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紙の本
気長に育てる自分だけの酵母
2009/08/25 20:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んだのはもう何年も前なのだが、それからもときどきページを繰っていた。書評を書いていなかったのは、おもにふたつの理由。
ひとつは、わたしはこの本の目玉である「小麦粉と水だけで発酵させる」パン種に数回挑戦して、どれもよい結果にならなかったこと。1年くらいつづけたこともあるのだが、発酵力が弱いまま安定せず、市販酵母などの助けを借りて焼きつづけた。ついに最後は夏の暑さにやられてだめにしてしまった。本が悪いのではなく、わたしの管理と、何らかの相性の悪さがあったのだろう。
もうひとつは、この手の本にしては珍しく、活字の比率がとても高くて、とっつきにくさを感じていたため。巻頭にカラー写真、ところどころにはイラストもあるのだが、文章が多い。ドイツのパンのレシピを目にしても、どんなパンなのかイメージが浮かばない場合もあった。
フルーツ類を使った酵母は1週間もあれば液種がとれるし、粉と合わせて元種にしてもそこから数日で完成する。だがこの本で紹介する「小麦粉と水だけ」のものは、ある程度の形になるまで1ヶ月くらいは見ておく必要があり、気の長い作業だ。
のんびりと、自分の食べていくパンをまずは酵母を起こす段階から育てていく。うまくいけばとても価値のあるものになる。
紙の本
読ませるレシピ
2003/05/20 20:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こむぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の主人公は小麦粉と水だけで起こす「自然発酵種」。そういうパン種があるのは知っていたが、フランスあたりのパン屋の地下室(別に地下でなくてもいいけど)で、空気中に酵母がウヨウヨただよっている環境でないとできないもの、という先入観があった。じゃがいもやライ麦、干しぶどうなどを元種にするレシピは、これまでにもよく見かけたが、小麦粉と水だけを使ったパン種起こしの啓蒙書には初めて出会った。
タイトルにも「秘伝」とあるように、本書には著者の経験や体験、そして実験に基づいた具体的な培養法や製パン法がくわしく記されている。170ページのボリュームのうち、カラー写真は口絵の4ページのみ。本文中にも手順を説明したイラストや写真が挿入されているが、その数はけして多くはなく、本書は基本的に「読む」本である。大判のカラフルなレシピ書に慣れていると、文字ばかりの本書は一見とっつきにくいが、ある程度パンづくりを経験している読者であれば、「読むレシピ」でも十分活用できるし、著者のパンへの愛情がにじみ出た親しみやすい文章は、製パン実践派でなくても楽しんで読めるのではないだろうか。
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