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紙の本

一気に讀ませる円朝の魅力、鹽原多助はいい男!円朝はみごとなNovelist。

2000/10/27 00:15

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投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本は二つの部分から成り立っている。一つは学者や研究者によるエッセイ、もう一つは三遊亭円朝遺稿『鹽原多助後月譚』(200枚)で円朝の年譜も載っているという親切さである。一寸断りたいのはカバーには圓朝、その他には円朝とあるがこれにはいづれ意味があろう。この謎を考えるのも面白い。

 円朝についてはこれまで全くの無関心であったがこの本を讀み、五、六歳のころ母から寝物語に聞いた怪談、古着屋で買った花嫁衣装が糊づけの粗悪品で、花嫁がそれを着て恥をかいて自殺し、古着屋に崇るというのを思い出した。稚な心に怖くて、絶対花嫁衣装に古着は買うまいと決心した。これは円朝作『江島屋騒動』だと本書で知った。

 「フーン」と感心して、『鹽原多助後月譚』を一気に讀んでしまった。これが何とも面白い。円滑な話芸の粋というのだろうか。話の運びの巧さ、讀者に疑問を感じさせないための手くばりの良さ、しかも多助のサクセス物語だから楽しく讀める。お花という女房、これが美人でお嬢さん育ちで遊ばせ言葉なんか使うくせに、手を真っ黒にして炭屋の仕事を手伝っているという設定も大衆の心をつかむみごとなやり方である。 

 『ハーンと円朝』という平川裕弘氏のエッセイによるとハーンは円朝を小説家と呼んでいるのがわかる。多助を書くために円朝は資料を讀んだり実地調査もしたようで、たしかに彼は現代の我々の知る落語家ではない。小説家である。

 この『後日譚』は円朝の没後遺品のなかから発見された原稿で、「日出国(やまと)新報」に明治三十三年十一月から連載されたもの。これまでの「円朝全集」には入っていなかったのを今回没後百年を記念して公表されたものである。

 とにかく円朝の偉大さをはじめて知り、驚いているというのが正直な感想である。だから円朝をよく知っている讀者はこの本を順序通りにエッセイから讀むのがよいが、円朝を知らない讀者は後ろの『鹽原多助後日譚』から讀むことをすすめたい。

 さてエッセイの方は二十氏によって円朝の芸や、人となりや、時代が語られ楽しい文章である。平川氏の『ハーンと円朝』もその一つだが、矢野誠一氏の『処世の師』について紹介しよう。円朝は山岡鐡舟に禪を学び、鐡舟の死まで十一年間も可愛がられ、そのため井上馨、山縣有朋、伊藤博文他大勢の政府要人に近づくことができた。これが当時の藝人の地位向上にもつながったが円朝自身が新時代の文化人として世間から認められることになった原因となっていると矢野氏は言う。徳川びいきの江戸っ子円朝の処世術は山岡鐡舟から教えられたものといえそうである。

 蛇足を加えるなら、私は『後日譚』の登場人物の服装に関する叙述がありがたかった。服装史の資料として実に貴重である。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝/作家 2000.10.27)

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