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高い評価の役に立ったレビュー
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/10/18 20:59
自己義認的な熱いブームに冷水を浴びせた功績
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 なぜリサイクルが叫ばれるのか
2 今のリサイクルは矛盾している
3 リサイクルから循環型社会へ
4 「分離の科学」から労力を知る
5 「材料」と「焼却」の意味を知る
6 来るべき循環型社会を考える
著者は1943年(東京都)生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業(66年)。旭化成工業,芝浦工業大学,名古屋大学を経て中部大学(教授)。工学博士(東京大学,86年)。日本工学教育協会工学教育賞(倫理,99年)、平成15年日本工学教育協会論文・論説賞(03年)。
刊行当時から読みたかった本。趣旨は題名そのまま。リサイクルに要するエネルギー分は確実にエントロピーを増大させてしまう以上,リサイクルが直接的効果,すなわち環境負荷を減らす効果を持ちえないことの理系研究者からの批判。化学式を組めない文系学者がグダグダ言うよりも黙って専門家の言うことを聴いたほうがよいという意味では好著。最も興味を引いたのは,電気をつくるのに原油を「生炊き」するのはもったいないので,よっぽどゴミ焼却炉と発電所とを合体させるほうがよいという提案には,化学式どころか数式も組めない私には説得力を持ちました。計算上,5%も輸入原油量を削減できるとのことです(112-3頁)。
リサイクルなんてのはブームであってはならない。もっと手近な方法で行われるべきなのに,世間のリサイクルはなんだか大規模かつ公共的。企業がリサイクルに便乗しているのが雄弁な証拠。政府までこれに便乗している。便乗すると予算がおちてきやすいからだろう。
わかりやすさはとても大切。でも,そのわかりやすさは皮相的と紙一重。事実だけを見ていると真実が歪曲される事例は,歴史上事欠かない。その意味で,自己義認的な熱いブームに,市井の批判を覚悟の上で冷水を浴びせた功績は大きく評価されていいと思う。(727字)
低い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/01/10 21:15
リサイクルの進展で,却って環境に負荷をかける矛盾を明らかにし,真の意味での循環型社会を考察
投稿者:木村 智博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
リサイクル関連の書籍が相次いで刊行されている。書店ではコーナーが設けられ,平積みにされている。いずれもリサイクルを進展させる必要性を強調する中,本書の論点はいささか,趣が異なる。リサイクルに伴う矛盾を科学的に突いている。動機は良心的であるのに,こうしたタイトルを目にした読者は困惑するのではないだろうか。書評子も何が書かれているのか,興味津々で頁をめくった。ただ,読み進めるうちに納得できた。
6章構成で,まず,リサイクルが至上命令になった背景を述べる。捨てるのは勿体ない,といった思いが働く一方,資源や環境保護に直結すると思い込んでしまう構図。このリサイクルに対する現状を2章で詳述。使えば劣化し,資源を却って浪費するなどの矛盾点を示す。再生品のコンクリートやプラスチックは品質的にも課題が残る。ペットボトルをリサイクルする場合,分別収集の過程で,余計にエネルギーを使う事実を指摘。以下,循環型社会構築に向けた提言が示され,長寿命設計などのコンセプトの重要性を説く。
(C) ブッククレビュー社 2000
紙の本
自己義認的な熱いブームに冷水を浴びせた功績
2007/10/18 20:59
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 なぜリサイクルが叫ばれるのか
2 今のリサイクルは矛盾している
3 リサイクルから循環型社会へ
4 「分離の科学」から労力を知る
5 「材料」と「焼却」の意味を知る
6 来るべき循環型社会を考える
著者は1943年(東京都)生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業(66年)。旭化成工業,芝浦工業大学,名古屋大学を経て中部大学(教授)。工学博士(東京大学,86年)。日本工学教育協会工学教育賞(倫理,99年)、平成15年日本工学教育協会論文・論説賞(03年)。
刊行当時から読みたかった本。趣旨は題名そのまま。リサイクルに要するエネルギー分は確実にエントロピーを増大させてしまう以上,リサイクルが直接的効果,すなわち環境負荷を減らす効果を持ちえないことの理系研究者からの批判。化学式を組めない文系学者がグダグダ言うよりも黙って専門家の言うことを聴いたほうがよいという意味では好著。最も興味を引いたのは,電気をつくるのに原油を「生炊き」するのはもったいないので,よっぽどゴミ焼却炉と発電所とを合体させるほうがよいという提案には,化学式どころか数式も組めない私には説得力を持ちました。計算上,5%も輸入原油量を削減できるとのことです(112-3頁)。
リサイクルなんてのはブームであってはならない。もっと手近な方法で行われるべきなのに,世間のリサイクルはなんだか大規模かつ公共的。企業がリサイクルに便乗しているのが雄弁な証拠。政府までこれに便乗している。便乗すると予算がおちてきやすいからだろう。
わかりやすさはとても大切。でも,そのわかりやすさは皮相的と紙一重。事実だけを見ていると真実が歪曲される事例は,歴史上事欠かない。その意味で,自己義認的な熱いブームに,市井の批判を覚悟の上で冷水を浴びせた功績は大きく評価されていいと思う。(727字)
紙の本
リサイクル、リサイクルと言うけれど…。
2002/07/16 10:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:優樹O - この投稿者のレビュー一覧を見る
リサイクルは「面倒だ・コストがかかる(×)」と考えることはあっても、「環境問題対策になる(○)」と皆信じている。だから企業はリサイクルを前面に打ち出した製品を販売し企業イメージ向上に努めるし、個人も「持続性のある文明」「循環型社会」に貢献すべくみな一生懸命にリサイクルに励む。
しかしこの本はそれらすべての根拠である「リサイクルはすべて環境問題対策に有効である」という考えを材料工学の立場から綿密に否定し、「大部分はリサイクルによってかえって環境負荷が高くなる」と述べている。特にペットボトルはその典型という。そして著者はその上で環境対策として何が有効かを考察している。
この事実はリサイクルを無条件に受け入れる風潮の中で非常に衝撃的だ。目からウロコ間違いの傑作。
紙の本
なにやってるんだろうね
2008/12/13 21:31
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者の『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)がベストセラーになったが、この本のほうが内容が濃く、なおかつ安いのでお薦めである。
初版は2000年であるが、2007年現在、状況はひどくなるばかりで、改善の兆しすら見えていない。ペットボトルのリサイクル、再生紙の利用、レジ袋の削減など、割り箸を止めて熱帯雨林を守ろうという言説同様ウソなどころか、資源の無駄遣い。
作者は、生活水準を落とさないで環境問題を解決しようと模索しているが、私には無理があるような気がしている。経済的な視点を度外視した環境問題解決がありえないのは確かで、そのことは著者も述べているが、長持ちする製品を作ったり、マイナーチェンジを差し控えることは、企業活動を停滞させざるをえない。よって、物質面での生活水準を落とさずに環境問題を解決することができるというのは眉唾だと思う。
最後に、地上デジタルTV放送への切り替えは、受像機の買い替えを生み、家電メーカーの利益を生むだろうが、環境へ多大な負荷をかけることは、素人目にも明らかである。現在のアナログ放送でどれほどの不便があるのか。私には実感できない。それを政府主導で進めるというのは、愚の骨頂であろう。
紙の本
リサイクルの進展で,却って環境に負荷をかける矛盾を明らかにし,真の意味での循環型社会を考察
2001/01/10 21:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木村 智博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
リサイクル関連の書籍が相次いで刊行されている。書店ではコーナーが設けられ,平積みにされている。いずれもリサイクルを進展させる必要性を強調する中,本書の論点はいささか,趣が異なる。リサイクルに伴う矛盾を科学的に突いている。動機は良心的であるのに,こうしたタイトルを目にした読者は困惑するのではないだろうか。書評子も何が書かれているのか,興味津々で頁をめくった。ただ,読み進めるうちに納得できた。
6章構成で,まず,リサイクルが至上命令になった背景を述べる。捨てるのは勿体ない,といった思いが働く一方,資源や環境保護に直結すると思い込んでしまう構図。このリサイクルに対する現状を2章で詳述。使えば劣化し,資源を却って浪費するなどの矛盾点を示す。再生品のコンクリートやプラスチックは品質的にも課題が残る。ペットボトルをリサイクルする場合,分別収集の過程で,余計にエネルギーを使う事実を指摘。以下,循環型社会構築に向けた提言が示され,長寿命設計などのコンセプトの重要性を説く。
(C) ブッククレビュー社 2000