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紙の本
命が尽きるそのときまで
2004/03/19 07:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分が王となった異世界について、あまりにも無知であることを知った陽子。彼女は景麒(けいき)に紹介された師について学ぶうち、地方で横暴を繰り広げる官の存在を知り、自ら反乱軍に加わります。
一方、己がただ不幸の中に浸り、現状を打開する努力もせずに無為に過ごしていたことに気づいた鈴もまた、反乱軍の中に身をおきます。
そして、己が為すべきことについて何も知らずに過ごしていたのだと悟った祥瓊(しょうけい)もまた、怪しげな一団に加わります。
戦いの中で邂逅を果たす少女たち。陽子はここで、民が王にかける期待、王の重責を痛感し、胸の中にあった何かを一つ吹っ切ります。
『月の影 影の海』では無事に玉座についた陽子が、王として大きく成長していくのが本書です。下巻は事態がめまぐるしく展開していき、陽子の前途も大きく開けていきます。
国を知り、王の務めを学び、自らの麒麟とも理解を深めていく陽子。多くのことを学んでも尚、無知であると自覚する陽子。
陽子の師となった何百年も生きている仙、遠甫(えんほ)でさえ、まだ迷うことがあると言います。人と言うものはその程度のものだと言うこと、また、その程度のものだと知っておくことに意義があるのかもしれないと、彼は言います。
これはつまり、人と言うものはどれほど長く生きようと、命が尽きるその時まで学ぶことがあるということではないでしょうか。
——他者に虐げられても屈することのない心、災厄に襲われても挫けることのない心、不正があれば糺すことを恐れず、豺虎(けだもの)に媚びず、——私は慶の民にそんな不羈(ふき)の民になって欲しい。
師と信頼できる臣を得、今度こそ陽子の前には前途洋々たる未来が開けているかに見えます。が、この後『黄昏の岸 暁の天』において、陽子にはまたもや苦難が待ち受けています。
どこまでも現実世界のように試練に見舞われる陽子。
しかし、本人が放った言葉の通り、挫けることも恐れることもない心に、勇気づけられるような気がします。
紙の本
何回も読み返せる本
2002/02/23 01:15
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投稿者:はりねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
十二国記シリーズはそれぞれに主人公が異なることが多いが、これはその中でも主役の陽子の物語の下巻。シリーズ最初の「月の影 影の海」でこちらの世界にやってきた陽子が、王として最初の令を発するまでに悩み、様々な過程を経て旧王朝の勢力を整理統合していく。日本がいったんは見つけたと思えたリーダーシップをまた失い始める今のこの世の中で、幾多の犠牲はあろうと正しいものが報われるシステムはとても魅力的に感じられる。この物語は比較的ハッピーエンドであることも手伝って、何度も読み返した。いつもながらに周辺登場人物もよく書き込まれていて完成度が高い。
紙の本
模索する姿
2023/01/01 17:41
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
民の希望でありながら政治や統治に悩む景王陽子。自分らしい国作りのために何が必要か考え努力する姿がいじらしい。
ちょっと前まで平凡な女子高生だったのに。立場は成長を促しますね。
紙の本
自分の弱さに向かう事を真摯にみつめる
2002/11/12 16:42
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投稿者:でぶりんスカヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この壮大な異世界ファンタジーのベースには常に人としての有り様が描かれているが、今作品では身につまされる事が多かった。何不自由ない生活からたたき落とされた芳国公主・祥瓊、言葉も分からない十二国に流された蓬莱の鈴そして何も知らないまま十二国に連れられ景王となった洋子。自分が一番不幸で周りのせいでこの苦しみを味わっているんだ。なぜ? なぜこんな目にあうのか? そして憎むことで、景王洋子とゆう目的を持った祥瓊と鈴であったが…本当にそれは周りのせいなのか、楽俊に出会い自分が知ろうとしなかったおのれの弱さ、ずるさを指摘された祥瓊、鈴もまた旅の少年に教えられる、「泣いてばかりで努力したのか?」と。人が自分の心を真摯に見つめ、間違いを認める事は実は勇気がいることで難しいことだとゆうことを改めて感じた。今作品は少女達の成長で人は生まれ変われるんだとゆう側面から私達にも問われているように思う。自分の弱さを見つめて認められるかとゆうことを。最後に洋子が王として初勅を出したとき、朗々と響く声が胸に迫ったような気がしたのは私だけではないと思う。