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ローマの歴史 改版 みんなのレビュー
- I.モンタネッリ (著), 藤沢 道郎 (訳)
- 税込価格:1,205円(10pt)
- 出版社:中央公論新社
- 発行年月:1999.5
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文庫
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紙の本
ローマ史にご興味をおもちの方には、絶対おすすめの一冊です!
2020/12/01 15:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中公文庫から出されているローマ史を非常にわかりやすく解説した一冊です。ロムルスによるローマ市の成立から、ロムルスの退位による西ローマの滅亡までのローマの歴史が、全く初めて学ぶ方にでも理解できりるように丁寧に書かれています。帯には「カエサル、ネロら多彩な人物像の魅力横溢。無類に面白い歴史読物」と書かれていますが、まさにその言葉がぴったり当てはまる一冊です。
初めてローマ史に触れる方、興味を持った方には、ぜひ、おすすめです。
紙の本
「ローマ圏の大きさ」に圧倒され、「ローマ人の暮し」に人間味を堪能する
2023/09/18 19:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本ながら500ページを超える大著である。「ローマの父」といわれる双子の赤ん坊がオオカミの乳で育てられるところから、東西ローマ帝国に分裂し、コンスタンティノポリスの帝国が残り、ローマの帝国が崩壊するまでの大歴史絵巻である。
著者は歴史学者ではなくローマ在住のジャーナリストである。私も含めて予備知識の薄い一般読者を対象に平易に綴られるのでわかりやすい。学者先生の著書とは一味違う。著者は「おもしろい歴史書」を目指したとのことで、一般的に聖人君子的な賢帝と思われている為政者が実はそうでもなかったというような暴露話も随所に織り込まれていて興味がそそられる。それよりも読んでいて楽しかったのは、ハンニバル、スキピオ、キケロ、カエサル、アントニウス、クレオパトラ、アウグストゥスなど有名役者が目白押しに登場してくる所謂「編年体」のような歴史の積み重ねに加えて、「教育」「立身の道」「神々」「市民生活」「ローマの晩餐」「享楽のローマ」「経済」「娯楽」などの人々の生活に根ざしたトピックスが章として設けられ、読みながら人間臭いローマ人の日常生活に触れられたことである。
そしてもう一つ、本書は「ローマの歴史」というタイトルながら、それを語る際に欠かせない重要なテーマである「キリスト教」の発祥からローマ帝国の国教となるまでの展開も教えてくれる。何と言っても「ローマカトリック教会の総本山の町」である。われわれが日頃目にする文庫・新書の中でキリスト教そのものがイスラエルの地に発祥し、ユダヤ教からみれば邪教であったものが途中小アジアを経てローマに伝播しそこで国教化され、バチカンという総本山になっていく過程に触れたものは少ない。なぜあの場所にサンピエトロ大教会が存在するのか。旅行ガイドには数行で書いてあるのかも知れないが、本書はそれを長い歴史の中に位置づけて教えてくれる。貴重である。
私が若い頃駐在していたドイツにも、ケルン・トリアー・アーヘン・クサンテンなどローマ古代の遺跡が残り、それが発祥となっている町があった。アウトバーンを時速200キロ以上で何時間も疾走してもローマからだとすぐに到達できる距離ではない。それどころではなく、隣のフランスやさらにそこから海を越えたイギリスにまでローマ人の痕跡は残っている。インドに迫ろうかとしたアレキサンダー大王もすごいが、ローマ人の行動力にも脱帽である。当時訪ねたハンガリー・ブダペスト近郊の都市遺跡やドイツ・クサンテンの円形競技場の記憶を辿り、壮大なローマの勢力圏の大きさに感慨を新たにしている。
ローマの長い長い歴史が凝縮され、大変読み応えがあった一冊である。