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ZERO 上 みんなのレビュー

  • 麻生 幾 (著)
  • 税込価格:1,98018pt
  • 出版社:幻冬舎
  • 発行年月:2001.8
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

これはすごい!超えたね、フレデリック・フォーサイスを…。中国政府内のクーデターに絡んで、知られざる日本の諜報機関<公安警察>の姿を描く硬質な小説。<国家>を読者に問う。

2001/11/02 11:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「何もここまで精緻に調べ上げてシミュレーションを行わなくても、読者は気持ちよくだまされるんじゃない?」と言いたくなる丹念な取材と、それを生かし切った破格のプロットである。正直、すごすぎるものだから、圧倒されるばかりの私にはまだ、この本がもたらしてくれる楽しみの70パーセントも味わえていないのではないかと思っている。もっと勉強してから再読すると、楽しみ方のステージがぐーんと上がるような気がする。
 警視庁で東京都公安委員会と警視総監をトップにいただきながら、中国関係の外事調査に当たっている峰岸警部補が主人公。彼は、作業玉と言われる中国人の情報提供者で、かなりレベルが高いものを運営している。ひとりは<杏>という在日中国大使館員であり、いまひとりは<麒麟>と呼ばれる中国政府の要人で伝説のスパイ。こちらの方に関しては、元警察庁長官から直接引き継いだ玉で、峰岸は直接面識がない。元警察庁長官が若き日、お互いの祖国の益に反する事態が生じそうになったとき連絡を取ろうと誓い合ったスリーパーが麒麟。そして、この小説は、麒麟が目覚め、1通の手紙があちこち転送されて鹿取の元へ着くというプロローグからスタートする。
 一方、国家公安委員会と警察庁長官をトップにいただく極秘組織ZEROは、外事情報を自分たちサイドで一本化したいというもくろみから、事実上峰岸のカウンターパワーとなってしまっている。情報の統合化に当たり、峰岸が作業玉の情報提供をしなかったことが、彼らのプライドを傷つけてしまったのだ。
 峰岸は杏から人民解放軍の幹部候補である朱瑞環が近々来日の上、大掛かりな対日諜報活動を行うという情報を得る。その陰にはロンドン在住の日本人女性の協力者がおり、日本の政財界への工作が仕組まれる予定だという。峰岸にはロンドンでの諜報歴もある。実は当時、業務を手伝ってもらっていた女性がいた。不倫の関係を結んでいた彼女が、朱瑞環の協力者ではないか——峰岸が疑わざるを得ないランデブー現場が押さえられる。
 上巻では、朱瑞環によるクーデター陰謀が徐々に明らかになり、そのなかで峰岸の部下や家族を含む多くの日本人犠牲者が出る。痛手を負った峰岸は、皮肉にもZERO経由で国家の命を受け、大きな任務を果たす旅に出ることになる。日中に加え、英国を含めたエスピオナージの攻防に息を呑む緊迫が続く。
 下巻は舞台が中国本土に移り、追跡劇と潜水艦による実戦というがらり異なる内容となる。敬愛する猪瀬直樹氏が、警察小説のイメージが塗り替えられたと絶賛のコメントを帯に寄せているが、下巻を読みかけていて私が感じたのは、各国民のなかで崩壊していく<国家>という像の姿が描かれているということである。
 政治家にとって、自衛官にとって、民間の海外駐在員にとって、警察官にとって、主婦にとって、暴力団にとって…国家とは何であるか、守るべき国益とは何なのか? そんなテーマが熱く響いてくる快著であった。このテーマが読み取れたとき、フォーサイスやル・カレの小説と肩を並べている、いや、超えているか…という気にさせられたのである。
 

 

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紙の本

緻密な構成とおそろしいまでの緊迫感。もはや虚構とは言えない。

2001/09/22 15:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:子竜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本作品は、話題を呼んだ「宣戦布告」と同様に、作者の現実社会に対する強力な問題意識が下地となっており、実に膨大な時間と労力を費やして書かれた、読みごたえある力作長編である。
 そして、人間が「何か」を守り、幾多の苦悩・苦痛と全身全霊で戦いながら生きてゆく姿が、緊張感漲る旋律をもって(それもこれだけの長編でありながら、全く中だるみせずに)終始読者に迫りつづける。
 想像しがたいミッションの発動。国家とは何か、どうあるべきか。本作品は、国家・国民をめぐる、本質的な現実問題を容赦なく浮かび上がらせ、真正面から読者一人一人に問いかけている。

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紙の本

公安警察内部と中国との闘い

2001/09/02 20:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の複雑な公安警察の組織。国家と警視庁。各都道府県警察の関係。非常に入り組んだ特殊な関係と言える。その中で国家のために闘う男たち。

 そして、中国は何を考えているのか。『私は革命を起こす』とはっきり意識している男。複雑な国家と国家の裏の闘い。

 ZEROは、日本の公安警察のスパイ獲得のための専門組織として描かれる。こんな組織が現実にあるのか。しかし、この本の主人公は、このZEROではなく、むしろZEROと対立する組織、警視庁外事担当の警部補。そして家族が皆襲われ、意識不明になったとき、決意する。家族とはいい関係になかった男でも、男なら、こういう決意をするのが当たり前なのだ。

 今一つ何が起きているのか分からない面もあるのだが、次々起きる事件。スピード感と国家を思う重い気持ちが読ませる。

 突然『私』が使われて、分からなくなるのだが、これはどうやら単に視点を勝手に切り換えているものだけらしい。

蛇足;P72/デスクトップ型→ノート型、P205/いないはずでる→いないはずである、P256/オレンジカード→イオカード

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紙の本

「一人の国民を救えないで何が国だ」至言である。軽佻浮薄な自己責任論を吐く前に、国家の義務を考えろである、それすら分からぬマスコミか!

2004/06/03 19:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《中国から送付された小包は、何十回にも及ぶ転送を経て日本にもたらされた。警視庁外事二課の峰岸智之が掴んだ中国国内の不審な動き。45年の間眠っていたものが目覚める》

冒険小説は、シンプル・イズ・ベストだけれど、政治小説や国際謀略小説となると複雑怪奇なのが当たり前。むしろ、余りの複雑さに、話の筋も追えないというのが実際かもしれない。議員や官僚の日常や言動を見ていると、自分の事しか考えていないことを明らかにすまいと無駄な努力をし、それが現実を複雑化させている。彼らが一族郎党ぐるになり、裏の裏、奥の奥、先の先まで考えて手を打っているせいで年金だって、藪の中だ。

でだ、国際謀略小説などと書くと、アジアが揺れている時期だけに、際物扱いされてしまいそうだけれど、この本、単なる情報小説ではない。巻頭に中国と日本の公安と軍関係の組織図が出てくるけれど、まずそのボリュームに圧倒される。広瀬隆の本に出てくる相関図を見た時に抱く感に近い。それがそのまま小説になった印象で、話はまさに複雑怪奇、縺れた蜘蛛の糸。

ZEROは日本の公安の頂点に立つ極秘の組織。そこに君臨する北川にとって、元警察庁長官の鹿取の庇護を受ける警視庁外事二課の峰岸智之は気に触る存在である。その目の上の瘤であった鹿取が病に倒れる。それを待っていたかのように、峰岸は捜査の行き過ぎが咎められ、任務を外される。彼が育てた中国人の密告者を巡り、峰岸とZEROの対立は深まる。そんな時、峰岸の家族三人を不幸が襲う。相次ぐ部下の事故で組織が分断された時、彼に政府から密命が。

中国国内の権力闘争、日本での利権、派閥抗争。その前に翻弄される一人の男の運命。前半は大量の情報をもてあました感じがするし、肝心の峰岸の人物設定が甘く、正直、正視に堪えないという思いだ。しかし、後半、「一人の国民を救えないで何が国だ」と命を賭して鹿取が立ち上がるあたりからの展開は、途中で本を置くのが惜しくなるほどに緊張感に溢れる。

何が自己責任か、と思うではないか。自国民が危機に陥っている、それを救ってこそ国家だろう。脱線するけれど、イラクの誘拐事件で被害者の自己責任論が問われたいた時、TVで米原万里だったと思うけれど、国民は様々な義務を負っている。それを果たしている以上、その国民が危機に陥れば、それを救うのは国家の果たさなければいけない義務である。自己責任、など問いかけることこそ笑止と言い切った。その通りである。その正論が、「一人の国民を救えないで何が国だ」にも通ずる。

ブックデザインが秀逸で、赤と緑のカバーが実に美しい。装幀は米谷テツヤ、ロゴのデザインは今ひとつだが、シンプルな構成、色彩感覚と紙質は文句ない。書店に並んでいる姿をみるだけで思わず手にしたくなる。これで、峰岸の人物造型に甘さが無く、前半が締まっていたら間違いなく傑作になっただろう。本の世界も、ちょっとしたことが明暗を分ける。

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2004/11/27 18:38

投稿元:ブクログ

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2008/03/18 01:50

投稿元:ブクログ

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2015/01/15 16:05

投稿元:ブクログ

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