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[ 内容 ]
あらゆる論理学的な主題を根源から問い直す!
人倫のタカが緩んだ「退屈と空虚と焦燥の時代」に考えるべきこととは何か?
殺人、自殺、売買春、私、愛、死刑、戦争……すべて人間の生き方の根幹に触れるものばかりである。
時代の無意識が提示してくる問いに、現在の具体的状況を生きるひとりとして真っ正面から答える新しい倫理学の試み!
[ 目次 ]
第1章 人は何のために生きるのか
第2章 自殺は許されない行為か
第3章 『私』とは何か、『自分』とは何か
第4章 人を愛するとはどういうことか
第5章 不倫は許されない行為か
第6章 売春(買春)は悪か
第7章 人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか
第8章 なぜ人を殺してはいけないのか
第9章 死刑は廃止すべきか
第10章 戦争責任を負うべきか」。
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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著者は家族論、学校論、思想、哲学など幅広い評論活動を展開している批評家。
時代の無意識が提示してくる問題に真正面から答えるといっているが、明確な答えは得られない。
本書は人は何のために生きるのか?なぜ人を殺してはいけないのか?など10個の問いを考察する構成になっている。
問い→なぜその問いが生まれたのか→問いの言い換えが全章にわたって行われていて、論理構成を学ぶにはよい本かもしれないが、真正面からの答えを期待しながら読んでいた私にとっては少し残念な結果となった。
多少の結論づけがなされているところもあるが一般論に終わっている感じがした。
問いに答えられない場合に視点を変えて問いを構成しなおす発想は勉強になった。
現代の倫理学を触ってみたい人は読んでみていいと思う。
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倫理の本。
学生時代の記憶は全くないのですが、覗いてみたい世界だったので手にとって見ました。表題の問いも人に説明できるレベルの解がありませんでしたので。
さて、内容は表題以外にも「何のために生きるのか?」「人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか?」などなど倫理学的御題がズラリ。勿論究極回答などなく、別の識者の意見は、著者の意見を入れ交え、「私ならこう答える」的に解説が入る展開。これが実に独りよがりでなく、説得力を持たせる論理的な文面なのが好印象。考えずに当たり前と思ったことも、こうして深く掘り下げてみると色々見えてくる感覚を少しいただくことができました。
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論理的な解が出ない問いかけ。今だに解はない。ならば、問いをこう変えよう。「なぜ社会は人を殺す事を許容しなくなったのか?」この問いであれば、過去の歴史と経験から説明が付く。
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高校時代に授業で紹介されたのが先か、伊坂幸太郎の『マリアビートル』を読んだのが先か……
ショッキングなタイトルですが、内容をきちんと言い表しているのは副題です
『新しい倫理学のために』
誰もが一度は疑問に思ったことがあるのではないかという問いかけを、問の立て方からわかりやすく、丁寧に書いています
「他人に迷惑をかけなければ何をやってもいい」ということの不可能さが、心にしみました
この本は結論を書いているのではなく、読者が自ら思考するための「考え方」あるいは「考えるヒント」を提示しているのだと思いました
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小難しいけど、ドンつまり思考をそらしてくれるのはいいことだと思う。
図書館で借りたけど、項目に鉛筆で丸してあったり、ページの端を折った後があったり。
普段はいやな気持ちになったりするけど、この本に関して言えば
「ああ、みんな悩んでるんだなあ。どんな気持ちでこの本を借りて読んだのかなあ。」と想像した。
なんともいえない気持ちになったよ。
これを借りたきっかけは、その昔アニメ雑誌「アニメージュ」で「なぜ人を殺してはいけないの?」という質問に対する記事をずっと覚えていたから。
当時私はそんなこと全く気にしていなかったので青天の霹靂だった。
何でそんなこと疑問な思うようになるんだろう、なんて思って。
その出来事が印象的だった。
気になるなら読んでみたらいいかも。
肩透かしを食らうかもしれないけど、ある日ふっと思い出すかもしれない。
一時気にしだしたらずっと気になってしまう問いだから、考え方を知るのも面白いと思った。
思考経路を変えるのって本当たいへんだよね~。
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(推薦者コメント)
新書yの代表的な一冊。衝撃的なタイトルだが、倫理と徹底的に向き合いたい人には是非すすめたい。
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表題をはじめ、はっきりとした答えは出しにくいような10の演題に対し、それぞれの見解が示される。自分的には結構“なるほど”と思わされるような答えが示されてると思えたし、味わい深く読むことが出来ました。
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良い意味で期待外れ。答えのない倫理的テーマにロジカルシンキングでアプローチしていくというちょっと変わった本だが、感情や情念が支配する題目をいかに論理的に分類・整理し、解き明かしていくか?という思考アプローチの参考になる。
が、キャッチーにテーマ設定しておきながら、テーマそのものには切り込まず、論理的矛盾が起こらないように、論説においてテーマの設定変更している点はどうかな?とは思うので、その点においてはやや良心的ではないような気はする。よって人によってはズッコケルのかもしれない。
「自分」とは具体的な関係の関数である。 というのが特に印象に残ったフレーズ。
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1.人は何のために生きるのか
2.自殺は許されない行為か
3.「私」とは何か、「自分」とは何か
4.人を愛するとはどういうことか
5.不倫は許されない行為か
6.売春(買春)は悪か
7.他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか
8.なぜ人を殺してはいけないのか
9.死刑は廃止すべきか
10.戦争責任をどう負うべきか
という10個の難問に倫理学的に向き合って行こうとする本書。
この本では解答がハッキリと書かれている訳ではない。
これらの「問い」の立て方自体に問題はないかということ、それぞれの問題にどう取り組むべきか、ということが述べられており、考え方の参考になった。
哲学書とか倫理学、論理学に慣れていない人には取り付きにくい本かも。。
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伊坂幸太郎のマリアビートルを最近読んだので
関連として読んで見ました。
タイトルのなぜ人を殺してはいけないのかの他にも
自殺、不倫、売春、死刑、戦争責任などなど
何れも賛否両論の内容について掘り下げています。
この本の特徴的なのは著者の主観をほとんど抜きにして
あらゆる人を納得させるようにあるべき論を展開しており
非常に学問的に説明されています。
当然自分の考えとは少し異なるところもあるのですが
基本的に主張の異なる相手を納得させるための論法で
説かれているので納得は出来ます。
正しい倫理観を身に付けるために読む本というよりは
善悪が立場によって簡単に判断出来ず水掛け論に
なりがちな問題に対するアプローチの方法を勉強出来る本
という位置付けが正しいのかもしれません。
いずれにしても私はついつい感情的になりがちな議論を
どう冷静に進めるかを学べたかなと思います。
倫理的なお話が多いですがそこに宗教観を全く交えずに
議論を展開しているため、物足りない人には物足りないかもしれませんが、
それゆえに万人向けになっている本とも言えます。
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題目の提示、順序設定が良い。流れるように、掘り下げ、思考が重ねられる。結論だけ書かれても納得しにくい根源的なテーマでもあり、著書と同じ視線で、思考を巡らし、そのプロセスを記載することも、まあ良い。発想転換に右へ左へと揺ら揺ら。仕方ないし、その変遷は面白い。しかし、肝心な結論がない。
いや、それっぽい事は各テーマごとにあるのだが、いかにも。法観念や他者との関係性、倫理観の源泉を追求しなければ、哲学に思い悩み、一番納得し易い帰結を後生大事に抱え込むような展開にならざるを得ない。勿論、この手のテーゼには答えはないかもしれない。しかし、帯に、あなたはこの問いに答えられるか?と挑戦しながら、著書が答えないなら、それは、軽い詐欺である。
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正直、この問いにはまだ答えられません。
本書の中にはいくつかの問いがあります。どれも日常で一度は聞いた覚えのあるような問いばかりです。けれど、私はどれにもきちんと、自分の論理や倫理でもって答えられる自信はありません。
けれど、読んでいて頷ける箇所の多い本でした。何度か読み返したいので、今度購入しようと思います。今回は貸していただきました。
……正直、私にも「殺意」が生まれる瞬間があります。もちろん日々いつも思っているわけではありません。それは昔の事を思い出して、鬱屈した厭な記憶を受け流すあるいは受け入れるためのことです。まぁそんなことはさておき……
そこから「人を殺す」ということについて考えたのです。なぜ殺してはいけないのか。なぜ殺されたのに殺し返してはいけないのか。殺すとはどういうことなのか。
その答えは……私がもう少し本書を読み返してから、にします。苦笑い。
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1.問いの目覚めへの、動機付け
2. 簡単な答えはないと覚悟する
3. 問い方そのものにまずい点は無いかどうかを検討し、まずければ、もっとよいとい方を編み出す工夫をする
Ⅰ.自ら納得しうる意味・目的をいかに虚構するか?
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タイトルになっている「なぜ人を殺してはいけないのか」をはじめ、「人は何のために生きるのか」「自殺は許されない行為か」「「私」とは何か、「自分」とは何か」「人を愛するとはどういうことか」「不倫は許されない行為か」「売春(買春)は悪か」「他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか」「死刑は廃止すべきか」「戦争責任はどう負うべきか」という10の問題をめぐって、著者が考察を展開している本です。
「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いは、大江健三郎など多くの著名人によってとりあげられ話題となりましたが、ひとがこうした根源的な問いを発するのは、それを発せざるをえないような実存的な悩みをかかえ込んでいるからだと著者は考えます。それゆえこの種の問いに向きあうときには、なぜ発問者がそうした問いにつかまってしまったのかということを、彼の実存的な状況のなかからつかみとる必要があると主張します。
ここに著者の基本的な観点が示されており、たとえば「売春(買春)は悪か」という問いに対しても、「たとえ売春を肯定するとしても、肯定の悪乗りをすべきでない」といい、また「他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか」という問いに対しては、「自分と直接的なかかわりのある身近な他者をさしたる理由もなく怒らせたり悲しませたりすべきでない」という原則を提出しています。
著者の取り出した問いの「本質」は、納得できるところが多いと感じました。ただ、著者はこうした異議をけっして認めないでしょうが、われわれの実存的な立場の狭さを自覚してより広い視野を獲得するために、そうした実存的な感性のありようもまた歴史的・社会的に形成されてきたという観点に立ってみることも必要なのではないかという気がします。