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みんなのレビュー5件

みんなの評価3.8

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5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本

支配する種族

2001/08/24 10:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:seimei - この投稿者のレビュー一覧を見る

 “魔王”と呼ばれる作家がいるとすれば、小林恭二が当てはまるとわたしは思う。そんな“魔王”の新作は猿楽町を舞台にしたサーガである。歴史が生み出すヒエラルキーの闘争を神話的な支配者によるうねりとして描いてみせた。語り手である“わたし”を愛した女神たち、第一話、圧倒的な性の力、生み出す力を持つ女、第二話、霊的な美しさを持ち、それを広める女を出逢いから滅びまで描き、第三話からは、わたしの正体をめぐる回帰と蹂躪に仕立て上げる。それぞれのパートには、SS、ネプチューンメンと支配する種族を提示し、権力闘争が描かれる。そして、生み出される“王”とは。

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紙の本

個人的に言うとね、このカバーは好きじゃあない。勿論、内容がそのまま表れているというのは解りやすいけれど、正直センスとか品格といった部分でね、今一つって言うか

2004/01/08 21:17

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

以前、『カブキの日』を読んだ時、そこに描かれる水上の劇場の絢爛たる佇まいに圧倒された。『首の信長』では、人間の首の倒錯的な描写に驚いた。『荒野論』『邪悪なる小説集』では、筒井康隆のSFを連想した。どれも面白かったけれど、今回の作品は、カバー画からだけで言えば、最悪の部類だろう。初めて椎名林檎のビデオクリップを見たときのことを思い出した。

渋谷区猿楽小学校で学んだ仲間たちが学校を卒業して、かなりの年月が経つ。昔、男たちが苛めていた少女は美しい女性に変貌し、舞い戻って街中を闊歩し、逆に男たちは毎日の仕事や町の雑事に追われる。そんな彼らが再会した時、街に何かが起きる。ホラーともSFともつかない分類不能小説。四つの中篇「君枝」「友子」「千葉」「わたし」からなる連作だけれど、最初の二篇だけからは、仕掛けと言うかつながりが見えてこない。

林祐二が語る小学校時代の思い出。醜い少女や悪童たちと過ごす日々、そして別離。数年後、町に舞い戻った人々は蛹から蝶へと変身を遂げ、スーパー・スリムと呼ばれる不思議な美女の一群となって男たちを睥睨する。彼らが美しくあるための秘儀。渋谷に蝟集するホームレスと住民との対立。そして不可解な死。住民を操る友人。埋もれたタイムカプセル。この異様な展開の面白さは、読まなければわからない。

格調の高さと美しさという点では『カブキの日』に軍配をあげるけれど、内容では少しも引けをとらない。出版社の広告誌に連載されたようだけれど、リアルタイムで読んでいたら、さぞ楽しかったろうなあと思う。カバー画の下品さに惑わされること無く、手にすることを薦める。絶対に損はしない。椎名林檎とおなじ、一度味わったら、この毒は癖になる。

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紙の本

未だ書かれざる少年小説のためのプロローグ

2001/07/06 21:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 冒頭、君枝という醜い少女が登場する。舞台は渋谷と代官山の間にあるファッショナブルな街、猿楽町。主人公は君枝と幼なじみの少年である。君枝は成長するにつれ美しいが淫蕩な女になり、のべつまくなしに男と性交しまくる。主人公の「わたし」も君枝と関係を持つ。このあたりまでは、特に面白くはない。しかし、君枝が毎年毎年子供を生み、それがたいていはふたごがみつご、時には六つ子……というあたりから、話は俄然幻想の色を帯びてくる。

 だいたい人間は猫じゃないんだから、そんなにぼこぼこ子供は生まない。生んだとしても母となった女が元の美しさを維持するのは至難の業で、たいていはどんどん老いてくたびれてゆく。しかし君枝は、自分の子供が10代になってのべつまくなし相手構わず性交をはじめるようになっても、依然として美しく、愚かだ。君枝とその子供たちは、放縦を糾弾する住民と対立し、孤立する。そして君枝は「自分の分身」だという赤ん坊を生んで死ぬ。誤解を恐れながら断定すれば、君枝は、最後まで「少女」であることをやめずに、死ぬ。

 次の章で登場するのは、友子という魅力的な少女である。「わたし」の幼なじみであり、とうに別れた最初の恋人だった健やかな少女。しかし、成人して再会した友子は、かつての健康な女性らしい魅力を失っていた。痩せた身体、結核を思わせる色白な肌、倦怠を匂わせる没落貴族のような色素のうすい瞳……友子が獲得したのは、儚げで不健康な究極の美しさだったのである。そのために払った代償は大きく、友子は死ぬ。

 しかしそれがなんだろう? 人間ではないものの美しさを獲得しようとしたのだから、人間でなくなるのは当たり前だ。私は、友子の選択に深く共感する。男が賛嘆するような健全な肉体美など、「少女」の欲する美ではない。小林恭二は「少女」のことがよくわかってるひとだ。若干の不満を感じるとしたら、友子の選択が「わたし」の影響によってなされたものだという説明の部分である。できれば、友子自身の願いによる選択だった、ということにしてほしい。「少女」は、ただ単純に美しくなりたいからなろうとするのであって、男のために美しくなろうとするのではないから。

 しかし、この物語は「少女」に関する物語ではない。「少年」に関する物語なのである。「少年」に関する物語を書くために、作者はまず「少女」を描写した。なぜなら「少年」のステロタイプなイメージは、作者が描こうとする「少年」とは違うものだからだ。作者が描こうとする「少年性」の基調をなすものは、権力志向ではなく、セックスへの関心ではなく、プラモデルやメンコやロケットや野球に対する興味でもない。作者が描こうとする「少年」は、おそらく「世界に対して違和感を抱くもの」なのである。

 物語後半の二章で「少年」が描かれる。「わたし」を含む「少年」たちは世界を破壊し混乱させてゆく。しかしそれは予兆として描かれるだけで、本当の破壊と混乱は、お洒落で小さな街・猿楽町を一歩も出てゆかない。まだ読んでいないひとのことを考えて、あらすじの詳細は書かないが。

 この物語の終わりはまるでプロローグだ。いや、この本一冊が大きなプロローグだ。私はこの先を読みたいとおもう。しかし作者はこの続きを直接には書かないだろう。書くとは思えない。なぜならこの本は、やがて書かれるであろう「少年小説」、かつて少年が持っていて今は少女が持っているある種の意識を描いた小説、そのような小説群のためのプロローグなのだから。

  詩と書評のサイト<百鬼の扉>

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紙の本

ジャケ買いだったけど、前半2編は結構当たりだったような気がする

2001/10/03 08:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 まず最初に言い訳。何でこの本を手に取ったかといえば、正直ジャケ買いです。左上に表紙の写真が出ているけど、何となくこの表紙に惹かれた。パッと見、桜井亜美の新潮文庫の表紙みたいで一瞬ひくかも知れないけれども、手に取って読んでみて貰えれば、結構「当たり」だと思って貰えるのではないだろうか。ちなみに、桜井亜美は読んだことがないので、中身のテイストまで似ているのかどうかは良く分かりません、悪しからず。

 この短編集は、大きくは前半2編と後半2編に分けられるのだが、その前・後半の間に強い連関があるようには感じられなかった。確かに、後2編で前2編の「君枝」や「友子」に言及する部分も無くはないが、どうと言うこともないだろうと思う。少なくとも、前2編のストーリーにほとんど影響はない。要は、前半の2編は独立した短編として、後2編は一つの「自分探し」の物語として別々に解するのが適当なようだ。
 正直、この4編の作品を一つの書に纏めていることには、「とって付けた感」を否めない。さらに言えば、前2編の「君枝」と「友子」の圧倒的な迫力に比較すると、後半部分の「千原」や「細谷」は、人物造形がパットしない気がする。
 ちょっと厳しいかも知れないが、一読者とすれば、前半の2つの短編で止めて置くというのも一つの手ではなかろうかとも思う。それでも、この前半の「君枝」と「友子」は、十分に読み応えのある作品で、あっという間に読み終わってしまうはずだ。
 しかし、タイトルに出てくる「モンスターフルーツ」って、何なんだろう?

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2008/08/16 11:29

投稿元:ブクログ

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