陰陽師伝奇大全 みんなのレビュー

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投稿者：うりゃ。　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

陰陽師についての類書はいくつか読んでいるが、この本が既読中最も充実した内容である。
東雅夫氏の編集されるアンソロジーは別ジャンルのものもいくつか読んでいるが、どれも外れがないので嬉しい。
この本も、澁澤龍彦氏の「三つの髑髏」など、あまりにもメジャーすぎてすでに別のアンソロジーで読んでしまったものなども多いが、重複を怖れず読んでよかった。

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投稿者：bk1　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

★【推薦の辞・京極夏彦】
　陰陽道とは混沌（カオス）を仕切る——世界の仕組みを組直す作法のことであり、陰陽師とは即ち、秩序（コスモス）を生み出す者どもであった。一方、本朝に於ける伝奇小説とは、世界の成り立ちを覆す——つまりは解き明かす——構造を物語の基盤に備えた小説のことでもある。そうしてみると、今まで本書のような企画が何故なかったのか不思議に思えてくる。陰陽師／伝奇物語というビジョンを透視した編者の視線（まなざし）は確かである。怪しい物語に惜しみなく愛を注ぎ続ける当代屈指の名アンソロジスト・東氏の慧眼に畏敬の念を覚えずにいられない。
（京極夏彦　きょうごく・なつひこ　作家）

★【編者からのメッセージ】
　三島由紀夫や澁澤龍彦、荒俣宏や小松和彦といった大いなる先達の啓発によって、私たちがオカルト・ジャパネスクの精華たる「陰陽師」の存在を再発見してから、かれこれ四半世紀になろうとしています。
　当初は深く静かに拡がっていった陰陽道への関心は、世紀転換点を迎え、夢枕獏＆岡野玲子という絢爛たる才能の出現によって一気に顕在化しました。
　しかしながら、これほど数多くの「晴明本」や陰陽道関連書が氾濫しているにもかかわらず、陰陽師と文学について正面から探求した書物が皆無に等しい現状に、私はかねてより隔靴掻痒の観を抱いてまいりました。
　本書は、古典から現代にいたる「陰陽師伝奇」文学の系譜を一望するべく編まれた、史上初の総合的アンソロジーです。日本の幻想文学、伝奇エンターテインメントの一大源泉となってきた「陰陽師」にまつわる幻想と怪奇の世界を描く「言葉の魔術師」たちの競演を存分に御堪能ください。
(東雅夫　ひがし・まさお）

★【目次】

安倍晴明　忠行に随ひて道を習ふこと　岡野玲子　夢枕獏原作
花山院　三島由紀夫　
三つの髑髏　渋沢竜彦　
安倍晴明物語　浅井了意　須永朝彦訳　
狐の嫁入り　辻井喬　
女狐　小松左京　
三国伝来玄象譚　夢枕獏　
女に追ひかけられる　長尾豊
陰陽師と鼠　金素雲
今昔物語（抄）　福永武彦訳　
　地神に追われた陰陽師の話
　天文博士が夢をうらなう話
　陰陽師の子供が鬼神を見る話
　人の姿した鬼が射られる話
死体にまたがった男　小泉八雲　池田雅之訳　
鉄輪　郡虎彦
陰陽師　宗谷真爾　
吸魄鬼　小沢章友　
魅鬼　高橋克彦
泥棒論語（抄）　花田清輝
福子妖異録　荒俣宏
匣と陰陽師　東雅夫
安倍晴明　天の川に行きて雨を祈ること　岡野玲子　夢枕獏原作

◆作品解題　東雅夫
◆資料　陰陽道基本用語辞典