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紙の本

18世紀ロンドンの下品で活気あふれた人生模様

2001/01/26 18:15

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投稿者:小池滋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 表題にある「スパイ」とは、今日一般に通用している意味──国や団体に雇われて敵方の情報をこっそり探る人──ではなく、言葉の本来の意味「覗く人」である。現代風に言いかえるならば「探訪記者」「ルポ・ライター」となるだろう。
 著者ネッド・ウォード(1667−1731)は、17世紀末から18世紀初頭にかけてイギリスで活躍した文筆業者。本書は1698年11月から1700年5月まで月刊で発表されたパンフレットである。

 イギリスの首都ロンドンは、その頃から多くの人たちが雑多にひしめき合って暮らしていた「ごった煮の都市」だった。本書は、まさに都市のルポルタージュの元祖と呼んでよいもので、上下、表裏、明暗、貧富などの差別をいっさい取りはらって、ごった煮のままで読者の前に供されている。
 歴史研究者にとっては絶好の資料であるが、資料として使うのではなく、読みものとして、文学作品としても楽しめる。人生というものは、東西古今を問わず、おもしろいものだと痛感させられる。
 こんなおもしろい本が、どうしていままで邦訳されなかったのだろう──というのが、読み終えての正直な感想である。監訳者もおそらく同じように考えて、敢えて翻訳にとり組んだのであろう。が、それほどなまやさしいことではなかった。
 原書そのものが、つい最近まで完本として刊行されていなかったのである。ロンドンの底辺の庶民の汚ない言葉、猥雑な表現、悪口雑言などがそのままページから飛び出して来るので、下品な本、良俗を害する本として、削除された版しか手に入らないまま、長い年月がたってしまった。
 「ちんぽこ野郎、てめえの女を見つけてきな。1ペニー半の女で十分さ。てめえはどんなに頑張っておっ立てったって、ちっぽけなニンジンってとこだろうよ」(第7部)といったような文が、あちこちに散らばっているのだから、監訳者の言葉にあるように、こんな文を訳すと訳著までが品性下劣と思われてしまうだろう。と心配するのも無理はなかろう。

 ところが、神戸大学の文学部教授である渡邊孔二氏は、あえて(本人の言うところによると)「ドン・キホーテよろしく」この訳業に挑戦した。この師にしてこの弟子ありで、同大学大学院を終了、あるいは在籍している女性の英文学研究者6人が「自らの意思でジャンヌ・ダルク的運命を甘受する覚悟をし」て共訳の仕事にとり組んだ。
 お蔭で読者であるわたしたちは、18世紀ロンドンの不潔だが活気にあふれた人生模様を目のあたりに見ることができるだけではなくて、英文学の特色となっている大きな柱のひとつを理解できる。20世紀のジョージ・オーウェルのルポ文学の魅力の源泉がどこにあったかを知って元気がでるのだ。 (bk1ブックナビゲーター:小池滋/英文学者 2001.01.29)

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