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紙の本
子供の純真さを奪うもの
2023/06/30 07:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争という非常事態からか、時代の閉塞感からか。とにかく善悪の歯止めが効かない名無しの双子に、生き延びるための強い意志力を感じました。
紙の本
剥き出し
2003/02/25 23:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦時下の、おそらくハンガリーの田舎町であろう場所を舞台に繰り広げられる、双子の少年の成長記。ずっしりとパワフルな、しかし軽快でユーモラスな物語。世界20カ国以上で翻訳され、かなりの反響を呼んだそうです。
双子の「ぼくら」(年齢不詳)が、小さな町の<魔女>と呼ばれるおばあちゃんのもとへ疎開し、そこでの体験を秘密のノートブックに書きつけた—(原題は「大きなノートブック」の意らしい)という体裁のこの作品に記録されていることといったら! ひとことでいえば、戦争によって剥き出しにされた人間の生(性)と死ということだと思うのですが、そのあまりのむごたらしさ、哀しさに圧倒されます。
この本に戦争そのものが描かれているのだとしたら、戦争のもたらす極限状態が人間の尊厳をかくもことごとく奪い去るものかと、さらに少年たちの成長物語が描かれているのだとしたら、ひたすらシャープに尖っていくナイフのような主人公の生きざまに、かくなる過剰なクールネスが許容されるものかと、とにもかくにも海よりも深くため息をつきたいところです。
パースペクティヴを違えれば、ハードボイルド小説としても成り立つであろうタフな物語の終盤、おばあちゃんの末期にひととき見せる双子の友愛の情らしきものが、いくぶんか人の血の通った温かさらしきを残します。
それにしても、これら過酷・非情なエピソードの数々が、意外にも後味の悪さを残さずにポジティヴに消化され、一気に読み進められてしまうあたりが、多くに受け入れられる所以でしょう。
「戦死して英雄、生き残って英雄、負傷して英雄。それだから戦争を発明したんでしょうが、あんたたち男は」。戦争とは究極のマチズモなんでしょうか。女性の地位向上がますます促進されるであろうこの世紀、それでも開戦なんてありえねーと思いたいですが。
紙の本
知性の双子性
2002/04/03 23:35
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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
双子三部作(『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』)の第一作。ちょうど十年前に翻訳が出て、ずいぶんと評判になりブームにもなったのがつい最近のことのように思える。文庫化されたのを機に遅ればせながら読んでみたのだけれど、これがまあ比類のない傑作で、いまさら絶賛するのもちょっと気が引けてしまう。
どこがどう面白いのかと問われて絶句し、「まあとにかく読んでみてください」としか言えないのも芸がないので、一言だけ述べておくと、この作品には怪物的な「知性」が躍動している。この知性の担い手は、言うまでもなく双子の「ぼくら」──固有名をもたない場所(小さな町)に住み、体と精神を訓練し、作文や不動の術や断食の練習をし、学習し(「作り話ではなく、事実を書いた本が読みたいんです」)、生き抜いていく、まるで二人の天使みたいに美しい「ぼくら」である。
知性の双子性。この反省のない非ロマン主義的知性の形態を造形し叙述しえたことが、この作品の最大の達成だ。