紙の本
米国弁護士ができるまでの体験記
2004/12/20 00:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさぴゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
一言で言うと、米国ジョージタウン大学のロースクールの正規の3年のコースであるジュリスドクタープログラム(略してJDコース)の体験記です。さすがに3年はないものの、2年ほど法務からニューヨーク州弁護士資格を取らせるために大学院に留学させるのは、大企業の法務では今では一般的です。私の同期も丁度、ロースクールに留学中で、よくある話です。ただ、その先駆けなので、当時は前代未聞でしたでしょうね。
著者は、ソニーから米国弁護士事務所、慶応義塾総合政策教授を経て米国公使である阿川尚之さんが、ソニー社員時代に、法務からの派遣留学生として過ごした日々のジョージタウンロースクールのいわゆる日記ですね。僕はこういう体験記は、大好きです。というのは、たいてい新書になるような体験記は、いわゆる選良たるエリートたちや成功者の話が多いですが、それはビルドゥングスロマン(教養小説)と同じように読めるからです。むしろ、難しい学校案内書よりも、こういう日記や物語形式の方が、感情移入しやすく全体像も把握しやすい。しかも、主人公が苦難を乗り越えて、成功するスタイルが圧倒的に多いので、読んでいて清涼感がある。そういえば昔読んでハーバード大学院のビジネススクール体験記「キヨミの挑戦」も、ソニーの社員でしたね。ソニーはお金もちだなぁ。
これを読むと、アメリカのエリートロイヤーが、どのように出来上がるのかが非常によくわかります。そして、アメリカの学生がどれほど競争社会で勉強するのかも。個人的には、成田美奈子さんのマンガで「アレクサンドライト」というコロンビア大学の学生の日常を描いた作品を思い出しました。情景描写はそっくりだった。けど、この競争社会は日本の受験戦争みたいなものですね。やはり、どこの国でも選良を選別するためには、ペーパーに依存するのは科挙の昔から変わらないのだなぁと思いました。またトップ数%の人間が、就職活動の青田刈りで徹底的に優遇されるが、それ以外は全く相手にされないのは、昨今の日本の就職活動でも見られるようなってきましたが、その徹底度合いはまさにアメリカ企業だなぁと思いました。
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80年代(ちょっと古い!)にアメリカのロースクールに入学した著者の体験記。
日本のロースクールはアメリカをモデルにして作ったそうなので、それを念頭に置きながら読んでみた。とかくアメリカの学歴インフレはすごい。アメリカ企業と対等に接しいきたいならば、日本でも修士号や弁護士資格などの学歴(目に見える資格)が必要となってくるというのが納得できた。専門化が進み、その中でも競争の激しさがあることが伝わってくるロースクール内の報告書である。
第一学年の成績が有名ローファームに入れるかを大きく左右することやロージャーナル(学校で出版している法律雑誌)の編集者になることは成績優秀者の称号みたいなものでこれも有名ローファームに入れるパスのようなものだとか、州ごとの司法試験は60パーセント受かるとか(だから最初日本の法科大学院も新司法試験の合格率を8割とか6割とか言ってたのかな。)・・・ロースクールの学生を著者は3グループにわけているが第一グループは上記のような優等生グループ。第二は中堅ローファームに入ったり、司法試験も比較的やさしい州の弁護士さんになったりするのだそうだ。第三グループは端的に言うと落ちこぼれ。ロースクールを卒業しさえすれば、就職先にこまらなかったのは一昔前とのコメント。(お、おそろしい。)成績が低いとそれだけチョイスが少なくなるのだそう。勉強していい成績をとるのは将来の選択肢を広げることなのだ。
大部分は著者の報告書みたいなもの(先生の特徴や生徒のことなど学校生活の日記みたいな感じ。結構どうでもいい著者のプライベートでのことも書いてある)
著者によく頑張ったと拍手をおくりたい。
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日本のロースクールはアメリカのロースクールの猿マネだとか、失敗するとかよく言われますが、
この本を読めばアメリカのロースクールという世界がいかに厳しいものかを十分に思い知ることができます。
MBAとは違い、生半可な気持ちでロースクールへの留学をすることは自殺行為なのだということが身にしみて良く分かります。
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アメリカのロースクールの生活のイメージが湧いた。
80年代の話なのと、著者が一般企業から留学した点が
これからの自分と異なるので、評価は難しいところ。
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[ 内容 ]
弁護士社会といわれるほどロイヤーの活動の場と機会が多いアメリカで、ロイヤーはいかにして生れるのか。
本書は1981年当時、ロー・スクールのJ・D・プログラムに進む日本人が極めて少なかった頃、正規の3年間のコースを修めるために留学した一企業人の奮戦記である。
ジョージタウンという名門ロー・スクールでの厳しい学問修業を卒え、無事司法試験に合格するまでを描いて、アメリカ社会の一断面を鮮やかに浮び上らせる。
[ 目次 ]
プロローグ 3人のロイヤー
ジョージタウン・ロー・スクールへ
第1学年秋学期
第1学年春学期
ワシントンの夢、ニューヨークの夢
お茶の子さいさい
司法試験狂騒曲
エピローグ ロイヤー誕生
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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阿川尚之氏(慶大名誉教授・阿川弘之氏の子)のロースクール体験記
アメリカのロースクルー体験記は、以前「リーガルエリートたちの挑戦」で読んでからひさしぶりに読んだ。日本のロースクールの詳細はわからないが、ここまで厳しい勉強をしているのだろうかしら