紙の本
命を巡る驚異と感動の物語たち
2001/01/18 12:04
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投稿者:げんとび - この投稿者のレビュー一覧を見る
数ある手塚作品の中でも私は「ブラック・ジャック」が一番好きだ。その理由はいろいろあるが、なにより主人公であるブラック・ジャックが非常に魅力のあるキャラクターだからだ。
彼は医師免許を持たない、いわゆる無免許医だ。それにも関わらず彼のもとに訪れる患者は後を絶たない。彼は他の医者が治すことのできない病気でも治してしまうほどの天才的な技術を持っているのだ。
この凄腕ゆえに、彼は無頼であり、孤高である。自分の技量だけを武器に、誰にも干渉されず自分の信じる道をひたすら生きる。こういう生き方に私はとてもあこがれるので、本書を読むときにはブラック・ジャックになりきってしまっている。
ただ、この彼の生き方ゆえに、彼もやり場のない怒りや煩悶を感じることがある。本書に収録されている「報復」という話でもそうだ。無免許医であるため当然彼は日本医師連盟から目の敵にされている。医師法違反で逮捕されたブラック・ジャックに面会に来たのは、イタリアの億万長者だった。このあと急展開するこの物語の中では、無免許天才外科医であるが故のブラック・ジャックの苦悩が、彼自身はそれについて言葉では語っていないが、淡々と描かれている。
命を自ら扱うゆえに背負う喜びと悲しみを静かに受け止めながら、彼は次々とメスをふるっていくのだ。
本書には14編の物語が収められている。ケヤキ太郎と老人の話、小さな島を舞台にした女医の哀しい恋の話など、どれも非常に完成度が高い。そしてどれも感動を与えてくれる。
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善か悪か
2022/03/28 05:14
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
所謂安楽死についての問題も避けてはいない。キリコなどの一見悪役のように登場するが果たしてそう簡単に割り切れるものか。
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危険な男
2001/07/01 00:22
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投稿者:KA - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性にとって安全な男よりも危険な男がモテる。無免許医で犯罪すれすれ……というか相当深く足を突っ込んでいる危険な男ブラック・ジャックも度々女性に好かれる。
“土砂降り”では人口の少ない島で一人女医としてがんばる清水先生が最初B.Jに反発しながらも(性格に問題が……)、彼の人となりを知り惚れ込んでしまう。しかしB.Jは断わる。断固として彼自身幸せから背を向けてしまう。それは彼の育まれてきたアウトロー的気質によるものだが、いつかは幸せになってほしいと願う。
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投稿者:ないものねだり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「外科医は基本患者意識無いから喋る事無いんだ。」外科医の先生がテレビカメラに向かって笑って話していた。
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『土砂降り』『老人と木』『恐怖菌』などが収められています。
わたしのお気に入りは『二度死んだ少年』。BJの「どうしてわざわざ二回も殺すんだっ なぜあのまま死なせてやれなかった!?」といぅ叫びが印象的。
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僕の好きな作品。「ときには真珠のように」、「めぐり会い」、「六等星」、「アリの足」、「二つの愛」、「おばあちゃん」、「三者三様」、「友よいずこ」、「助け合い」、「勘当息子」、「ある女の場合」、「執念」、「奇妙な関係」、「虚像」、「ゴーストタウンの流れ者」、「山手線の哲」、「落としもの」、「焼け焦げた人形」、「もらい水」、「終電車」、「古和医院」、「土砂降り」、「老人と木」、「サギ師志願」、「ふたりのピノコ」、「おとうと」、「上と下」、「曇りのち晴れ」、「ハリケーン」、「発作」、「誤診」、「発作」、「再会」、「死への一時間」、「ある教師と生徒」、「目撃者」、「約束」、「二人三脚」、「銃創」、「やり残しの家」、「骨肉」、「盗難」、「灰とダイヤモンド」、「身の代金」、「人形と警官」、「お医者さんごっこ」、「がめつい同士」、「話し合い」、「青い恐怖」、「人生という名のSL」、「信号」、「デベソの達」、「二人目がいた」、「帰ってきたあいつ」、「笑い上戸」、「水とあくたれ」、「小うるさい自殺者」、「後遺症」、「気が弱いシラノ」、「幸運な男」、「かりそめの愛を」、「浦島太郎」、「鯨にのまれた男」、「スター誕生」、「死者との対話」、「霧」、「夜明けのできごと」、「20年目の暗示」、「ミユキとベン」、「浮世風呂」、「過ぎ去りし一瞬」、「純華飯店」、「おとずれた思い出」…。
全編を通して、珠玉の名作集の趣があります。
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ちょっとロマンスのある「土砂降り」とか、ブラック・ジャックならではの優しさがある「身代わり」がよかった
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今回はけっこうちょこちょこ捕まってる話が多い。
地方議員が国からお金をもらってきて、適当に使っている『土砂降り』を読んで、今も昔も政治家の質は変わらないんだなぁ…世襲が多いからかなぁ…と思いました。
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「老人と木」「二度死んだ少年」「ナダレ」…どの巻にも傑作が存在する。「ナダレ」は特に人間の身勝手さを糾弾しつつもそうでしか在りえない業に身もだえせずにいられない。
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死んでほしくない人が死んでしまうのは悲しい。
もう少しどうにかならないのか憤りを感じる話が多い。
お気に入りは「短指症」。
親子の絆を感じる。
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これまで読んできて感じていたのだけれども、地震を背景にした話が結構多い気がする。
自然との対峙を考える上で、日本に生きる人間の宿命としての地震を大きなものと捉えていたのかな?手塚先生が生きていたらとりわけ東日本大震災をどのように感じ取ったのだろう?
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獅子面病にでてくる刑事がきたなすぎる。治らないといわれている自分の息子の病気をブラックジャックに押し付けて、治せなかったら医師として活動できなくさせると脅迫するなんて。しかし、世の中の「地位のある人間」というのは、こういうことを往々にしてしているような気がする。そういう世の中のきたなさを取り上げるからブラックジャックはスカッとするのだろうな。そして、手塚治虫はそういう面もよく見ているなと思う。おそらく人生でひどい目にあったり、そのような理不尽をずっと目の当たりにしてきたのだろうと思う。想像だけどね。
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権力者たちの自己中心的な発言に、毅然と立ち向かうブラック・ジャックがかっこいい。決して報酬のために働いているのではない。救うために、生きているのだ。
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私はどうやらあなたにとって疫病神だったようだ 私の顔の皮膚を使って 人工頭蓋 短指症は優性遺伝だ必ず親から伝えられ…五十パーセントの子が親と同じ指になる 法律というものがある!無免許で医者をやるような男は社会から抹殺できるのだぞいくらでも! バンビーノ(坊や) 国鉄からゴッテリ見舞金をふんだくることを考えろ 全身皮膚の汚穢おえ 俺流のやり方で処置するよ 生き延びろよ上陸を祈ってるぜ… 説得・エホバの証人と輸血拒否事件 ところで、B・J自身の血液型は「O型」である。 アッチョンブリケ! 間黒男 1948 昭和22年生まれのビートたけしとは同世代である
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例のボンカレーのセリフが出てきて一人で「おおっ!!」と思ってしまった。この巻でもBJ先生はやっぱりかっこいい。