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紙の本

「ラカン派マルクス主義者」ジジェクが、全体主義を新たに定義し直して、良心的な知識人の盲点を突く

2002/07/03 18:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:上野昂志 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 スラヴォイ・ジジェクの名前は、著作が出るたびに翻訳がなされる日本の出版界では、すでによく知られているだろう。ヒッチコックの諸作品をラカン理論で読み解くというか、あるいはラカンの理論をヒッチコックの映画を通して読み解くというか、いずれにせよ、ラカンとヒッチコックを結びつけたことで、一挙に難解なラカン理論を大衆化した『ヒッチコックによるラカン』や『斜めから見る』などによって、ジジェク自身も有名になったのである。
 本書は、その新著であるが、ここでは、「ラカン派マルクス主義者」といわれることもあるジジェクの「マルクス主義者」としての面目がよく出ているといってもいいだろう。いわば、ラカン理論によって現代のイデオロギーを批判的に解析しながら、そこにいまではあまり見ることのないマルクス主義的な立場性とでもいうべきものが、したたかに息づいているのである。
 一貫した主題は、タイトルが示しているように、「全体主義」という言葉で流布されている観念が、いかに誤って使用されているか、ということである。たとえば、いま「全体主義」といえば、それはナチズムやスターリン主義への連想と結びついて、ほぼ一義的に非難の意味を持つ。ジジェクは、それに待ったをかけるのだ。君はいま「全体主義」といったけれど、それは全体主義についての間違った観念ではないかね、と。そして説明する、ヒトラーのホロコーストについて、スターリン主義について。あるいは、つい最近、日本でも話題になったヨーロッパの新右翼の台頭について。
 たとえばフランスでは、ル・ペンが率いる国民戦線が伸びたことで、左翼が次善の選択としてシラクを選び、彼は大統領の再選を果たしたわけだが、それこそまさにジジェクがいう「新ポピュリスト〈右翼〉は、自由民主主義的で寛容で多文化主義的な新ヘゲモニーが正当化されるうえで重要な構造的役割を果たしている」ことの一つの例証であろう。そこでも、ル・ペンのような新ポピュリストを「全体主義」という単純な枠で括ることで、政治闘争の真の課題は脇へ押しやられ、シラクのような無能な保守主義者にヘゲモニーを譲り渡している、というわけだ。
 しかし、これはフランスやオーストリアだけの問題ではないことはいうまでもない。日本でも、新ポピュリストというべき政治家はいるし、彼らの存在をクリアに捉えることは、今後の重要な政治課題でもあるからだ。むろん、本書でジジェクが展開している議論は、このような政治的なテーマだけではないが、どんな問題でも、彼は、良心的な知識人たちの思考の盲点を的確に突いて、刺激的である。 (bk1ブックナビゲーター:上野昂志/評論家 2002.07.04)

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