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征台問題で大久保が清国へ交渉に乗り出す。その後、宮崎八郎に主軸が移るが、入れ替わり立ち替わり人物が登場し頭の整理がつかなくなる。ときには筆者現在の視点で書かれている箇所もあり、小説の体をなしていないかもしれない。
なかなか読み進める事ができず、まるで坂道を自転車で進むようでした。
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明治維新直後の不安定な時代を描いている。
征韓論から西南戦争にいたる5年間が舞台。
西郷隆盛を始め多数の人物のエピソードと緻密な時代考証にその時代を知る思い。
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琉球人が台湾に住む蛮族の手により殺傷された。武力解決を望まない大久保が、大清国に乗り込み外交により解決を図る。大清国と日本の両国の思惑と利害においてぎりぎりの決着だった。当時の情勢を見ると琉球は両国に貢ぎものを献上している関係から、自国民同士の争い事とだと清国が突っぱねることもできたのだそうだ。歴史とは不思議なもので、この事件後、琉球は日本の領土であることを暗黙に了解され、今に至るわけである。
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激変の時代だけに物語のボリュームが凄い。
種々雑多な人々をその人の思想の背景まで詳しく供述している。
もはや、小説でなく、大説です。。
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征台が始まり、清から賠償を得るべく大久保利通の初外交も始まった。飽きてるばかりの状況だが、思わぬ粘り腰が展開される。
この巻の大半が、宮崎八郎の目線で展開される。反大久保政府ということになるが、あまり面白みはない。しかし、描かれている内容は的を得ていて、本懐を遂げられるのであれば、かはどおでもいいという、反体制派の中途半端さが、よく描かれている。
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【本83】征台論決着。大久保の外交は圧巻だが、ちょっと強引。もっとも背景が背景なだけにしょうがないのだろうか。後半部分は宮崎に焦点が当たるのだが、これは著者の趣向だろう。
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前半終了の第5巻。薩摩や西郷隆盛の出番はほとんど無し、大久保利通の外交交渉がメイン。この交渉での戦争回避が、この後の西南戦争につながるわけです。それにしても大久保利通の行動力、政治力は現在の政治家にも見習ってもらいたいものです。
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大久保は火消しに大忙し
従道は台湾で我慢大会
八郎はルソーに触れる
西郷さんは.......畑仕事?
ゆっくりと濃密に流れる明治7年から
徐々に反政府気分の地鳴りが高まる明治8年へ
みんな必死なのに上手く行かないのがもどかしい。
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昨年、司馬遼太郎の「坂の上の雲 全8巻」を読みました。
坂の上の雲の中ですごく気になったのは、司馬遼太郎が描く薩摩藩型のリーダーシップ。
ネット上での解説を少し転載します。
明治時代も終わりに近づいた頃、ある座談会で、明治の人物論が出た。
ある人が「人間が大きいという点では大山巌が最大だろう」と言ったところ
「いや、同じ薩摩人だが西郷従道の方が5倍は大きかった」と反論する人があり
誰もその意見には反対しなかったという。
ところが、その座で、西郷隆盛を実際に知っている人がいて
「その従道も、兄の隆盛に較べると月の前の星だった」と言ったので、
その場の人々は西郷隆盛という人物の巨大さを想像するのに、気が遠くなる思いがしたという。
西郷従道(つぐみち)は「ウドサァ」である。薩摩藩(鹿児島)の典型的なリーダーの呼ばれ方である。
本来の語意は「大きい人」とでもいうようなものだ。
従って、西郷隆盛などは、肉体的にも雄大で、精神的にも巨人であるという点で、
まさに「ウドサァ」を体現した男であると言えよう。
薩摩藩型リーダー「ウドサァ」の手法は二つある。まずは最も有能な部下を見つけ
その者に一切の業務を任せてしまう。
次に、自分自身が賢者であろうと、それを隠して愚者のおおらかさを演出する。阿呆になりきるのだ。
そして、業務を任せた有能な部下を信頼し、自分は部下が仕事をしやすいように場を平らげるだけで、後は黙っている。
万が一部下が失敗するときはさっさと腹を切る覚悟を決める。これがウドサァである。
日本人はこのリーダーシップのスタイルに対してあまり違和感を持っていないと思う。
日本の組織のトップはリーダーというよりは殿様なのだ。殿様は知識やスキルではなく人徳で勝負。
細かいところまで口を出す殿様は
家老に 「殿!ご乱心を!」とたしなめられてしまう。
でも、このリーダーシップのスタイルは世界のスタンダードではないと思う。
世界の卓越したリーダー達で「ウドサァ」みたいなスタイルだった人を私は知らない。
スキピオ、ジュリアスシーザー、アレキサンダー大王
ナポレオン、リンカーン ・・・ ビルゲイツもジョブズも孫正義も
部下に仕事を任せはするが、後は黙っているなんて事は絶対にない。
古代中国の劉邦と劉備は「ウドサァ」かもしれない。(だから日本で人気がある?)
私も大きな組織で働いているが
トップに非常に細かいことまで指示される事を想像すると辟易してしまう。
そのくせ、「トップの方針が明確でない」みたいなことを言ってみたりもする。 どないやねん!
1年以上かけて、ようやく全10巻を読破しました。
いや〜〜長かった。
面白かったけど、やっぱり長いよ司馬さん。
「翔ぶが如く」本線のストーリーは、征韓論から西南戦争に至るまでの話なんですが、水滸伝のように、周辺の人���の描写や逸話に入りこんでしまって、本線のストーリーが遅々として進まない。。
新聞小説の連載だからなのかもしれないが、ふだんノンフィクションの実用書ばかり読んでる身としては、かなりじれったかった。
本線のストーリーだけ書けば、半分ぐらいの頁数で済むのでは?
と思ってしまいました。
[読んで思ったこと1]
本書を読み「薩摩藩型のリーダーシップ」について理解するという当初の目的は果たせませんでした。
著者にとっても、西郷隆盛という人物は、スケールが大き過ぎて掴みどころのない存在のようでした。特に征韓論以降の西郷隆盛は、現在の我々からは訳がなかなか理解し辛い事が多いです。
しかし、リーダーシップとは何かという事について、いろいろと考える事ができました。昨年一年間かけて考えた、私なりのリーダーシップ論は、後日別のエントリで纏めようと思います。
[読んで思ったこと2]
西南戦争は、西郷隆盛を担いだ薩摩藩の壮士と、山縣有朋が徴兵して編制した政府軍との戦いでした。
当時の薩摩藩は古代のスパルタのような軍事教育国家であったため、壮士達は世界最強の兵士とも言える存在でした。
しかし兵站という考え方がほぼ皆無に近かった。
一方で政府軍の鎮台兵は百姓出身者が大半であり、本当に弱く、戦闘となるとすぐに壊乱してしまう有様でした。
しかし、山縣有朋の綿密な軍政準備により、予備兵・食糧・弾薬などの後方支援が途切れる事は無かった。
両者が激突するとどうなるのか。
短期的には薩摩藩が圧倒的に有利なのですが、戦いが長期的になつてくるとジワリジワリと政府軍が有利になってくる・・・
古代ローマ帝国とカルタゴのハンニバルの戦いを見るようでした。
いや、普段の仕事についても同じ事かなと思いまして。
仕事でも、短期的に物事をガーと進められる人に注目が集まりますけど、さまざまな兵站をキッチリ意識して、長期的に組織的に物事を動かせる人の方が最終的な結果に結びつくのかなと。
この間、絶好調のアップルの決算発表がありましたが、今のアップルの収益性を支えるサプライチェーンとロジスティクスの仕組みを確立したのは、現アップルCEOのティム・クック氏だとの事。
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長い長い
征台の出兵はまだいいとして
その解決に北京へ行く大久保の交渉話が長い
11 戦火初の大久保、まったく平然
24 李鴻章=一種の幕府
43 大隈、政治家として奇怪&いかがわしさ
46 大隈、言うことが変わる。誠意がない。言葉に信用を置けない
65 李鴻章、自分の軍は使いたくない。でも政府軍は負ける
86 ボアソナード
141 裏工作しない大久保
172 西郷、和魂(平和好き)と大久保批判
182 大隈、独特の気の強さ。副島、外交団を呼びつけるように
186 琉球の扱い
190 大久保の漢文能力高い
201 北京の外国人、中国に同情せず
203 後藤象二郎、ちゃらんぽらんの大風呂敷
216 清国人、日常的に裸体見せるのは下層労働者
221 肥後人の理屈好き
228 家康、薩摩警戒。熊本の細川家は薩摩を防ぐため
252 谷干城、妻は不美人。でも仲いい。親友
256 板垣に薩長起兵を伝達、谷
273 兵衛、右衛門という名前禁止
283 細川重賢=時習館
285 加藤清正、陣頭で槍。武勇好みの肥後人に受けた。農業土木にも手腕
299 近藤斬首、龍馬を切られたと思った土佐人が断行。
339 三権分立、木戸へのエサ。大阪会議で大久保&伊藤
345 来客と寝転んで話す、土佐の真夏の習慣
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ファンの方には申し訳ありませんが、クソ面白くない維新史。
大久保の外交話よりも宮崎家の兄の話の方が若干興味深い。
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いやぁ、今回も時間を要した…。ひたすら、北京に駐在中の大久保利通の対外交渉に費やされているのである。これを見て楽しいと感じる人が信じられない。司馬遼太郎作品で最も楽しめない作品だと思う。原因は、司馬氏のせいではなく、この巻の主役たる大久保利通のキャラクターのせいなのだろう。親しめないし、愛着も湧かない。この当時の大勢が「西郷万歳、アンチ大久保」を唱えたのも理解できる。ま、私は西郷をもあまり好かないが。
だいたい、大久保が唱えた征台案がハチャメチャなのだ。西郷の征韓論のように巨大な対外政略から出発したものではなく、単に西郷を頂点とする国内の不平党の鬱気をこの策で晴らそうという内政上の対症療法なのである。この時期の大久保は病気にでもかかっているのではないかと思ってしまう。病的なのは西郷も木戸も同じ。それ故、私がこの時代を好まないのかもしれない。維新の三傑と言われる三人が三人、清々しいヒーローとは言えないからである。
ま、読み始めたことだし、あと後半の半分も頑張って読み切るか。
唯一嬉しかったのは、山川健次郎が一節限定で登場したこと。NHK大河ドラマ「八重の桜」に登場する、山川大蔵の弟役(演:勝地涼)である。ロシアとアメリカへ官費留学して帰った青年という紹介のされ方でしばらく振りに東京を見た感想を宮崎八郎と対比させて描かれていた。宮崎ら普通の若者にとっては明治の数年間で「激変した」と感じたのだが、山川健次郎は「少しも変わっていない」と。これを山川の資質に起因するものと説明されていたが、分かったような分からないような…。(つまり、分かっていない私…笑)
以下に、興味深く感じた点を引用したい。
・家康の頃からか徳川幕府が最も警戒し幕府の敵として見てきたのは、薩摩島津家であった。幕府は薩摩抑えのために九州の大名にまとまった兵力を持たせるべくその石高を大きなものにした。福岡の黒田家が52万石、佐賀の鍋島家が35.7万石、久留米の有馬家が21万石、さらに薩摩にじかに接する肥後熊本の細川家が54万石といったふうに。細川家に対しては薩摩が出てきた時には熊本城でよく防ぐべしという内意で城普請も充分にさせた。
→なるほど、昨年訪れた熊本城のあの堅牢さ(長い壁など)は徳川幕府の薩摩島津家対策なのか。
・宮崎長兵衛(宮崎八郎の父親)もこの頃、長蔵という名前に改名していた。そういうお触れが太政官から出ていたのである。何兵衛や何右衛門というのは上古の官名であり、それを一般の者が私称するのは公私を乱すことになる、ということだった。
→これはトリビア。
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大久保利通の執拗さが、頼もしくも恐ろしい。後世からの不人気さは致し方ないところか。
明治維新後の日本が、いかに頼りなかったかが心に沁みる司馬遼太郎の名作。もっと評価されていい小説である。
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読了。レビューは最終巻で。
興味深い流れ
清国とのあわや戦争。東南地域での紛争を好まない、イギリス勢の仲介により回避。
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前半は、台湾征討の後始末のために北京に赴き、清国を相手に粘り強い交渉をおこなう大久保利通を扱います。後半は、台湾への徴収隊の一員として参加し、帰国後は中江兆民によって紹介されたルソーの民権思想に傾倒した宮崎八郎の軌跡を追っています。
今回のストーリーは、西郷の動向からやや離れていますが、大久保の政治家としての能力と、若き宮崎の情熱がていねいに描かれているように思いました。