬先生による乃木軍の評価は手厳しいの一言。確かに人が亡くなりすぎです。
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日本の将軍たちの中には、個人の栄達のために戦っていた者がいた。もちろん歩兵は国のために命をかけていたが、将軍の中にも、自分の名誉や名声を欲せず、ただただ国のために、私利私欲を捨てた。当然のことであるが、それを当然とやりとげる姿は、かっこいいものである。
守るもののために、私情を捨て、その職、命を全うするということは、一番重要なことではないか、と。繰り返しになるが、私情を捨てる、というのが難しくはあるが、大切なことである。
自分のためでなく、相手のため。
自民族のためでなく、他民族のため。
自国のためでなく、他国のため。
人間のためでなく、動植物のため、地球のため、自然のため。
自分もこの分野においては、まだまだ勉強させてもらっているところではありますが、私情を捨てれる武士道を貫いていきたいと感じたところでございます。
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戦闘の途中、戦略上の重要拠点と考えられる203高地に移し、見事その戦闘を制する。一方、ロシアのバルチック艦隊は、日英同盟の影響から、各港における石炭・物資の積み込みをスムーズに進めることができず、もたもたとしている。日本の肉弾戦、および、政治的根回しがうまく機能している。
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日本はロシアを甘く見てミシチェンコが冬に攻撃を仕掛けてくるとはおもわなかったし、逆にロシアは日本を過大評価して最終的にミシチェンコの騎兵隊は奉天会戦には関わることができなかった。
クロパトキンの多勢を持って相手を制すという完全主義やロシア陸軍の官僚的システムがここまで戦争に影響を与えるとは思わなかった。
いろいろと話が錯綜するが楽しく一気によめるいい作品だった。
ステッセルが旅順要塞を放棄して降参して水師営で乃木と会うシーンがなんかジーンときた。
日本の工兵の勇敢さに砲兵の射撃能力に物理的威力などの軍事的所見なんかよりも、ロシアの要塞の砲火の機械的犠牲になった日本歩兵についてはステッセルはなにも言わないんだな。
どれだけの人が旅順要塞を落とすために命を落としたか本を読んでよくわかりました。