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紙の本
廃棄処分の初版本
2003/03/13 22:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
火野葦平の一連の兵隊小説にもいえるが、彼は小説という形式をとりながら軍隊生活や戦場でのありようを故国にいる多数の兵隊の家族に伝えたかったのではないかと思った。
戦場から家族に送られる手紙は検閲という制度があり、紋切り型の内容しか書けないことを兵隊でもあった火野葦平は知っているがゆえに、小説というもので代筆をしたのではないだろうか。
読み方によっては軍国主義を称える内容のため、敗戦後は「文学者戦犯第一号」のレッテルを貼られたが、「息子を兵隊として天子様にお返しできる」と喜んだ高木家の母親が息子の戦死公報を受け取ると狂ったように悲しむところなど、戦意高揚の小説であればこのような場面は書けないのではないだろうか。
朝日新聞の連載小説であったものが本となった日、皮肉なことにそれは昭和二十年八月十五日の敗戦の日であった。
その後、印刷された初版本がどのように処分されたかは不明のようである。
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