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暑い時は極寒の話。
南極横断に挑むが途中船が氷に閉ざされて沈没。1年半の漂流からの生還まで。
素晴らしいのは全員が生還したこと。どんな苦境にいても希望を失わずにいることの大切さ。めちゃくちゃな状況なのに、読んでてそんなに悲壮な感じがしない。これはこの船員たちの根本にあったことのような気がする。
いやー、でもすごい。
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困難に立ち向かわねばならない、と自分を奮い立たせる時、かくも沈着に生命の危機に立ち向かった人々が実際にいたことを思い起こしたい。
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再読。
「夜は短し…」とは逆に、読み進めていくと「まだこんなにページが残っているのか!!」とどんどん苦しくなっていく。序章の段階で全員助かるのが分かっていながら、ホントに大丈夫か、どんどん苦しくなっていく。
逆境での強さ、あきらめなさ、そして楽観。人間て強いなぁとつくづく思う。
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初めて読んだ時よりも感動が大きい。一人の犠牲者も出すことなく生還した隊員そしてリーダーのシャクルトンはやはりスゴい!それに、隊員たちの体力・精神力も並外れてる。
リーダーシップを学ぶ上でのビジネス書として評価が高い事にも納得。
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スゴ本オフ「のりもの」の回でいただいた一冊。自粛期間終わり頃に読み始めたのですが、これは自粛期間にこそ読むべきでした。
1914年12月、シャクルトン率いる28名の乗組員は南極大陸横断の探検に出発。1915年1月、船が流氷帯に閉じ込められ、ここで南極の冬を越す。11月、氷の圧迫により、エンデュアランス号沈没。氷盤の上にキャンプを設営し、氷が割れて海への道ができるのを待つ。4月、氷が割れ、3艘のボートで脱出、エレファント島に上陸。6名が救助を求めてサウスジョージア島へ出発、無事に上陸を果たすが、その後の救助活動が難航し、残る22名は救出される8月30日まで4ヵ月を無人島で過ごす。
28名全員が生還したのでこうして本にもなっているわけですが、その漂流は本当に困難の連続。荒れ狂う大海を手漕ぎのボートで陸地をめざすのもほとんど無謀ですが、氷と海しか見えない世界で何ヶ月もただ待つという日々。南極だから気温は当然氷点下。乾いた場所はなく、寝袋も服も濡れたまま。アザラシやペンギンが見つからなければ飢える恐怖もつきまとう。
船の名前がエンデュアランス(「不屈の精神」と訳されてますが「忍耐」の意)なのは皮肉としか思えない。
シャクルトンのリーダーシップとともに語られることが多いようですが、私はむしろ長い日々に耐え続けた乗組員たちの忍耐力にこそ賞賛を送りたい。
星野道夫がアラスカで愛読しており、友人を通して日本語訳が1998年に出版、というのもこの本のエピソードにふさわしい。
以下、引用。
「科学的な指導力ならスコット、素早く能率的に旅することにかけてはアムンゼンが抜きん出ている。だがもしあなたが絶望的な状況にあって、なんら解決策が見いだせないときには、ひざまずいてシャクルトンに祈るがいい」
続けて航海士や科学者たちの居室を、甲板室にある部屋から、比較的暖かい主甲板下の倉庫に移す作業が始まった。引っ越しは三月の初旬に行なわれ、彼らはこの居室を、ロンドンの高級ホテルにちなんで〝リッツ〟と名付けた。
毎週土曜の夜には、ベッドに入る前にグロッグがふるまわれ、皆で乾杯をした。「我らが恋人たち、妻たちに」と杯をあげてコーラスした後、必ず全員で「決して互いに会うことのないように」とつけ加えた。
月に一度、〝リッツ〟に全員が集まり、写真家のフランク・ハーレーによる〈映写とおしゃべりの会〉が催された。オーストラリアやニュージーランド、それにモーソンの探検の写真などをスライド上映し、ハーレーが解説をつけた。皆のお気に入りは、〈ジャワの盗撮〉というタイトルのついた、揺れる椰子の木と原住民の若い娘が映った写真だった。
〈ハーレーとボスは毎日、六ゲームマッチのポーカー・ペイシャンスを、実に信心深く繰り返している。まるで義務だとでも思っているようだが、あれで確実に一時間はつぶせる。最悪なのは、時間をつぶさなくてはならないということだ。とんでもない無駄に思えるが、他にすることは何もない〉。
〈恐ろしく退屈な毎日にもかかわらず、時間は飛ぶように過ぎていく。〉
陸上では、困難を耐え抜くという勇気と信念さえあれば、多くの困難を切り抜けることができる。だが、海との闘いは、肉体的な格闘であり、逃げ道はどこにもない。それは疲れを知らない敵との闘いであり、人間は決してこれに勝利することはない。人間に望めるのは、ただ、打ち負かされないことだけだ。
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。耐えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る。」
(シャクルトンが出した求人広告と言われていますが、原本が見つかっていないのであとからの創作の可能性も。)
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シャクルトン本人の書いた『エンデュアランス号漂流記』の後に読んだ。
「あの出来事を、そしてそれを生き抜いた男たちの姿を、できる限り正確に再現したいと考え、私は手を尽くした」というだけあり、ランシング著の本書の方が、出来事がより詳細に書かれ、隊員たちの個性や人間関係にもスポットが当たっている。読みやすく面白いので、他人にすすめるなら断然本書である。
シャクルトン版ではあまり言及がなかったので気が付かなかったが、ランシング版では料理人のグリーンがいかなるときも皆の食事を用意しているのが分かる。自分もオールを握り、橇を引き、凍傷もあっただろうに、浮氷や島につくといつも真っ先火を点け、ミルク等を用意している。非常に地味だが、極限の状況にあって、このようなことを淡々とこなせる人はなかなかいないのではないだろうか。本書は隊員へのインタビューや彼らの日記等をもとに書かれているので、ほかの隊員の記憶にグリーンの働く姿が印象深く残っているということなのだろう。
また、皆が一致団結し、常に前向きだったわけではなく、トラブルメーカーもいれば、嫌われ者や不平屋もいたということが遠慮なく描かれている。探検隊に選ばれるくらい心身ともに頑健で勇敢な人々だから困難を乗り越えられたわけではなかった。探検隊に選ばれた長所も短所もあるふつうの人間たちが、追い込まれ、あらゆる工夫をし、それぞれに克己心を奮い立たせ、自然の猛威を前に何とか連帯し、闘志を捨てず屈服しまいと踏ん張った果てに生還したのだ。
「艱難汝を玉にす」というのはもとは英語圏のことわざだというのを最近知った。まさにエンデュアランス(不屈の精神)だと思った。
【追記】これが面白いと思った方は以下もとてもおすすめ!!
ジュリアン・サンクトン『人類初の南極越冬船 ──ベルジカ号の記録』
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漂流記モノでは古典の部類になるが、サバイバルの視点と主人公シャクルトンのリーダーシップの視点という二つの観点から単なる漂流記モノではくくれない読み応えがある。 全編を通して流れる“諦めない精神力”は現代に生きる私たちにも通じるものがあると思う。 椎名誠氏が推薦していてずっと気になっていたが、ようやく読み終えることができた。 また、文庫版あとがきでこの作品が翻訳された経緯に、故・星野道夫氏の存在があったことに改めて驚きました。
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奇跡の生還をしたと明かされているものの、いくつもの困難が襲い来る中でどうなっていくのかとドキドキ。ラストの4行がとても好きで、これで彼らの旅は終わったんだなと胸が熱くなった。
注意点としては、人は無事だけど犬は死にます。容赦なく。
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2023年、最初の読書。
『わたしのなつかしい一冊』で、池澤夏樹さんが愛読書に掲げていらしたうちの一冊。『オオカミに冬なし』と共に、『冬セット』と名付けて読み始めた。
ところで、今日は2023年の1月13日である。お正月も連休も、へちまもない。正月から現時点まで、私以外の家族二人が急病で、ものを読む状況ではなかった。一人は眼疾。年末では受診したが、本来の病名が明らかにならず、正月から体調にも響いて、暮らしにくそうな上、すこぶる機嫌が悪かった。帰阪する予定もチャラで、それはそれで困ったのであろう。
そうこうしていたら、もうひとりが原因不明の腹痛で、連休の最終日から今日まで、軽快しつつあるとはいえ、まだ回復していない。普通の痛みでもなさそうで、受診しても近隣のお医者様では、検査しきれぬと言う。コロナではなさそうと判断されても、新たにPCRを受けねばならず、結果待ちで受診できる大きい所を探し、片っ端から電話電話電話。やっと日が変わって大学病院にかかっても、もう一度精密検査が週末に必要と言われた。つまりは、一昨日まで戦場のような気分。ネットに出ていく気にも、他人様と話す気にもならない。ちょっと私自身の気を変えてやる必要があったのだ。
眠れないし、どうにも落ち着かなかった。そういう中で、一昨日の夜から、深夜、息を詰めるようにしてこれを読み始めた。ほぼ3日で読み切った。手が止まらなかった。
枕が長くて恐縮だったが、この本については、その空気は、似つかわしかったのではないか。
初っ端、少し読み進めたら、南極探査船『エンデュアランス号』は遭難の憂き目にあってしまう。1900年代初頭のことである。無線がまだ珍しかったというのだもの。優美な帆船で探査に乗り出そうという時期。氷に阻まれ、船はじわじわと壊れ、大破。その後、隊員たちは流氷伝いに航海と徒歩で救助を要請にゆくという。
犬ぞりも手放さなくてはならない、備蓄物資も限界がある。船の破損した木材から、新たに船を作り、かき集めた物資で命を繋ぐ。浮いている氷の上!でキャンプをし、その中で近い陸地に船出出来るのを待つというのだ。そう、この本では『待たざるを得ない』『行動したいのに出来ない』忍耐の時間が、多く描かれている。言うのは簡単だが、生還のその時まで、極限状態の大人が想像もつかないような極限の生活をして、誰も死ななかったのだ。まして、大きな仲間割れも起こしていない。これはすごいことである。
なんとかして人間らしく暮らそう。なんとかして絶望しないでいよう。そう考えたら、人は、料理をし、人と話し、何かを楽しむ折を持たなくてはならない。それすらもやがては、奪われそうになるのだけれど、この航海の仲間は、何より休息したい時でも、死にたいとは言わない。そこが、本当にすごいのだ。他のレビュアー様もお書きになっているが、まるで自分も隊員になったように、この冒険行から、目が離せなくなってしまった。そこらの娯楽の、軟派な面白さなんか、しっぽを巻いて逃げてしまう。
本書はノンフィクションであるので、事実を淡々と積み重ね、清廉な筆致で隊員たちの状況と心理を、細やかに描き出している。過度な感情描写はないのだが、それがかえって、胸に迫って、読む手を休めさせない。山本光伸さんのお仕事の中でも、長く残る名訳であろう。
『カッコーの巣の上で』で、終幕近く、主人公が「ちくしょう。それでも俺はやってみた!やってみたんだ!」と叫ぶ。エンデュアランス号の男たちもまた、「やってみた」人たちだ。小さな頃、白瀬中尉の南極探検記も、様々な遺跡発掘の物語も、私は大好きで、知恵と勇気で生き抜いたり、成功を目指す冒険譚が大好きだった。長じて、冒険小説にハマったのも、同じ血のなせる技だったろう。それでも最近は、この手のノンフィクションから、ちょっと遠ざかっていた。「やってみた」人々の記録が、自分の胸に響くのかどうか、自信がなかったからだ。
あいかわらず私自身は「やれない」ダメな奴かもしれない。だけど、「この人々はどうなるのか?」という興味から、読み進める内に「なんとかして助かって欲しい」と、祈るような思いで読んでいた。その心の動きは、まだ私が、社会に生きる者であることを教えてくれている。他者に思いを致さなくなった時、私は本当に人間でなくなってしまうだろうから。
コロナの猛威はあいも変わらず衰えない。気軽なお出かけでもと、どこかのんびりした正月気分を望んでいたら、それどころではなかった。生きるのに疲れて、新しい何かが真剣に欲しかった。今も状況は良くない。多分わりと手詰まりだ。それでも。周りやSNSに毒を吐くより、この本を読む方を選べるって、悪くない選択だと思うのだ。
どうか騙されたと思って、この本を読んでみて欲しい。そして、読み終わったら自分と、そばにいる誰かのために、温かい飲み物を淹れてみて欲しい。あなたの人生も、私の人生も、まだ。きっとまだ。
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「アルフレッド・ランシング」がエンデュアランス号に乗って南極大陸横断を目指した「シャクルトン」と探検隊員たちの遭難と生還の1年半にも及ぶ物語を描いたノンフィクション作品『エンデュアランス号漂流(原題:ENDURANCE - Shackleton's Incredible Voyage)』を読みました。
「椎名誠」のエッセイ集『ワニのあくびだなめんなよ』に収録されている『幻のイッカク鯨が来た!』という北極圏へ旅した際のエッセイで、イッカク鯨を探すボートが氷塊と氷塊の間を進むシーンがあるのですが、、、
その際「椎名誠」が「エンデュアランス号」のことを例に出していて、本書を買っていたことを思い出したんですよね。
-----story-------------
1914年12月、英国人探検家「シャクルトン」は、「アムンゼン」らによる南極点到達に続いて、南極大陸横断に挑戦した。
しかし、船は途中で沈没。
彼らは氷の海に取り残されてしまう。
寒さ、食料不足、疲労そして病気…絶え間なく押し寄せる、さまざまな危機。
救援も期待できない状況で、史上最悪の漂流は17ヶ月に及んだ。
そして遂に、乗組員28名は奇跡的な生還を果たす―。
その旅の全貌。
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フィクション、ノンフィクションを問わず、漂流モノは何作品か読んでいますが、、、
ここ数年で読んだ『無人島に生きる十六人』や『十五少年漂流記』、『ロビンソン漂流記』等は、比較的温暖な地域を舞台にした作品が多くて、極寒地域での漂流は初めて… より一層、自然の厳しさを感じましたね。
流氷が浮かぶ冷え切った海域で、全身ずぶ濡れとなり、放っておけば衣類が凍りついてしまうような状況… 寝袋は常に濡れていて、衣類を乾かすこともできず、常に凍傷や食料不足の恐怖に怯える、、、
寒さがムッチャ苦手なので… 自分なら、とても耐えることができなかっただろうなぁ。
そんな極限状態の中で、次から次へと困難が襲いかかる… 「エンデュアランス号」の乗組員たちは救助を待つのではなく、助かるために自ら氷塊の中をボートで漕ぎ出し、橇をひき、冬山を歩いて越えて行きます、、、
南極と北極の違いはありますが… 氷上での過酷な体験は「植村直己」作品の『北極圏一万二千キロ』や『北極点グリーンランド単独行』を思い出しました。
タイトルにつけられた≪漂流≫という言葉からは受動的な印象を受けますが、実際は自発的な≪冒険≫ですよねぇ、、、
ノンフィクションとは思えないほどの冒険… そんな過酷な冒険を強靭な意思や精神力、体力で乗り越え、運に助けられ、全員が無事に帰還した感動的な物語でした。
エレファント島で待っていた22名の男たちを「シャクルトン」が迎えにきたシーンには感動しましたね。
本書を読んだときは毎日がうだるような猛烈な暑さ… 極寒地域での極限状態の生活を想像するには、逞しい想像力が必要でしたが、、、
生きている隊員全員へのインタビューや日記の閲覧(過酷な生活の中で日記をつけていたこと自体が驚きですが… )等の丹念に取材された���容が臨場感たっぷりにドキュメント化されていて、読んでいるうちに現場に身を置いているような気分になりました。
読み終えたあと、何気なく読んでいた本書の冒頭の言葉、、、
「人間に不可能なことを成し遂げさせる何ものかに感謝を捧げて」
が胸にぐっときましたね。
そして、困難な状況でもポジティブな考え方を持ち続けることの大切さを感じさせられた作品でした。
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「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネスト・シャクルトン」
心が奮い立たされるこの広告に出会い調べたところ、この募集でシャクルストンの元に集まったメンバーは、1年8か月の間、難局を漂流した後、全員無事に生還したという。
どんな漂流だったのか、このシャクルストンはどんな人物だったのか、それを知るために本書を手に取った。
漂流記はいくつかあるが、このエンデュアランス号で印象に残ったのは、メンバーの綿密な日記や写真が残っている事、極寒や流氷との闘い、そしてシャクルストンのリーダーシップ。
装備は意外と近代的。蒸気機関、薬、銃、缶詰などが登場するが、この究極の環境の中では、微々たる力。
刻々と変わる状況の中で、素早く判断し、個性のあるメンバーを導き、全員を生還させることができた、シャクルストンの責任感や行動力には、学ぶことが多かった。
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全員が生還するには信じがたい環境と期間。
これが実話であるということに驚嘆しかない。
1914年12月5日。南極大陸横断の挑戦のため隊長シャクルトン率いる28名の男たちはエンデュアランス号で航海にでる。
ちょうどオーストリア皇太子が殺害され、第一次世界大戦がはじまる時である。
しかし出航から1か月半ほどたった1月18日。南極域の流氷帯で氷に閉じ込められ、高校不能に。それから10月まで彼らは船の中で過ごすことになる。積んできた食料もあったが、ペンギンやアザラシを狩り、脂肪を得ることで燃料にもし耐えるが、百夜の冬を超え、ようやく氷が解ける季節を迎えると希望をもった10月、動き出した氷の圧迫によりエンデュアランス号はついに壊れる。
彼らは船を捨て、犬ぞりや人力でボート3隻や食料など必要なものをもち、移動を開始する。キャンプにしていた氷床の縮小などさまざなな困難のあと、4月にボートに乗り込み、陸地をめざす。そして4月に無人島に到着。
その後、シャクルトン含めた少人数が助けを求めに友人等をボートで目指す。彼らは数週間かけて捕鯨基地のある有人島の浜にたどり着き、島の反対側の港まで決死の登山。そしてついに到着。
その後、何度か仲間の待つ無人島への航海に挑戦し、失敗したのち、ついに8月にようやくたどり着き、出航から17か月。全員帰還を果たす。
寒さと飢えの恐怖は想像するに余りあるが、本書の中ではそのような描写はほとんどない。どんなリーダーシップがとれたら、この冒険で全員帰還できるのか、もっと知りたいと思った。
まさに事実は小説より奇なり
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面白い本は徹夜してまで読んでしまうものだが、この本はその類いのもの。これが作り話であるなら説得力を持たない陳腐な小説で終わっていただろうが、実際に経験してきたものを描き出しているので現実的で臨場感あふれる。特にメンバーの精神状態などを見ると、極限状態の人間がリアルに描かれている。
南極横断に出かけた男たちの船は途中で沈没し、そしてその後には幾度の試練が待ち受けており、最後にはそれをすべて乗り越えて全員が生存する、という結論を知っていたとしても、この本の面白さは何も失われない。読めば必ず徹夜してしまいます。「そうか、ヒトは南極でおよそ2年もの間、野宿で生活できるのか」。
日本語訳もとても自然であり、著者だけでなく訳者も評価したい。