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紙の本

組織の硬直性を乗り越える社会変革の方向性と生きる道筋を提示してくれる本

2002/02/21 21:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:基山健 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 中学生のころ(今から10年くらい前)には運動会や合唱コンクールなどがあると、普段より朝早く来てみんなで練習するということがよくあった。私としては、みんなで何かやるということはそれほど好きではなかった。そもそも運動が苦手だったため、運動会の練習などのために朝早く来たくない。練習でへまをすれば文句を言われるし、終わってからもいじめられることもあった。合唱コンクールでは指揮者を押し付けられ、「自主練」を自分が主導してやらなければならなかった。練習をしたくない人々からは当然煙たがられた一方で、他のクラスが「自主練」するなら自分のクラスもやらなければならないという雰囲気があった。高校でもスポーツ大会などでは同じような感じだった。
 「クラス一丸になって」などというと、美しいもののように捉えられがちである(今は変わってきているのだろうか。私が学校に通っていたころはこういう雰囲気が強固にあった)。本当にクラスのみんながやりたくてやっているのならよいが、実際には、他のクラスもやるから、先生から有形無形の圧力があるから、やらざるを得ないということも多いであろう。そうなるとやりたくない人々にとってはたまらない。「やろう!」という雰囲気が作られている中でやりたくないとはとても言えない。運動や合唱が苦手な者にとっては、それらの練習は苦痛でしかなく、うまくやれなかったりすれば罵声を浴びせられる。本番で失敗などすれば、「負けたのはおまえのせいだ」とあとあとまで陰湿ないじめの標的にされることすらある。地獄である。
 この本を読んでいてそんなことを考えた。今から思うと学校はものすごく息苦しいところだったと思う。生活のすべてが学校で逃げ場がない。学校でいじめられたりすれば、自分の全人格が否定されたような気になる。学校に行かないなど、逃げる手段が全くないわけではないが、逃げようものなら「学校さえ行けないようなやつが社会に出てやっていけるわけがない」などという言葉が飛んでくる。今は社会人になって組織で働いているが、学校ほど締め付けが厳しいところはなく、そこに適合できなくとも生きていけることが分かった。
 「組織の硬直性」が日本社会の問題点としてよく言われる。学校も会社も地域も個を重視せず、組織に囲い込む体質を持っている。あらゆる組織が硬直的なわけであるが、特に大半の人が通過する学校がその硬直した組織を支える人間を作る役割を果たしているのではないかと思う。
 本書では学校以外にも、会社や地域などの組織の閉鎖性の問題点について書かれている。組織への「囲い込み」は、個人レベルでは《不自由》、社会のレベルでは《不平等》、組織のレベルでは《不適応》(非効率)をもたらしてきた。人々の生活圏の拡大や生活パターンの多様化する中では、これまでのように組織が囲い込みを行っていては立ち行かない。組織の役割は「場」の提供にとどめ、独立した個人のネットワークこそが必要である。これまで組織が持っていた病理性、それが現在変化しつつあること、どのような方向に変えていくべきか、といったことが、PTA、部活動、自治体、会社、生活クラブ生協などさまざまな事例を挙げながら述べられている。
 著者紹介には「サラリーマン時代に感じた、組織の論理が個人の論理よりも優先されることへの違和感から、個人尊重の組織論を提唱・展開している」とあるが、経験が原点となっている著者の分析には説得力がある。
 本書は、あらゆる部分で「行き詰まっている」と言われる日本社会をどのように変えていけばよいのかについての示唆に富んでいる。同時に、閉鎖的な組織の中で苦しんでいる人々にとっても、自分の悩みが自分の責任によるものではなく、構造的な問題であることが認識でき、生きる道筋が見えてくるのではないだろうか。

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紙の本

日本型組織再生への三つの処方箋

2002/04/07 17:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の組織に共通してみられる最大の問題点は組織が個人を囲い込むことであり、その弊害を一言で表すならば、個人のレベルでは「不自由」、全体社会(国家)のレベルでは「不平等」、中間組織(個人と国家の中間に位置する組織)のレベルでは「不適応」(非効率)をもたらすことにある。

 こうした問題を解決する道筋を示し「組織や社会の未来像」を描くために、著者はまず囲い込みの論理と生理を実証的に明らかにする(第一章)。そこで展開されるいわゆる日本型組織(プロセスを重視し個人責任をあいまいにする、柔軟で「人間的」な有機的組織)への批判は鋭い。

 次いで、囲い込みが遂行される場としての「中間組織」がもつ保護と抑圧の二重機能を摘出する(第二章)。著者はここで「個人の自由や平等を保証するために全体社会が中間組織に対して優位に立つべきだ」という立場を鮮明に打ち出している。そして「強者の論理としての分権」批判(これも鋭い)をもとに、全体と個の媒介をめぐる政治の問題、つまり「中間組織の内外で生じる権力争いや多数者の専横から個人の権利を保護し、普遍的な基準で人々を律する」という「より上位の組織の責任」の問題を論じるための足場を固める。

 こうしてあぶり出された日本的中間組織の病理は、組織に対して限定的・手段的にかかわる「仕事人[しごとじん]」に典型的な個人の意識や価値観の変化によってその条件が崩れつつあり(第三章)、これに伴い会社・学校・地域といった範囲の中で部分最適を図ろうとする「組織の論理」そのものが破綻に瀕している(第四章)。

 以上の考察と分析を経て、最後に日本型組織再生への三つの処方箋が示される(第五章)。第一に、旧中間組織の改革に向けて、「インフラ型組織」や「間接統合」の理論など企業組織研究の過程で培われた著者の理論装置が総動員される。その結論は、組織を「仕事の場を提供するところ」ととらえ、メンバー個人を積極的に選別・管理しない、入りやすく出やすい「小さな組織」あるいは「遠心組織」へと組み替えることである。

 第二に、全体社会(国家)の権力の肥大化や独走をチェックする存在としての「代替セクター」が構想される。この「新しい中間組織には、これまで以上に人々を引きつける「求心組織」としての魅力と、社会的な正当性が強く求められる」。著者は、参加の任意性、活動分野の限定性、地域的な非閉鎖性という三原則を提示した上で、新しい組織づくりに際しては「「最初に組織あり」という前提から出発するのではなく、具体的な目的や必要性によって自発的に組織に参加し、また組織をつくっていく」といった組織の原点に立ち返ることが必要だとする。

 第三に、基本的に特殊利益を追求する中間組織に対して普遍性を追求する「超」組織、つまり「社会全体を俯瞰し、すべての構成員を公平に扱う」ための上位の組織(国家)の必要性と、かりに内容に差異があっても実質上の平等が保たれるならば問題はないとする「実質等価の原則」に即してその役割が考察される。

 私はそこに若干の不満を覚える。代替セクターとしての新しい中間組織論やそれへの個人の多元的帰属(ジンメル)をめぐる議論と、「超」組織としての国家をめぐる議論との関係がしっくりこないのである。というより、そもそも著者がいう「国家」がイメージできないのである。代替セクターとしての新中間組織と国家の関係を明確にし、「個人の立場」に徹して「国家」の「超」組織性の実質を理論化していくためには、まず「個人」の概念規定を精緻化する必要があるように思った。

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2007/08/25 17:06

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2010/08/20 08:32

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2012/06/03 00:53

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2012/03/27 02:03

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