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紙の本

ヴィスコンティ映画の魅力を平易に解説

2006/12/23 13:15

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

今年は、ルキノ・ヴィスコンティ生誕百年にあたり、各地で回顧上映祭や関連書籍の出版が相次いでいる。本書は、今から5年前の出版で、今回のアニバーサリーに合わせた出版ではないが、数あるヴィスコンティ関連書の中でも特出した映画論となっている。
本書では、初期の傑作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』から最晩年の『イノセント』までの主要な十の作品が時系列に沿って論じられている。
ヴィスコンティの映画を論じる際には、通常、初期の作品では社会の下層に喘ぐ人々を正面から捉えたネオ・リアリズモの作風が注目され、後期の映画では貴族階級の人々を主人公にした絢爛豪華な作風が取り上げられることが多い。このように見ると、ヴィスコンティの映画は、一見すると前期と後期では作風が異なっているようであり、事実そのように映画論を展開しているものが大半を占める。
著者はそのような見方には捉われずに、前期の作品の中にも後期の作品につながるものがあり、後期の作品にも前期の作品につながるものがある、つまりヴィスコンティの映画はある種の一貫性を保ちながら緩やかに成熟していったという見方に立って映画論を展開している。
著者がヴィスコンティの映画を論じる際に注目しているのは、映画の中で頻出する映像的特質である。一例を挙げると、①「後姿の主題」②「水と美少年の主題」③「舞踏会の主題」④「死の主題」などである。③と④の主題は、ヴィスコンティ映画の顕著な特徴であることはすぐ分かるが、①と②は映画を熟視していないと、中々気がつきにくい主題である。
このうち、「後姿の主題」について言及すれば、初期の映画から現れているものの、最初はそれほど重要性を担っていなかったが、徐々に重要性を増して来ており、この主題で、ヴィスコンティは主人公たちの敗北や近づく死、世代交代を象徴的に描いているとしている。それは、本書に効果的に配された映画のスティール写真からも窺われる。
著者は、この他にも、映像処理技法やストーリーなどから、マエストロの映画の魅力を論じており、ファンならずとも教えられるところが多い。しかも、難解な専門用語などを一切使わずに誰が読んでも分かる平易な言葉でこれほど豊かに映画の魅力を語れるのは、著者の才能もさることながらヴィスコンティへの強い愛と敬意が根底にあるからであろう。
本書を通読すると、ヴィスコンティの映画はその初期の作品から晩年の作品に至るまで全てが素晴らしいと改めて認識させられる。今すぐにでも、もう一度その全映画を見直して見たいという強い誘惑に駆られる。
なお、著者はこの十一月に『ヴィスコンティ2』を上梓しており、本書で論じられなかった『ベリッシュマ』『白夜』『熊座の淡き星影』などを魅力的に論じている。

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