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紙の本
「お奉行様のお裁き」の実態
2010/02/15 11:23
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近は「傍聴マニア」なんて方もいらっしゃるようですね。人間、誰しも他人の私生活を覗き見したいもの。裁かれる人間の情や欲が赤裸々に暴かれる「法廷」という場は、野次馬的好奇心を満たす上で最適かもしれません。そんな貴方にお勧めの一冊です。
本書は江戸時代の裁判の判例集、犯罪記録を素材に、興味深い犯罪事件を1つ1つ取りあげるというスタイル。史料の豊富な近世ならではですね。中世以前ではとても無理。史料を並べるだけで本にするなんてズルいという気持ちにもなるわけですが、単に事件の紹介に留まらず、事件の背後にある江戸社会の実相を浮き彫りにしようとしているところに著者山本氏の真骨頂があると言えます。
つまり、「昔も今も人間って変わらないなあ」で終わるのではなく、更に江戸社会の特殊性をも明らかにしようとしているのです。特に共感したのは次の一節。
「江戸時代の武士は、恥というものを知っており、自ら省みて責任があると思えば毅然と行動する。現在のように、世論の動向を見ながら判断するというような態度はみられない。高い地位と権限を与えられている現在のエリートたちは、そのような高い身分に伴う倫理性、すなわちノブレス・オブリージュをもっと自覚すべきだと思う」
とはいえ、もちろん著者は江戸社会を手放しで賞揚するのではなく、厳しい身分制が刑罰にも反映されていることを鋭く指摘しています。研究対象に入れ込みすぎて過大評価するということは往々にしてありますが、さすがに著者は絶妙なバランス感覚を備えておられます。
あと本書が強調しているのは江戸時代の厳罰主義。江戸町奉行所南北の同心が各140人だったとのことで、この少人数で100万都市江戸の治安を守っていたというのは驚嘆に値しますが、それを可能にしたのは岡っ引きもさることながら、幕府の厳罰主義にあるのかもしれません。
紙の本
人間とは変わらぬ生き物か。
2002/04/26 19:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山本博文氏の本は読み易いが、内容は信頼している。本書は江戸時代の犯罪を扱っているが、その大部分は不倫やいじめ、下半身接待など、現代でも共通する事件だ。「現代と共通」というと、江戸時代を何でもかんでも明るくした「江戸幻想」が頭に浮かぶが、本書は江戸時代の法律の厳しさをきちんと記しているので好い。江戸時代は男女差別含む身分制が厳然として存在しており、幾らかの「自由」は、あくまでもその範囲内でしか存在しなかったのだということを忘れてはいけないだろう。女性が少なかった江戸では、庶民が妻に甘いとともに、貧農あがりの遊女を抑圧していたように。やはり現代は江戸時代よりははるかに「マシ」だろう。
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