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・飛行機で眠るのは難しい
・中国野菜の育て方
・まぶた
・お料理教室
・匂いの収集
・バックストローク
・詩人の卵巣
・リンデンバウム通りの双子 という8つの短編集
目次ページに並ぶタイトルを初めに見たときは エッセイかと思い、読みはじめてみて、あぁ やはりエッセイだったのだ、と思った。
・・・のも束の間、物語はいつのまにか不思議な世界へとつづいていた。
はっきりと覚醒している時に聞けば なにやら妖しく恐ろしい話でも、夢うつつの世界をさまよいながら聞くと 至極当然、何の不思議もなくすんなりと納得してしまうようなことはないだろうか。
これは そんな種類の物語たちである。
ぼんやりとした不安や妖しさ 恐ろしさが潜んでいるにもかかわらず、夢うつつの世界をさまよった後 目を覚ましてみると あたたかい余韻だけが残っている・・・というような。
でも、冷静に考えると どれも物凄く怖い話なのである。
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短編集。面白かった。どれも何だか不思議な感じがしましたね。あの世界観は好きだなぁ。引き込まれる。
『飛行機で眠るのは難しい』『匂いの収集』が好きでした。
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『博士の愛した数式』以来(たぶん)の小川さんだったから、もっとこう、なんていうか暖かくていろんなものがいっぱいあふれていて、すごくすごく光っているものだと思ったら、違う意味でいろんな意味で光っていました。それはとてもとても細々と。
すべての作品に共通して感じられる、冷たさ、寂しさ、せつなさ、そしてそこにほんのちょっと、ほんとにほんとに少しの光。奇妙な、不思議な、ちょっと怖いお話が詰まっています。人はみな、寂しい生き物だ。
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短編集。思いのほかホラーで不思議な話が多かったです。
でも気持ち悪い寸前の描写なので、さくさくと読めました。
また読みたいとかそういう感じではないですね。
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足の指が十本、手の指が十本。一本一本終わってゆくのが、惜しくてならない。彼女に悟られないよう、残りの指の本数を、僕はひそかに数える。
(P.109)
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作者のゾクッとする系(?)の短編8作。【飛行機で眠るのは難しい】飛行機の座席で隣り合わせた人の話。【中国野菜の育て方】光る野菜。掴みどころのないラスト。【まぶた】少女と謎の男とハムスター。グロイ。【お料理教室】料理教室の台所の配水管に詰まっていたもの。【匂いの収集】薬指の標本を思い出した。【バックストローク】背泳ぎをする少年の左腕は…。【詩人の卵巣】眠りの話。リアルに想像しないようにしましょう。【リンデンバウム通りの双子】双子の年老いた男性。:「飛行機で眠るのは難しい」「バックストローク」「リンデンバウム通りの双子」が気に入った。読むときの気分によって評価が変わりそうな本。嫌悪感を抱く人も多いかも。私はだいぶ慣れてきて、心地よくぞくっとする。
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読んだ本をすべて言語化する必要を感じ得なくなってきた。それは私が表現者ではないという事実に基づく感情である。なに言ってんだオレは。
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「飛行機で眠るのは難しい」
「中国野菜の育て方」
「まぶた」
「お料理教室」
「匂いの収集」」
「バックストローク」
「詩人の卵巣」
「リンデンバウム通りの双子」
…の八編。
どこかぽっかりと、人に忘れられた場所で、
気紛れに見つかったり見つからなかったりするような、
そんな短編集。
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収録されている話は中途半端といえば中途半端な終わり方。
余韻を感じるといえば感じれる終わり方。
不思議な雰囲気に浸れると言えば浸れる。
ので、雰囲気を楽しむ本、という感じかと。
「バックストローク」が好きな話かなぁー。
満足度は★★★☆☆。
読みやすいですよ。
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以前読んだ幸福な食卓と同一なストーリーがあってちょっと鼻白んだが、小川さんのちょっと不思議な世界は嫌いではない。ただ幸福な食卓の方がインパクトもあったために今回は全体的に未消化な感じを受けた。表題作のまぶたもあまり深い印象を受けなかったので残念。
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図:うすら寒い読了。決して嫌な気分ではないんだけど。読みやすい。
作品の紹介
前世を記憶する水泳選手。料理教室に現れた奇妙な二人の男。ペンフレンドの墓を訪ねた帰途、機上で事故に遭遇する老婆。まぶたの美しい十五歳の少女とアンバランスな逢引を重ねる風釆のあがらない中年男。彼らはどこから現れて、どこへ消えてゆくのか。目覚めてもなお、体に痺れが残る悪夢の世界へ...。手触り、匂いも感じる傑作短篇小説集。
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「博士の愛した数式」のイメージから、流行ぽい感動系作家?とか思っていたらとんでもなかった。ドライだけど女性的、歯切れのいい文体。びっくり。
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「飛行機で眠るのは難しい」が好きすぎる。学校の現代文の教科書にも載っていた話なのですが、授業中にこっそり何度も読んでいました(笑)
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8つの短編が入った小川洋子さん独特の、穏やかでもあり少し偏屈な人物が紡ぐ物語達。
小川洋子さんの物語は特に飛び抜けた衝撃等はないけれど、何故か穏やかに独特な作者の語り口に誘われて物語に入りこんでしまう。
「まぶた」の中で、たくさん気になる人物が出てきます。
お料理教室の先生、もしかしたら水泳選手になっていたのかもしれない弟、詩人の孫である老婆、双子老人…。
みんな素朴でもありながら独特。
本当に身近にいるように感じます。
でもこの人達に共通する「独特」の正体は…己れの信念に従って日常を生きているだけなのかもしれない。
それだけでこの人物達を魅力的に仕立てあげる小川洋子さんの文章は、良い意味でため息が出てしまいます。
穏やかな気持ちで色んな人物の日常に触れあえる物語です。
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この小説の作品たちはほぼ違う雑誌に初出されたものだが、とても関連性のある作品たちだと思う。なぜなら、人―もっと言えば、まぶたや卵巣をはじめとして、体の一部位―が、丹念に描かれているからだ。
相変わらず、作者・小川洋子のどこかひんやりとした文章の世界観がそこかしこに流れている。
決して急がせるわけでもなく、淡々と進んでいくストーリー。
今回の話は外国を訪れる者たちのものであり、「海」のような、あたたかな話とは少し違うように感じられた。
彼女らしい文章が流れてゆく。
眠りについて考える時、わたしはなぜかいつも死を思い浮かべる。このままずっと起きていたら、いつか身体が弱って死んでしまうかもしれないと心配になるからではない。人はそれぞれ自分だけの眠りの召使を雇っている。それは昼間、どこかの遠い森に潜んでいるが、夜になると森を抜け出し主人を訪ねる。そうして鼓膜の奥の骨をノックする。その合図を聞きながら人は眠りに落ちる。召使は忠実に任務を果たす。雪の日も嵐の日も、休むことなく訪問を繰り返す。しかし、いつしか次第に彼は弱ってゆく。針葉樹に囲まれた小屋の中でぐったりしていることが多くなる。それでも訪問だけは忘れない。這ってでも出かけてゆく。ある午後、召使は誰にもみとられず、ひっそりと息を引き取る。もう眠りは訪れない。それが死だ。