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みんなのレビュー17件

みんなの評価4.2

評価内訳

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17 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

情感と余情がある珠玉のようなSF短編集

2003/07/13 18:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 今まで読んできたSFとは雰囲気が違う。情感と余情がある。ゼナ・ヘンダースンの「果てしなき旅路」と共通の感じがあるが、もっと叙情性豊かで、人間の心理が繊細に書き込まれている。珠玉のような短編の集積である。大きな事件があるわけではないが、中勘助の「銀の匙」のような味わいがある。
 SFとは何か。あらためて考えさせられる。SFとは文字どおり、サイエンス+フィクションであり、空想科学小説である。現時点の科学知識を外挿延長し、ある仮想のもとに人間や社会を描き出すものであろう。非常に幅広い分野を網羅する、文学に発展してきている。サイエンス(科学)を主体とするか、フィクション(小説)を主体とするかで、雰囲気は違うのではないだろうか。
 著者にとってSFとは何なのであろうか。人間やその心理を描くために採用した、一種の場なのではないか。物性物理においても、超高温、超低温、超高圧、超磁場、といった極限環境においては、通常は見られない物質の特性が、顕著に現われてくる。それと同じように、SFならば極限状態を仮想設定し、物語を展開することができる。そういった極限環境においては、人間性や人間心理の本質が、あらわに表現されうるのであろう。そのために、著者はSFという表現の場を、選んだようである。
 ヒューゴー・ガーンズバックなら、SFとしては高く評価はしないであろう。しかし、このようなSFも好ましい。「永遠の森 博物館惑星」という短編集があるとのこと。そちらも読んでみたい。

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紙の本

SF魂、参る!

2002/03/28 21:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:KASHIBA - この投稿者のレビュー一覧を見る

 書き下ろし作1編を含む最新SF短篇集。実に「SF、SF」したスガヒロエ・ワールドが満喫できる1冊。ダークサイドの「夜陰譚」とセットで読めば、これで貴方もスガヒロエ通。以下、ミニコメ。

 「五人姉妹」表題作。とある製薬会社が人体実験を美談に演出する陰で、一人の娘と彼女の胎(はら)違いのクローン姉妹4人とが出会い、語らい、悟り、別れる。神に挑む壮大な実験を家族のドラマに封じ込めた逸品。父への愛という胎盤が繋ぐ魂の煉獄に涙する。
 「ホールド・ミー・タイト」書き下ろし作品。VRテーマのキャリア・ウーマン純愛物語。一瞬、女性誌にでも書かれた作品かと見紛う「ロンバケ」もの。一途で今更恋愛に本気になれないと思っているマドモワゼル・トランタン、おせっかいなバーテン、そして、ちょっとボンヤリとしたデュラックの海のように広い年下の後輩。これぞ、勝利の方程式。
 「KAIGOの夜」<大患>後の脱管理世界の断章。<介護されるロボット>という発想の妙で引き付け、最後に払い腰をかけるアイデア・ストーリー。クライマックスの独白の詠唱は、ひたすら怖い。
 「お代は見てのお帰り」「偉大なる父」をもってしまった息子は、自分の息子に何を伝えるのか? 博物館惑星が、計算された笑いと狂騒と驚愕のアンサンブルで満たされる時、選択は迫られる。芸人科学者という設定の勝利。一種のリドル・ストーリーではあるが、答は出ている。だから、胸キュンが募る。どこまでもイタリア映画の猥雑さを纏った異色作。
 「夜を駆けるドギー」人類にとって最古で最良の友が科学の力で再現される時、一人の悪意は都市伝説となってささやかな<愛情>を蹂躪していく。覆面の下から誇りをかけて無音の闘いに挑むサイバー・エリート。静謐な電網を熱い魂は駆け、個とシステムの卑しき企みは、友情の前に崩れ去る。スガヒロエ、ネットおたくに挑戦! 巧い、巧すぎる。プラモデル、コミケとおたく道の極北を作中で極めてきた作者が<2ちゃんねる>の世界を活写しつつ、友情と友愛の物語をものにした。
 「秋祭り」進化した農法、進化した作物、そして進化しない人間。記号化された歓喜と喧騒の中を、一番大切なものを求め女は走る。「いのり」は「みのり」。里の秋。一本気で古風な日本農業SF。ちょっと、翻訳してアメリカ人の感想を聞いてみたい。
 「賎の小田巻」大衆演劇の女形に殉じた老役者の意地。残酷な時が仕掛ける老醜の罠。父の魂が、人ならざるものものの手により甦る夜、息子の目に映る人の誇りと芸の華。昔を今になすよしもがな。これは凄い。このまま「博物館惑星」ものに仕立てる事ができる芸術テーマSF。レトロと科学の融合、父と子の葛藤、緊張感溢れる展開、これは21世紀の「鬼の詩」。傑作。
 「箱の中の猫」近くて遠い、遠すぎる彼。軌道のどこかで、ゆっくりと心は試され、歪んだ時空に、恋人たちは流転する。猫は生きているか? 愛は生きているか? 非SF読者向けに諄諄とSF的恋愛を語ったある愛の詩。なんとも強烈に「2001夜物語」の世界。
 「子供の領分」閉ざされた空間、限られた配役、単調な毎日、アイデンティティーを求める少年の心は内なる声に導かれ、寒い朝に驚愕は敵とともに訪れる。ああ、僕は役に立つ人間なのだろうか? 「学者」「女王」「大佐」「バレリーナ」多彩で極端な性格の子供たちが印象的な「成長小説」。かつて子供だった大人にとって、とても痛い作品。最後の一文も決まっている。

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紙の本

全編切なさが後を引くSF短編集

2002/03/10 17:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:川原 いづみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 9つの短編から成る短編集。SFですが、決してハードなものではありませんので、他ジャンルの小説が好きな人もどうぞ。全編切なさが後を引きます。この方の『永遠の森』も良いですが、シリーズものではなく、いろんな味・設定が楽しめるという点で私はこちらを先にお勧めしたいと思います(ちなみに『永遠の森』後日譚も収録されています)。
 この中で好きなのは、オリジナル4人のクローンとの対面を描いた『五人姉妹』、老いた役者とその息子の物語『賎の小田巻』。もう一つ、電子ペットを扱った『夜を駆けるドギー』、こちらは割と旬な今を取り入れていると思われるのですが、10年20年経過した後どう読まれるのか興味があります。

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紙の本

やさしく暖かいSF

2002/08/25 21:57

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投稿者:しょいかごねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

とても新鮮な感じのするSFだった。SFとしての素材はこれと言って目新しいわけではない。なのに、ちょっと方向性を変えるだけで、これほど人間の生身のやさしさを持った美しい作品が生まれるのか。
SFのよくあるパターンと言えば、人類が不相応に手にした強力な科学技術の故に、何かとんでもない事件が起こる、というもので、おかげでどういうわけか我々は、SFを読むたびに宇宙人の侵略とかロボットの反乱に脅えなくてはならなくなった。
でもこの作品はそうではない。バイオ技術、あるいはコンピュータによる人格トレースといった技術で、化け物が生まれる話はよくあるけれど、こんなに暖かい人の心のふれあいを描いてくれた小説はなかった。
未来の生活は今とはいろいろ変わっていくだろうけど、でもそこに住んでいる我々が変わるわけではないんだよ、だから科学者は、自らの役割を信じて、新しい技術を生み出していけばいいんだよ。そう、本質的なのは科学技術ではなくて人間なのだから。この本はそういったことを諭してくれたように感じる。
例えばこれから新しい技術を生み出していくべき科学者や技術者、そういう方に読んでみてほしいと思う。

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紙の本

私の問題かもしれませんが、ミステリや幻想談ほど感動しないんですね。特に登場人物たちのものの見方の保守的なところ。感動もできないし・・・

2006/01/16 19:59

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「バイオ企業の経営者の娘は、病弱ゆえに人工臓器の移植を受けた。そして、万一の時彼女に本当の臓器移植が出来るようにと四人のクローンが用意された」SF小説集。
紹介した表題作を含めて9編の作品が納められた短編集です。統一したテーマはないので、『永遠の森』のような連作集にはなっていません。ただし、『永遠の森』に関連した作品も納められています。
博物館惑星〈アフロディーテ〉に息子アーサーとともに訪れたバート。息子には、学芸員達の真面目にこつこつ努力する姿を見て欲しいと願っています。しかし、アーサーが興味を持つのは、惑星で催されている大道芸人フェスティバルの道化たちでした「お代は見てのお帰り」。
実業家のもとに、雑誌記者が持ち込んだ映像記録は、彼の父親が「賤の小田巻」を演じる姿でした。死を前にして、老いた父親が入居した人格トレース終身保養施設。老いても女形を演じ続けた父親の真意。そして、その姿に背を向け実業家として成功した息子の心の内「賤の小田巻」。
記憶を喪失した少年。アベマリア療養孤児院で、自分の本当の姿を捜し求めるマサシ。物理学者を目指すアキヒコ、王家の落しだねだと自分を信じるカナエ、ガキ大将のコウジロウ。そのなかで、ただ人のことばかり考えている自分と言うものがないマサシ。彼の使命とは「子供の領分」。
他にも、ロボット・ペットやネットなど様々な近未来の、いや既に身の回りで起きている様々な科学的なものがテーマや小道具として扱われています。読んでいて気付くのは、菅江の驚くほどに保守的な考え方です。ミステリではあまり気にならなかったのですが、家族、親子関係、伝統といったものに対する考え方は、私には息が詰まるほどに堅いものです。
それに、最新の科学的なものが入り込むのですが、私は違和感を覚えます。日本推理作家協会賞を受賞した『永遠の森』も、私は、あまり感心しなかったほうですが、今回もその感は強いです。この内容ならば、近未来を舞台にする必然性を感じないのです。むしろ、『夜陰譚』のように、現代や過去を舞台にしたほうが自然ではないでしょうか。ミステリや幻想談の快調さを見ると、SFに義理立てし過ぎて、作者本来の良さを見失ってしまう気がするのですが、どうでしょう。

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紙の本

著者コメント

2002/01/24 16:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:菅 浩江 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 bk1をご利用の皆様、拙作『永遠の森 博物館惑星』ではたくさんのご購入をいただき、ありがとうございました。
 今回、早川書房から発売になる『五人姉妹』は、連作ではない短篇を九本集めたものです。『夜陰譚』が幻想系短編集だったのに対し、こちらは純然たるSF系短編集。

 初短編集『雨の檻』(ハヤカワ文庫JA・現在入手困難)の時にも思ったことですが、こうしていろいろなタイプのSF作品を集めてみると、私はほんとうにSFが身に沿うているのだなあと感じます。書きたいことを素直に表現しようとすると、その手法はどうしてもSF的設定が一番だと思えてくるのです。
 私は以前から「SFとは、日常で語るには恥ずかしい気持ちを、非日常的設定を用いて照れなく切り出せることができる文学」だと表明してきました。この『五人姉妹』で、その心構えを少し証明できたような気がしています。願わくば、みなさんにも気に入っていただけますように……。

 もう一つ欲を言うならば。
 SFファン以外のかたにも是非お読みいただきたいと思っています。
 私の目標の一つに「コアなSFファンに馬鹿にされず、一般読者さんにも楽しんでいただけるSFを書く」というのがあるからです。
『五人姉妹』収録作品のうち、一般エンターティメント系アンソロジーに転載されたものが二篇(「五人姉妹」が日本文藝家協会編『短篇ベストコレクション』に掲載、もう一篇は春に祥伝社文庫から刊行予定の女性作家ばかりのアンソロジーに掲載予定)あり、たいへん喜んでいる状況もこの我欲の後押しをしてくれています。
 この作品集がどれだけ目標に近づけているか、SFの内外、両方からのご意見を楽しみにしております。

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切なく、苦しく、そしてあたたかい短編集

2002/01/28 18:16

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投稿者:喜多哲士 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 優しさやぬくもりの影に隠された残酷さ。菅浩江の短編は、SFという現実と一見切り離されたように思われる世界で、それを鮮やかに切り取ってみせる。
 本書に収められた8本の短編でも、その特徴は顕著にあらわれている。
 表題作の「五人姉妹」は、人口臓器のテストに実の娘を使い、その失敗のために健康なクローンを五人用意しておいた父親の、その娘に対する思いやりという残酷さが描かれる。さらに、書下ろしの「ホールド・ミー・タイト」では、現実では有能な会社員でありながら恋には臆病な女性が、仮想空間ではホストとして女性を癒し、自分はその空間で〈抱かれ枕〉に抱擁してもらうことによりその満たされぬ思いを解消しようとする。なんと切ない描写だろう。「夜を駆けるドギー」の主人公は、ネット上で死体を意味する〈コープス〉を名乗りながら、現実では本物の犬とそっくりなロボット犬にその寂しさを埋めてもらおうとする。しかしその犬の彼へのなつき方も数値入力されたものだという残酷さ。いずれも孤独な人間が他者とのつながりを求め、苦しむ。
 しかし、作者の視線はそういった登場人物を決して突き放したものではない。その残酷さをあるがままに受け止めた上で救いをもたらす。「箱の中の猫」で、宇宙に飛び立ったまま帰らぬ恋人を待つ女性に向ける視線の切なくも暖かいこと。「賤の小田巻」で老残をさらす役者の心の底にある芸への誇りを受け止める包容力。
 かつて作者は「SFという形で人間を描きたい」と語った。本書には、SFでなければ書き得なかった人間の本質がどの短編にもつまっている。
 SFを通じて人間を描きつづける作者の最新の成果が、本書なのである。それは、切なく、苦しく、そしてあたたかい。(bk1ブックナビゲーター:喜多哲士/書評家・教員)

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2004/09/25 23:35

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2004/10/12 01:13

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2010/01/14 23:37

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2014/08/24 12:01

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