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みんなのレビュー2件

みんなの評価3.5

評価内訳

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紙の本

読んでいて気持ちがいい。上手。

2002/05/17 17:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る

良かった。島村洋子って小説上手だなーって素直に思った。男や女の独白スタイルで書かれているのだけど、その言葉づかいといいリズムの良さといい、読んでいて気持ちがいい。内容も阿部定を取り上げているのだが、それがスキャンダル的な感じではなくて、ただどうしようもなく恋をしてしまっただけの女性として描かれている。そのさらっとした感じが一冊を貫いていて、すごく良かったと思う。

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紙の本

どうして僕たちは阿部定を忘れないのだろう

2002/06/15 19:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ニ・ニ六事件が起こった1936年、日本中を震撼とさせた猟奇事件が東京で起こった。愛人の局部を切り取って女性が、この本の主人公阿部定である。僕はなにかの本で逮捕された時の新聞写真を見たことがある。この時の彼女は間違いなく微笑を浮かべていた。きっと日本人にとってモナリザの微笑よりもこの時の彼女のそれの方がもっと不可解であったに違いない。
猟奇事件ではあるが、時代はもっと狂った時計じかけのおもちゃのように戦争に突入していく。数えきれない多くの死体が累々とあったのに、人々はたった一人の男の死と彼を殺した女のことを忘れなかったのは何故だろう。逮捕された時に彼女が浮かべていた微笑の意味がわからないように、忘れられないことの意味もいつまでもわからないような気がする。

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