紙の本
虎は死して皮をとどめ
2009/01/12 10:19
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去に一世を風靡した奇術師有里匠幻が、大脱出マジックのテレビ収録中に殺害された。ちょっとした縁で収録を見物に来ていた西之園萌絵は、大学院入試の直前にもかかわらず、トリックの解明に夢中になる。一切が謎のまま、有里匠幻の遺体が葬儀の最中に消えるという事件が発生。謎はさらに深まっていく。いったい誰が、何のために奇術師を殺害し、遺体まで隠したのか。
本作と「夏のレプリカ」は同時期に起こった事件をそれぞれ分離して紹介しており、こちらは主に西之園萌絵が関わった方の事件。前作までの変化・成長を引き継いでおり、本作においてそれはますます助長されています。
今回は奇術を題材にしていることもあり、トリックを見破られにくくする方法も奇術的。前半に組み込まれた会話の中でありえないと意識から排除させられているようなものが、実はありえたという感じの手法が使われています。ミステリーに詳しい人を対象にしたものかも知れません。
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二つの話の片側
2018/11/24 20:41
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、奇数章しか存在しない目次に、おおっとなります。同時進行している別の話があり、それの片側という設定です。
なんだか、犀川先生にどんどん人間味が増している気がします。そして、萌絵はどんどん大人になっていきます。
シリーズ折り返し地点も過ぎましたが、これからが楽しみです。(でも、次の巻は「もう片側」ということは、この二人はあまり出番がないのでしょうか?これから読みます!)
ついに、あのお方の名前も重要そうな回想で出てくるようになり、楽しみです。
今回、後書きが引田天功さんだったことに、本気を感じました。
紙の本
シリーズ中の佳作
2017/01/25 16:01
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投稿者:kissho - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて一世を風靡したマジシャンが脱出マジックの最中に殺害され、その葬式の時に今度は死体が消失するというストーリー。ここで使われているトリック(と言うか、本作を成立させている前提)は個人的にはあまり好きではありませんが、それを差し引いても水準以上の面白さ。相変わらずスピーディーな展開で全く飽きさせません。お約束の犀川助教授と西之園嬢との掛け合いも楽しい。S&Mシリーズ中の佳作と言えるでしょう。
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大好きなシリーズ
2016/06/26 13:38
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投稿者:りこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きなシリーズなので一気によんでしまいました!
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読み返してて色褪せないミステリ
2002/01/25 05:03
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
親友・杜萌と犀川の代わりに来た浜中と共に萌絵が見たマジックショーは有里ナガル、タケル、ミカルら、有里匠幻の弟子たちのショウだった。萌絵はそこで数日後に行われる匠幻の「ミラクル・エスケープ」世紀の大脱出というイベントのことを知る。早速犀川を誘い見物に行った萌絵だったが、そのイベントショウで匠幻はナイフを刺されて殺されるのだった。
「ものには、すべて名前がある」
ラストシーンまで綺麗に纏められていた森ミステリの傑作。題材的にはずいぶんとオーソドックスなシチュエイションだけれども、犀川助教授の散文的な、非シーケンシャルな行動と言動だけでも1000円は惜しくないのだ。
そうそう、この本の章は全て奇数章のみで構成されているが、後続の本が偶数章のみになっている。
「年代の差じゃないですか?」
「君、小さいときに、何か呪文をかけられたんじゃないの?」
(第7章 奇想の舞台裏)
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奇跡の脱出を得意とする天才奇術師・有里匠幻がショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。S&Mシリーズ第6弾。
周りにはマジシャン、マジックの小道具がいっぱい。その中での事件となれば、どんなトリックが・・・とワクワクせざるをえない(笑)
終盤、そんなのあり?と思ってしまったけれど、文中で本人(S&M)が非現実的だと言っているのだから仕方がないか? それにしてもTMコネクションっていったい・・・これこそ、そんなのあり?まぁ、事件とは関係ないことですけど。 平行して起きたもう一つの事件については「夏のレプリカ」をお読み下さいませ
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今回の主要テーマは、「名前」だった。
「名前」や「言葉」や「固有名詞」は普段思われている以上に特殊で特別な意味を持つ存在らしく、「名詞の概念」は人間だけが到達した、複雑な思考らしい。
京極夏彦は同じことについて「呪(しゅ)」という言葉で表現している。「名前」というのは、自分自身の存在そのものにも深く係わりのある、哲学的にはかなり根源的な命題である気がする。きちんと理解出来るようになりたいと思う。
この、森博嗣氏のS&M(犀川創平と西之園萌絵)シリーズを読んでいる時には、ストーリーや謎解きの部分はほとんどスッ飛ばしてしまっている。あまり重要視していないし、理論的に破綻があるのか無いのかというところもどうでもいい。
ただひたすらに、そこに出てくる言葉(特に犀川先生のセリフ)にしびれるという読み方になってしまう。言葉を求めて本を読んでいることが多い自分にとっては、このシリーズは本当にたまらない。
物理の難しい法則を理解したとき、森の中を散歩したくなる。そうすると、もう、いつもの森とは違うんだよ。それが学問の本当の目的なんだ。人間だけに、それができる。ニューラルネットだからね。(p.283)
それが「桜の木」だと人々が感じるのは、一年のうちの数週間で、残りのほとんどはそれはただの「木」でしかない。
同様に、人はアウトプットするときだけ、個たる「人」であり、それ以外は、「人々」でしかない。(p.417)
君がどんどん賢くなって、立派な人格になって、君が望むとおり成長したとしよう。外的に変化するのは、君の西野園萌絵という名前の概念だけだ。少なくとも、外部から観察した場合、具体的な変化はそれしかない。つまり、君は、自分の名前の概念を変えるために生きていることになる。(p.511)
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今回は相も変わらぬ妙な建物は出てこない。脱出奇術の話で、後書きを書いているのが引田天功。ぴったり合っているというより、絶対にモデルだと思う。登場する女性奇術師は、あんまり魅力的ではないけれど。
ミステリとしては、一見派手だが実は地味、というあたりがおもしろかった。確かに奇術を絡めていかないと書けない話である。最後の方に出てくる意外な話は、どこかでみたような話のような気がして、もう一つ意外には思えなかった。
で、例によって探偵役である二人の話。とにかく個人的にはこの二人の魅力に引っ張られてこのシリーズを読んでいる。が、この間読んだのとこの作品の間に2冊あって、その間に二人の関係に大きな進展があった(ようだ)。そこをとばしてしまったのが非常に悔しい。やっぱり順番に読むべきであった。これは思い切り後悔。二人の内面が少しずつ書かれていく。シリーズが進むにつれて盛り上がってくるだろうなって予感がする。
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この本は次巻『夏のレプリカ』と同時間軸で語られている作品です。なのでこれを読み終わったらすぐに『夏のレプリカ』を読むことをお勧めしたいなあ、と思う次第であります。思わぬ伏線にしてやられたな、という感じ。何げないシーンがあとあと大きな鍵を握っていたのですね。
「ものには名前がある」というくだりが印象的でした。名前を呼ぶのが遅すぎたことに後悔を覚えた犀川先生の心境にせつなさを覚えました。
あと、犀川先生が萌絵に「最高に綺麗なスイッチだね」っていうところが好き。犀川先生らしいなあ。
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シリーズ第6作目。
マジシャンがショーの最中に、衆人環視下で殺されます。
この作品は、次の『夏のレプリカ』と対になっているため、奇数章しかありません。
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魅了される作品。森博嗣の作品は彼自身の考え方をトレースできるからおもしろい。今作は「名前」に関しての考え方が明らかになった。名前のために生きるか、なるほどね。
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この後の作品『夏のレプリカ』と2つで1つな作品。勿論単品で読んでも良いが、次も読めばオモシロさ倍増は間違いなし。
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S&Mシリーズの7作目?
これでS&Mシリーズは全部読んだと思うんだ(苦笑)
脱出マジックの最中、マジシャンが殺され、その葬儀の時には遺体が消える…。
犀川と萌絵の関係、これが一番面白かった。つか、この恋愛してるけど、してないような、でもしてる、って微妙な感じをよく書けたなぁと感心した。
と、今までにないストレートさを感じたのだけど、一体何ゆえにそう思ったのか、どこを根拠としているのか、自分でもわからないところが歯痒い。って、これがマジックを題材にしている効果なのだろうか?
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'05-08-02読了
『物理も科学も、そもそも人間の認識の仕方じゃあないですか? 自然現象を理解するためのプロトコルでしかありません』
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S&Mシリーズ第6弾。
マジックショーを舞台に、謎めいた殺人が。
奇数章しか存在しない一風変わった作品。
作品解説は引田天功!